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▲母という存在の破滅

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「・・・すごいな」

帝国から連絡を受け、帝国と王国の分け目である場所までやってきた。
お付の友人たちもまじまじとそのあからさますぎる違いを見ていた。

帝国側には花々が咲き誇り、異常な速さで王国との壁を作り上げている。
対して王国側は大地が枯れ果て、今にも崩れ落ちそうだ。

「・・・これは、学園の移動を早めた方がいいな」

王国が分断されるのはそうあとの話では無いかもしれない。



学園に通うのは、魔力を持つものたち・・・という訳では無い、正確には、悪魔の血が強く、この国に馴染めていないもの達があそこに通っているのだ。

悪魔の血が強くなれば、必然として魔力が強くなり、人間味は薄れ、周りに恐れられこの国に未練を持たない。

そんな彼らにはもう許可を取って、学園を帝国に移動させるために行動中だ。

面倒なのは国王と王妃だが、所詮偽の王家、真なる王族である僕が言えば、学園は動く。

僕は一度間違えた。
だからもう二度と間違えない。

「学園に戻ろう」

もう、おそらく母さんに会うことは無い。



今ウィナフ領は急速に枯れ果てているらしい。
聖女が何をしても一向に良くならず、聖女が神の怒りを買ったに違いないと掌を返して弾圧を始めている。

戸惑っているのは王家だけなもので、母さんに心酔していたはずの高位貴族を筆頭に、崩れていく領地をどうにかすべく母さんを処刑しろとの動きまで出ている。

最低な親ではあったけどさすがにそれは目覚めが悪い。

まあ自業自得ではあるし、何度も生まれ変わった大天使を迫害対象にでもするような振る舞いを見ていればあれなんだけど・・・。

僕の妹は、あんなんでも母親と慕っているんだよね。
おそらく、前世からずっと。

面倒ではあったけど、古代書物を読み解いた結果見つけたある方法で、とコンタクトをとることに成功した。
あとは勝手にやって欲しい。






その後幾ばくかの時を有したものの、学園は王国を去った。
新たに帝国の敷地に入ることになった。

学園長は皇帝夫妻の圧に震えていたが、是非とも頑張って欲しい。

その後僕は妹と、その元従者で現婚約者のステファーニエとの再会を果たした。

これからまた関係を築き上げて行きたい。

ああ、それから・・・。
僕が抱えるこの恋も、そのうち叶うといいなぁ。

まあ面倒なのは、僕という人間の前世が女だったから、性的に好むのが男性である、という点なのだけれど。



「まさかお兄様があの方を好きだったとは・・・いえ、驚きましたがいいかと思います。・・・あ、そういえばお父様はどうなったのですか?」
「ああ・・・父さんね。父さんは確か・・・」

父さんはまだお母様のそばに使用人たちと共にいる。
でもどうやら使用人の一人に説得され、渋々ながらも離れる様子を見せているらしい。

是非ともどうやったのか聞きたいところだ。

その使用人が何を思っているのかは知らないけど、やっていることを顧みればこちらに呼んでもいいかもしれない。

正しいことができる人は、ちゃんと自分の正義を持っているから。
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