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3.なんでもアリの障害物競走
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おれたちは、だだっ広い海の上にいた。
ここは、おれたちの住む絵空市から、ずうっと離れたところだ。
近くに島みたいな陸地もないし、船も通らない。
おれのお気に入りの場所。
「どこかに、めっちゃくちゃ広い、
力を開放できる場所はないかの~?」
って、ノワールに聞かれて、思いついたのがこの場所だった。
ここでは、おれは能力を存分に発揮できる。
ストレスがたまった時に、よく利用してるんだよな。
念動力を思いっ切り海にたたきつけて、海に渦をつくったりとか。
発火能力で大きな火の玉をつくっても、ここだと海水で消せるしな。
もちろん、テレパシーで、周りに人がいないか確認してやってるぞ。
ここまでは瞬間移動でやってきた。
人払いの結界をはった教室から、マナトとノワールと一緒に移動したのだ。
「これが、瞬間移動……」
ってつぶやいたときのマナトの顔といったら!
「なあ、もう勝負ついてんじゃね?
今だって、マナトのこと、おれがささえてやってるだろ?」
海に落ちないように、おれは念動力で自分とマナトを宙に浮かせている。
ノワールは、自力でどこかへ飛んでいってしまった。
「う、うるさいな。
まだ勝負ははじまってないだろ」
マナトはそう言うと、ブレザーに手をつっこんだ。
とりだしたのは……、ホウキ!
なんていうか、魔法使いが空を飛ぶときにのってる、あのホウキだ。
え? そんなの、どう見てもブレザーの内ポケットに入んねーだろ!
おれがじっと見つめると、マナトはニヤリと笑った。
「マジック・ポケットだよ。
見た目は普通のポケットだけど、倉庫なみの空間が中には広がってる」
ふ、ふうん。
そんな魔法もあるのか。
マナトはホウキにまたがって、「もうささえなくていい」と言った。
おれが念動力のささえをはずすと、マナトは宙に浮かんでいた。
……ファンタジー映画みたいだ。
まあ、おれもやろうと思えば同じことできるんだけど、
やっぱり本場(?)はサマになってる。
でも、口から出たのは自分でも意地が悪いと思う言葉だった。
「なんだ、杖の次はホウキ?
やっぱり魔法使いって、何かつかわないと、何もできないんだな」
「うるせーな、なんならもう勝負をはじめるか?」
おれたちの間にバチバチと火花がちる。
と、そこに、どこかに行っていたノワールがかえってきた。
「どこ行ってたんだノワール。
さ、勝負をはじめるぞ。
エスパーなんて、たたきつぶしてやろう」
マナトの肩に、ばさりとノワールがとまる。
鷹匠(たかじょう)みたいで、カッコイイな……。
いやいや、うらやましくなんてないぞ。
「お? オマエら、戦うつもりか?」
首をかわいらしくかしげるノワールに、おれとマナトは顔を見合わせた。
「いや、だって、勝負だろ?」
「そういう流れだったよな、今」
ふたりでそう言うと、ノワールはじいさんみたいにほっほっほと笑った。
「こんなハチャメチャな能力をもったふたりで、か?
確実に痛い思いをするぞ。
やけど、すり傷なんて軽い軽い。
骨折、内臓損傷。
へたをすれば、意識をなくして海に落っこちておぼれてしまうかもな」
……想像してぞくっとした。
確かにおれ、超能力をつかったケンカなんて、したことがない。
力の加減がわからなくて……、
それこそ、マナトに、大きなケガをさせてしまうかも。
「そんなの、ショック・セーフティをかければ……。
って、そうか、リキ、エスパーだもんな。
あーあ、エスパーってめんどくせー!」
大げさにマナトはため息をついた。
どうやら魔法には、ケガを回避する何かがあるらしい。
ムカつくのと気になるので、なんだか心がモヤモヤする。
「ってことでな、ここをまっすぐいったところに、わしがゴールをつくってきた」
「ゴール?」
まっすぐ、と翼で指し示したノワールに、おれとマナトの疑問の声が重なる。
「そう、ゴールじゃ。題して……。
エスパーVS.魔法使い! 障害物競争~!」
つばさを広げ、めちゃくちゃ楽しそうにノワールは宣言した。
しょ、障害物競争?
「急にそんな……。
てか、障害物って、なんなんだ?」
思わず声を上げたおれに、ノワールはまあまあとなだめるようなしぐさをする。
「お互いが、お互いの障害物じゃ。
魔法や超能力で、相手を妨害する。
どんな能力をつかってもヨシ!
ただ、勝利条件はこうじゃ。
『おのれの体で、ゴールテープを先に切ったもの』。
それが、勝者となる」
お互いが、お互いの障害物……。
まあ、ケンカじゃなくて、競争なら、ケガもしないか……?
「はいっ、位置について~」
「えっ」
「もうやんのか⁉」
おれとマナトはあわてて横に並ぶ。
「よ~い、ドン!」
ノワールの号令とともに、おれもマナトもびゅんっととびだした。
ここは、おれたちの住む絵空市から、ずうっと離れたところだ。
近くに島みたいな陸地もないし、船も通らない。
おれのお気に入りの場所。
「どこかに、めっちゃくちゃ広い、
力を開放できる場所はないかの~?」
って、ノワールに聞かれて、思いついたのがこの場所だった。
ここでは、おれは能力を存分に発揮できる。
ストレスがたまった時に、よく利用してるんだよな。
念動力を思いっ切り海にたたきつけて、海に渦をつくったりとか。
発火能力で大きな火の玉をつくっても、ここだと海水で消せるしな。
もちろん、テレパシーで、周りに人がいないか確認してやってるぞ。
ここまでは瞬間移動でやってきた。
人払いの結界をはった教室から、マナトとノワールと一緒に移動したのだ。
「これが、瞬間移動……」
ってつぶやいたときのマナトの顔といったら!
「なあ、もう勝負ついてんじゃね?
今だって、マナトのこと、おれがささえてやってるだろ?」
海に落ちないように、おれは念動力で自分とマナトを宙に浮かせている。
ノワールは、自力でどこかへ飛んでいってしまった。
「う、うるさいな。
まだ勝負ははじまってないだろ」
マナトはそう言うと、ブレザーに手をつっこんだ。
とりだしたのは……、ホウキ!
なんていうか、魔法使いが空を飛ぶときにのってる、あのホウキだ。
え? そんなの、どう見てもブレザーの内ポケットに入んねーだろ!
おれがじっと見つめると、マナトはニヤリと笑った。
「マジック・ポケットだよ。
見た目は普通のポケットだけど、倉庫なみの空間が中には広がってる」
ふ、ふうん。
そんな魔法もあるのか。
マナトはホウキにまたがって、「もうささえなくていい」と言った。
おれが念動力のささえをはずすと、マナトは宙に浮かんでいた。
……ファンタジー映画みたいだ。
まあ、おれもやろうと思えば同じことできるんだけど、
やっぱり本場(?)はサマになってる。
でも、口から出たのは自分でも意地が悪いと思う言葉だった。
「なんだ、杖の次はホウキ?
やっぱり魔法使いって、何かつかわないと、何もできないんだな」
「うるせーな、なんならもう勝負をはじめるか?」
おれたちの間にバチバチと火花がちる。
と、そこに、どこかに行っていたノワールがかえってきた。
「どこ行ってたんだノワール。
さ、勝負をはじめるぞ。
エスパーなんて、たたきつぶしてやろう」
マナトの肩に、ばさりとノワールがとまる。
鷹匠(たかじょう)みたいで、カッコイイな……。
いやいや、うらやましくなんてないぞ。
「お? オマエら、戦うつもりか?」
首をかわいらしくかしげるノワールに、おれとマナトは顔を見合わせた。
「いや、だって、勝負だろ?」
「そういう流れだったよな、今」
ふたりでそう言うと、ノワールはじいさんみたいにほっほっほと笑った。
「こんなハチャメチャな能力をもったふたりで、か?
確実に痛い思いをするぞ。
やけど、すり傷なんて軽い軽い。
骨折、内臓損傷。
へたをすれば、意識をなくして海に落っこちておぼれてしまうかもな」
……想像してぞくっとした。
確かにおれ、超能力をつかったケンカなんて、したことがない。
力の加減がわからなくて……、
それこそ、マナトに、大きなケガをさせてしまうかも。
「そんなの、ショック・セーフティをかければ……。
って、そうか、リキ、エスパーだもんな。
あーあ、エスパーってめんどくせー!」
大げさにマナトはため息をついた。
どうやら魔法には、ケガを回避する何かがあるらしい。
ムカつくのと気になるので、なんだか心がモヤモヤする。
「ってことでな、ここをまっすぐいったところに、わしがゴールをつくってきた」
「ゴール?」
まっすぐ、と翼で指し示したノワールに、おれとマナトの疑問の声が重なる。
「そう、ゴールじゃ。題して……。
エスパーVS.魔法使い! 障害物競争~!」
つばさを広げ、めちゃくちゃ楽しそうにノワールは宣言した。
しょ、障害物競争?
「急にそんな……。
てか、障害物って、なんなんだ?」
思わず声を上げたおれに、ノワールはまあまあとなだめるようなしぐさをする。
「お互いが、お互いの障害物じゃ。
魔法や超能力で、相手を妨害する。
どんな能力をつかってもヨシ!
ただ、勝利条件はこうじゃ。
『おのれの体で、ゴールテープを先に切ったもの』。
それが、勝者となる」
お互いが、お互いの障害物……。
まあ、ケンカじゃなくて、競争なら、ケガもしないか……?
「はいっ、位置について~」
「えっ」
「もうやんのか⁉」
おれとマナトはあわてて横に並ぶ。
「よ~い、ドン!」
ノワールの号令とともに、おれもマナトもびゅんっととびだした。
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