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群青に焦がれて
一目惚れとは美しい
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つまらない世界の中で、君だけが鮮烈に焼き付いている。
閉じたまぶたの内側に、いつだって君だけがいる。
気の遠くなるような長い時の果てで、親を持たない私はこの世に生まれ落ちた。
私がこの世界を作り、私がこの世界を調律した。
そうしてこの世界は誕生し、色付いた。
初めは良かった。
この世界が美しくなっていくのが楽しかった。
綺麗なものばかり作って、優しいもので溢れさせた。
どこから間違ったのか、どす黒い感情が生まれ、醜いものが生まれた。
人間は、その最たる例だった。
私は自分を模倣して、他の神々を作った。
そしてある神が、人を作り出した。
人は弱かったが、知恵を持ち、瞬く間に増えて行った。
その神は人々から信奉されることを望んだが、人には彼より私の持つ力の方が魅力的に見えたらしい。
人間は私を主たる神として選んだ。
かの神は、それでも己の属種を作りたかったらしい。
人間よりずっとずっと性能が良く、けれどもずっと扱いにくい存在・・・悪魔を作り出した。
正直、驚いた。
二つも新たな種族を作れるように見えなかったからだ。
自由奔放な悪魔たちは、確かにかの神を選んだが、自制が効かず、いつも好き勝手する。
困り果てたかの神は、ついに私に泣き付いた・・・だから私は、悪魔の対を・・・天使を生み出した。
そしてまた、二つの種族を統制する、大天使と大悪魔という存在を、大勢いる妻のうちの二人に産ませた。
それが、大天使と大悪魔という対の存在の始まりだった。
それから、あまりにも長い月日が経った。
かの神は私の唯一無二の友となり、妻たちも多く入れ替わった。
それでもなお、私は誰も愛せなかった。
ある時は妻の母だったものを、ある時は私の実の娘を。
もしくは同性の神を。
多くの伴侶を娶り、それら全てに愛されてきた。
それでも、愛すことは無かった。
ああ、だから。
それは衝撃だった。
天上の日の下で、強く輝く群青が。
強く見据える群青が、私を撃ち抜いた。
それは、あまりにも強烈な一目惚れ。
恋も、愛も、何も知らない主たる神は、その日全てを知ったのだ。
彼女はあまりにも苛烈で、けれども一途だった。
その赤い唇で愛を紡ぎながら、影で他の妻たちを消してゆく。
甘やかに細まる瞳は、ぎらついて群がる女たちを刺し貫いた。
なんて愛おしい、なんて美しい。
私は絡め取られてしまった。
私よりずっとずっと年下で、子供に等しい幼子に、私は瞬く間に囚われた。
でも、それでもいい。
何をしたって構わない。
たとえ誰があの子を愛して、求めても、くれてやるつもりは無い。
あの子が嫉妬に狂って、醜くなったとしても、離してやるつもりは無い。
あの子が、どこか遠くに行っても、諦めてやるつもりは無い。
あの子が、あいつの腕の中に堕ちても、あの子は私のもの。
私の全てであるが故に。
閉じたまぶたの内側に、いつだって君だけがいる。
気の遠くなるような長い時の果てで、親を持たない私はこの世に生まれ落ちた。
私がこの世界を作り、私がこの世界を調律した。
そうしてこの世界は誕生し、色付いた。
初めは良かった。
この世界が美しくなっていくのが楽しかった。
綺麗なものばかり作って、優しいもので溢れさせた。
どこから間違ったのか、どす黒い感情が生まれ、醜いものが生まれた。
人間は、その最たる例だった。
私は自分を模倣して、他の神々を作った。
そしてある神が、人を作り出した。
人は弱かったが、知恵を持ち、瞬く間に増えて行った。
その神は人々から信奉されることを望んだが、人には彼より私の持つ力の方が魅力的に見えたらしい。
人間は私を主たる神として選んだ。
かの神は、それでも己の属種を作りたかったらしい。
人間よりずっとずっと性能が良く、けれどもずっと扱いにくい存在・・・悪魔を作り出した。
正直、驚いた。
二つも新たな種族を作れるように見えなかったからだ。
自由奔放な悪魔たちは、確かにかの神を選んだが、自制が効かず、いつも好き勝手する。
困り果てたかの神は、ついに私に泣き付いた・・・だから私は、悪魔の対を・・・天使を生み出した。
そしてまた、二つの種族を統制する、大天使と大悪魔という存在を、大勢いる妻のうちの二人に産ませた。
それが、大天使と大悪魔という対の存在の始まりだった。
それから、あまりにも長い月日が経った。
かの神は私の唯一無二の友となり、妻たちも多く入れ替わった。
それでもなお、私は誰も愛せなかった。
ある時は妻の母だったものを、ある時は私の実の娘を。
もしくは同性の神を。
多くの伴侶を娶り、それら全てに愛されてきた。
それでも、愛すことは無かった。
ああ、だから。
それは衝撃だった。
天上の日の下で、強く輝く群青が。
強く見据える群青が、私を撃ち抜いた。
それは、あまりにも強烈な一目惚れ。
恋も、愛も、何も知らない主たる神は、その日全てを知ったのだ。
彼女はあまりにも苛烈で、けれども一途だった。
その赤い唇で愛を紡ぎながら、影で他の妻たちを消してゆく。
甘やかに細まる瞳は、ぎらついて群がる女たちを刺し貫いた。
なんて愛おしい、なんて美しい。
私は絡め取られてしまった。
私よりずっとずっと年下で、子供に等しい幼子に、私は瞬く間に囚われた。
でも、それでもいい。
何をしたって構わない。
たとえ誰があの子を愛して、求めても、くれてやるつもりは無い。
あの子が嫉妬に狂って、醜くなったとしても、離してやるつもりは無い。
あの子が、どこか遠くに行っても、諦めてやるつもりは無い。
あの子が、あいつの腕の中に堕ちても、あの子は私のもの。
私の全てであるが故に。
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