【完結】エス★まほ ~エスパーと魔法使い、出会う~

みなづきよつば

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3.なんでもアリの障害物競走

3-1

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 おれたちは、だだっ広い海の上にいた。
 ここは、おれたちの住む絵空市から、ずうっと離れたところだ。
 近くに島みたいな陸地もないし、船も通らない。
 おれのお気に入りの場所。

「どこかに、めっちゃくちゃ広い、
力を開放できる場所はないかの~?」

 って、ノワールに聞かれて、思いついたのがこの場所だった。
 ここでは、おれは能力を存分に発揮できる。
 ストレスがたまった時に、よく利用してるんだよな。
 念動力を思いっ切り海にたたきつけて、海に渦をつくったりとか。
 発火能力で大きな火の玉をつくっても、ここだと海水で消せるしな。
 もちろん、テレパシーで、周りに人がいないか確認してやってるぞ。
 ここまでは瞬間移動でやってきた。
 人払いの結界をはった教室から、マナトとノワールと一緒に移動したのだ。

「これが、瞬間移動……」

 ってつぶやいたときのマナトの顔といったら!

「なあ、もう勝負ついてんじゃね? 
今だって、マナトのこと、おれがささえてやってるだろ?」

 海に落ちないように、おれは念動力で自分とマナトを宙に浮かせている。
 ノワールは、自力でどこかへ飛んでいってしまった。

「う、うるさいな。
まだ勝負ははじまってないだろ」

 マナトはそう言うと、ブレザーに手をつっこんだ。
 とりだしたのは……、ホウキ!
 なんていうか、魔法使いが空を飛ぶときにのってる、あのホウキだ。
 え? そんなの、どう見てもブレザーの内ポケットに入んねーだろ!
 おれがじっと見つめると、マナトはニヤリと笑った。

「マジック・ポケットだよ。
見た目は普通のポケットだけど、倉庫なみの空間が中には広がってる」

 ふ、ふうん。
 そんな魔法もあるのか。
 マナトはホウキにまたがって、「もうささえなくていい」と言った。
 おれが念動力のささえをはずすと、マナトは宙に浮かんでいた。
 ……ファンタジー映画みたいだ。
 まあ、おれもやろうと思えば同じことできるんだけど、
 やっぱり本場(?)はサマになってる。
 でも、口から出たのは自分でも意地が悪いと思う言葉だった。

「なんだ、杖の次はホウキ? 
やっぱり魔法使いって、何かつかわないと、何もできないんだな」

「うるせーな、なんならもう勝負をはじめるか?」

 おれたちの間にバチバチと火花がちる。
 と、そこに、どこかに行っていたノワールがかえってきた。

「どこ行ってたんだノワール。
さ、勝負をはじめるぞ。
エスパーなんて、たたきつぶしてやろう」

 マナトの肩に、ばさりとノワールがとまる。
 鷹匠(たかじょう)みたいで、カッコイイな……。
 いやいや、うらやましくなんてないぞ。

「お? オマエら、戦うつもりか?」

 首をかわいらしくかしげるノワールに、おれとマナトは顔を見合わせた。

「いや、だって、勝負だろ?」

「そういう流れだったよな、今」

 ふたりでそう言うと、ノワールはじいさんみたいにほっほっほと笑った。

「こんなハチャメチャな能力をもったふたりで、か? 
確実に痛い思いをするぞ。
やけど、すり傷なんて軽い軽い。
骨折、内臓損傷。
へたをすれば、意識をなくして海に落っこちておぼれてしまうかもな」

 ……想像してぞくっとした。
 確かにおれ、超能力をつかったケンカなんて、したことがない。
 力の加減がわからなくて……、
 それこそ、マナトに、大きなケガをさせてしまうかも。

「そんなの、ショック・セーフティをかければ……。
って、そうか、リキ、エスパーだもんな。
あーあ、エスパーってめんどくせー!」

 大げさにマナトはため息をついた。
 どうやら魔法には、ケガを回避する何かがあるらしい。
 ムカつくのと気になるので、なんだか心がモヤモヤする。

「ってことでな、ここをまっすぐいったところに、わしがゴールをつくってきた」

「ゴール?」

 まっすぐ、と翼で指し示したノワールに、おれとマナトの疑問の声が重なる。

「そう、ゴールじゃ。題して……。
エスパーVS.魔法使い! 障害物競争~!」

 つばさを広げ、めちゃくちゃ楽しそうにノワールは宣言した。

 しょ、障害物競争?

「急にそんな……。
てか、障害物って、なんなんだ?」

 思わず声を上げたおれに、ノワールはまあまあとなだめるようなしぐさをする。

「お互いが、お互いの障害物じゃ。
魔法や超能力で、相手を妨害する。
どんな能力をつかってもヨシ! 
ただ、勝利条件はこうじゃ。
『おのれの体で、ゴールテープを先に切ったもの』。
それが、勝者となる」

 お互いが、お互いの障害物……。
 まあ、ケンカじゃなくて、競争なら、ケガもしないか……?

「はいっ、位置について~」

「えっ」

「もうやんのか⁉」

 おれとマナトはあわてて横に並ぶ。

「よ~い、ドン!」

 ノワールの号令とともに、おれもマナトもびゅんっととびだした。
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