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3.なんでもアリの障害物競走
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マナト、速っ!
おれをぬかして、マナトが宙をかけていく。
もしかしたら、マナトはこういう勝負に慣れてるのかもしれない。
おれ、全力を出してとぶなんてこと、少ないからな。
よし、妨害しよう!
でっかいクッションボールをぶつけるイメージで……、やりすぎないように……!
ふっと力を入れて念じ、念動力で空気のボールをぶつける。
「うわっ!」
叫び声をあげて、マナトが横にふっとんだ。
よし、追い越したぞ!
と、思った瞬間。
「氷柱(ひょうちゅう)よ、かのものを追いかけ、氷づけにしろ!
アイシー・クレイジー・ブレッド!」
ひゅんひゅんっと何かのカタマリがとんでくる。
おれはくるっと回って、とんできたカタマリたちを念動力ではじきとばした。
カタマリが海に落ちる。
と、そこを中心にして海の一部が凍ってしまった。
ひえ、こんな魔法もあるのか。
ぞっとした背中が冷たく、重くなる。
重く……?
マジで冷たいし、重い!
しまった! あのカタマリ、おれの背後にまわりこんでたのか!
ぶつかった背中が氷づけだ!
「お先に!」
再びマナトがおれを抜いていく。
おれは発火能力をうまく調節して背中の氷をとかしつつ、前へと進んだ。
お、見えた! ゴールテープが空中に浮かんでる!
「目に見えずとも、
われはそこに友がいることを知っている。
きまぐれの風の精霊よ、われに力を貸し、われを守れ。
エアリアル・シールド!」
マナトが何か呪文をとなえたが、びゅうびゅうと風を切る音で詳しくは聞こえない。
こうなったら、もう一度、念動力だ。
空気のボールよ、マナトにぶつかれ!
バシンッという、確かに空気のボールがぶつかった音。
なのに、マナトはふっとばなかった。
ちっ、さっきの呪文でなにかしやがったな……!
何度も空気ボールをぶつけるが、もうマナトはゆらがない。
このままじゃ、マナトが先にゴールしちまう!
どうすれば……。
と、ふと脳裏に浮かんだのは、ノワールの言葉。
「どんな能力をつかってもヨシ!」
そうか、なら……。
これも、OKだよな?
おれは空中でぴたっと止まった。
「なんだ? 勝負、あきらめたのか? じゃあな!」
マナとはおれから目をはなし、それこそ流星のように一直線にゴールへと向かっていった。
マナトがゴールテープを切るまで、あと十メートル……!
「よし、おれの勝……えっ⁉」
マナトが言い終わる前に、ゴールテープは切れていた。
「えっ? ええっ⁉ オマエ、いつの間に追い越して……」
びっくりしただろ? おれが先にゴールして。
「くそ、どうやっておれを追い越したんだ?」
くやしそうにしているマナトに、
おれは勝者の笑みを浮かべ、説明してやった。
「カンタンだ。瞬間移動で、ゴールのすぐ前に移動した」
「……はあ⁉」
そう、これは「どんな能力をつかってもヨシ!」な障害物競争。
別に、空中浮遊での競争じゃない。
勝者の条件は、「おのれの体で、ゴールテープを先に切ったもの」。
これだけ。
ってことは、バカ正直に宙をとんでるだけの競争をしなくてもいいってこと。
ゴールテープが見えた瞬間、その前に瞬間移動して、テープを切ればいい。
そう話してやると、マナトは顔を真っ赤にして怒った。
「ズルだ! このインチキ野郎! 正々堂々と勝負しろよ!」
「人の話聞いてたか~? これは、ズルじゃありません~」
「ノワール! どうなんだ!」
おれたちと並んでとんでいたノワールに、マナトがジャッジを求める。
審判ノワールの判定は……。
「こりゃ、リッキーの勝ちじゃな」
「はあああ⁉」
「よっしゃー!」
マナトは口を大きく開けて絶叫し、おれはガッツポーズをきめた。
わかってんじゃん、ノワール。
マナトの使い魔だから、マナトの味方をするかと思ったけど、そうでもないんだな。
勝負はおれの勝ちだ。
……まあ、魔法使いもなかなかやるってわかったし?
マナトがエスパーを軽んじてたことを謝るなら、
おれの「仲間」にしてやっても……。
「じゃ、第二回戦じゃな」
いいかなーって、ん?
なんて言った、ノワール?
「第二回戦?」
おれが聞くと、ノワールはまたかわいらしく首をかしげた。
「だれが一回で勝負を決めると言った。三回勝負じゃよ」
「……はあああ⁉」
「よっしゃ! そうこなくっちゃな、ノワール!」
今度はおれが絶叫して、マナトがガッツポーズをする番だった。
「ほれ、二回戦のためにまた学校にもどるぞい。
はようわしらを学校にもどせ。
ちなみに、拒否したらリッキーの負けとみなす」
ぐ、ぐぬぬぬ。
正直、おいていってやりたいけど、負けるのはシャクにさわる!
結局、おれたちは瞬間移動でまたあの教室へともどったのだった。
おれをぬかして、マナトが宙をかけていく。
もしかしたら、マナトはこういう勝負に慣れてるのかもしれない。
おれ、全力を出してとぶなんてこと、少ないからな。
よし、妨害しよう!
でっかいクッションボールをぶつけるイメージで……、やりすぎないように……!
ふっと力を入れて念じ、念動力で空気のボールをぶつける。
「うわっ!」
叫び声をあげて、マナトが横にふっとんだ。
よし、追い越したぞ!
と、思った瞬間。
「氷柱(ひょうちゅう)よ、かのものを追いかけ、氷づけにしろ!
アイシー・クレイジー・ブレッド!」
ひゅんひゅんっと何かのカタマリがとんでくる。
おれはくるっと回って、とんできたカタマリたちを念動力ではじきとばした。
カタマリが海に落ちる。
と、そこを中心にして海の一部が凍ってしまった。
ひえ、こんな魔法もあるのか。
ぞっとした背中が冷たく、重くなる。
重く……?
マジで冷たいし、重い!
しまった! あのカタマリ、おれの背後にまわりこんでたのか!
ぶつかった背中が氷づけだ!
「お先に!」
再びマナトがおれを抜いていく。
おれは発火能力をうまく調節して背中の氷をとかしつつ、前へと進んだ。
お、見えた! ゴールテープが空中に浮かんでる!
「目に見えずとも、
われはそこに友がいることを知っている。
きまぐれの風の精霊よ、われに力を貸し、われを守れ。
エアリアル・シールド!」
マナトが何か呪文をとなえたが、びゅうびゅうと風を切る音で詳しくは聞こえない。
こうなったら、もう一度、念動力だ。
空気のボールよ、マナトにぶつかれ!
バシンッという、確かに空気のボールがぶつかった音。
なのに、マナトはふっとばなかった。
ちっ、さっきの呪文でなにかしやがったな……!
何度も空気ボールをぶつけるが、もうマナトはゆらがない。
このままじゃ、マナトが先にゴールしちまう!
どうすれば……。
と、ふと脳裏に浮かんだのは、ノワールの言葉。
「どんな能力をつかってもヨシ!」
そうか、なら……。
これも、OKだよな?
おれは空中でぴたっと止まった。
「なんだ? 勝負、あきらめたのか? じゃあな!」
マナとはおれから目をはなし、それこそ流星のように一直線にゴールへと向かっていった。
マナトがゴールテープを切るまで、あと十メートル……!
「よし、おれの勝……えっ⁉」
マナトが言い終わる前に、ゴールテープは切れていた。
「えっ? ええっ⁉ オマエ、いつの間に追い越して……」
びっくりしただろ? おれが先にゴールして。
「くそ、どうやっておれを追い越したんだ?」
くやしそうにしているマナトに、
おれは勝者の笑みを浮かべ、説明してやった。
「カンタンだ。瞬間移動で、ゴールのすぐ前に移動した」
「……はあ⁉」
そう、これは「どんな能力をつかってもヨシ!」な障害物競争。
別に、空中浮遊での競争じゃない。
勝者の条件は、「おのれの体で、ゴールテープを先に切ったもの」。
これだけ。
ってことは、バカ正直に宙をとんでるだけの競争をしなくてもいいってこと。
ゴールテープが見えた瞬間、その前に瞬間移動して、テープを切ればいい。
そう話してやると、マナトは顔を真っ赤にして怒った。
「ズルだ! このインチキ野郎! 正々堂々と勝負しろよ!」
「人の話聞いてたか~? これは、ズルじゃありません~」
「ノワール! どうなんだ!」
おれたちと並んでとんでいたノワールに、マナトがジャッジを求める。
審判ノワールの判定は……。
「こりゃ、リッキーの勝ちじゃな」
「はあああ⁉」
「よっしゃー!」
マナトは口を大きく開けて絶叫し、おれはガッツポーズをきめた。
わかってんじゃん、ノワール。
マナトの使い魔だから、マナトの味方をするかと思ったけど、そうでもないんだな。
勝負はおれの勝ちだ。
……まあ、魔法使いもなかなかやるってわかったし?
マナトがエスパーを軽んじてたことを謝るなら、
おれの「仲間」にしてやっても……。
「じゃ、第二回戦じゃな」
いいかなーって、ん?
なんて言った、ノワール?
「第二回戦?」
おれが聞くと、ノワールはまたかわいらしく首をかしげた。
「だれが一回で勝負を決めると言った。三回勝負じゃよ」
「……はあああ⁉」
「よっしゃ! そうこなくっちゃな、ノワール!」
今度はおれが絶叫して、マナトがガッツポーズをする番だった。
「ほれ、二回戦のためにまた学校にもどるぞい。
はようわしらを学校にもどせ。
ちなみに、拒否したらリッキーの負けとみなす」
ぐ、ぐぬぬぬ。
正直、おいていってやりたいけど、負けるのはシャクにさわる!
結局、おれたちは瞬間移動でまたあの教室へともどったのだった。
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