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終章 月と亜空落着編
真、感嘆する
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考えてみれば。
「ねえ」
ロナ。
既に魅了の効果は彼女なら完全に抑え込める程度まで希釈されてる。
あと数日で完治というところだ。
けれどロナなら、もう帰しても問題は無いんじゃないかな。
「……もしもし?」
魔族はさ。
実力こそ全ての世界で生きている。
魔将なら、至るまでの道筋は一体どれほどのものか。
僕はよくわかってなかったみたいだ。
もちろん、戦闘能力のみを語るなら魔族に見るべきものは特にない。
そこじゃないんだな。
イオやレフトなら指揮や戦略眼、役割によっては内政能力もか?
モクレンは研究者っぽかったから開発能力や優れた発想や着眼点とか?
そしてロナなら……諜報、情報収集、人心の把握や操作ってとこか。
「圧だけかけて喋らせるってのはね、ライドウ、殿には向かない手法よ?」
王国や帝国、ヒューマン勢力に最も接近する魔将であるロナは当たり前だけど勇者の魅了に晒される可能性が高い。
まあ先輩の魅了は今一つ裏切り工作に向いてるのかどうかわからないとこがある。
ただ智樹の魅了は明らかに危険だ。
特に異性に効果が高いし、部下の誰がやられたかを分析すれば自身が大丈夫かどうかも把握はできる。
かと言って帝国から手を引く訳にはいかない。
危機意識は当然高まる。
そこで、僕か。
万が一自分が魅了を食らった時の対策。
魅了された後、智樹のとこに直行して魔族の情報をぺらぺら話したりしない為に。
己がゼフを害さない為に。
智樹も敵視している僕を殺してあいつへの手土産として献上する、という意識を魅了と相反しない形で暗示として埋め込む。
「本当に、大した人だ。ロナ」
「っ!?」
『!?!?』
ぽつりと心情が口から漏れた。
交渉術でも何でもなく、ただの本音だ。
何か別室で妙な気配が生まれた気がするけど、まあ些細な事だろう。
「わ、若様?」
同席してくれてるサリが何やら僕を案じてくれる。
目が真ん丸である。
ロナを多少褒めるだけで何故そこまで驚かれるのか。
サリには連日事情聴取に協力してもらってるけど、ちょっと無理を頼み過ぎたかな。
「今度は褒め殺し? 習ったばかりの手を私で試しても効果なんてわからないわよ。こう見えても私はそっちのプロなんですけど。そりゃ貴方の部下は中々本音を言いにくいかも――」
「よく理解して計算されてると思うよ」
「?」
「僕なら」
「……」
「魅了を治療するかお前を殺すかしてくれると、よく考えたもんだね」
「へぇ」
「しかも、おっかない事にこうやってウチに特攻かけてきても僕やクズノハ商会が魔族を敵とみなして対立する事はないとも……確信してたよね?」
「……」
「ロナ? 貴女……」
沈黙するロナ。
その沈黙を咎めるように短く名を呼んだサリ。
「僕はお前ほど人の心を見極めるのが得意じゃないけどさ。聞きたい事が一つある。合ってたら教えてくれるか」
「その位なら構わないわ。むしろ問われたなら私は答えるべきでしょうから」
「僕を安全装置に仕込むって決めたのは、サリが僕に引き取られた時?」
ロナから奇襲や特攻をかけられて尚、僕が魔族全てを敵視しないと判断する条件。
それは僕が魔族を一人でも身内に引き入れた時じゃないかと思った。
「……正解。でも、どうかしら。結果的に答えは合ってた、と言った方が正しい気もするわね。もちろん、陛下に会った頃の貴方よりずっと頭を使う様になってると思うけれど、ね」
「僕が魔族を受け入れた具体的な例が出来たから、じゃないのか?」
「ふふ、それは最後のキーよ。サリ様が引き取られていなくてもほぼ確証は持っていた。サリ様は、お守りみたいなものだったわ」
……。
僕の行動とか性格、周囲の意見も把握してほぼ僕が魔族そのものを敵視しないと判断した、と。
サリは駄目押しでしかなかったって感じだな。
余計おっかなくなった。
この魔族野郎め、あんな寒いとこに連れてったかと思えば頭おかしくなった魔将に無茶させやがってぶっとばーすってならないと読み切られてたんだもんな。
実際そこまで考えてないし。
でもやられた事を考えると場合によっては僕らとも戦争する事になってた可能性だってあるよなと不意に思ってしまった訳で。
そんな事をぐるぐると考えながらロナの前に座って彼女の顔を見てたら、つい策士とか軍師みたいな人種の怖さを感じたと言いますか。
つい、心から感心してしまった。
「なるほどなぁ」
「……あの若様。ちなみになのですが、一つお聞きしても?」
「なに、サリ?」
そういえばこの子もすっかり亜空に染まってきて堅苦しい感じがなくなってきたと思う。
あ、魔族の一部を受け入れるってのもヒューマンの受け入れと並行して計画を進めてもらわないとね。
「魔族への報復、何をお考えなのかなと」
「……」
ロナの沈黙。
その色が変わったのがわかる。
明らかに僕の裡を探ってる。
流石のロナも何もされないとまでは考えてない。
そういう事だろう。
でも……。
「当面は、何も」
『!!』
聞いてきたサリも、探ってたロナも驚愕で目を見開いた。
ま、そうなるよね。
「何も、なさらないのですか? ロナは、事情こそあれクズノハ商会、いえ若様を完全に己の都合のみで利用したのですよ?」
と、サリ。
「冗談でしょう? 私の身柄で多少なりとも交渉をするでしょう、普通!?」
と、ロナ。
確かに巴や識、環から提案された素敵なる報復案には魔族から搾り取る案も多々あった。
でも僕にはどうにもぴったりくるものが無くて保留してたんだよね。
「そりゃあロナの黒雷? あんなの女神の使徒以外が使うんかいと思ったし、使う度に全身から血を吹きだしてるんじゃ割に合うんだか合わないんだかって思ったりもしたよ?」
「まず思うのはそこなの!?」
「痛覚に干渉しての即死系ってのは、その、僕は耐えられたみたいだからそういうもんかなと。赤いのも状態異常のオンパレードをばら撒く嫌らしいのだったからさ。流石は神サマのインチキ魔法って半笑いになったくらいだ」
「……既に本物の女神の使徒と遭遇して交戦までしてたのは完全に誤算だったわ。魔力体、だったかしら。リミアでライドウの切り札を見た時魔力量に圧倒はされたけれど、最悪、私の黒雷なら相打ち覚悟で仕留められると勝算を得た気でいた。あらゆる魔力、魔術に打ち克つのが雷属性だもの」
リミア……。
ああ、イオとソフィアと戦った時か。
先輩と再会したのも、あの時だった。
「ちなみに、一応聞いておくけどその雷、魔族の技術開発で使える様になったんじゃないよね。ロナ以外が使ったのを見た事も聞いた事もないし」
「ええ。詳しく話すのは無理だけど、アレは誰でも使えるものではないわ。偶発的に私が代償付きで使えるだけ」
「そ」
「安心した?」
「ああ。雷にはウチの大事な仲間も手酷くやられた。帝国の勇者の魅了にもね。警戒して当然でしょ」
「同意見よ。で、結果的に貴方たちは魅了のサンプルも雷のサンプルも偶然にも手に入れられた。私もそれなりの情報提供はした。そろそろ、私を解放してくれてもいいんじゃないかしら。わかっているでしょうけど魔族にとって今は一分一秒を争う大事な時なの。ヘマをしたってだけでも後悔が尽きないのに、これ以上拘束を続けられても押し問答になるばかり、お互いに利が無いのは……わかるでしょう?」
「ああ。明日にでも解放しよう。なんだったらケリュネオン辺りまで飛ばしてもいい」
「っ、それは、助かるわね」
あっさり解放すると言われて面食らったロナは、それでも満面の笑みを浮かべて見せた。
人好きのするというか、性根を知らなければロナに好意を抱くだろう満点の笑顔だ。
ケリュネオンってとこにも驚いていたようだけど、その感情は一瞬で消えた。
魔将ロナ、か。
「了解。それじゃあ、後はサリに任せようかな。昔馴染と話をしてもいいし、何か聞き忘れてた事や気になる事を話しても良い。夕方にでも迎えに来るよ」
席を立つ。
この数日、色々な質問をロナにしてきた。
その度にわずかでも浮かび上がった記憶をきっかけにして巴が情報収集を進めてくれてる。
もう、彼女に聞くべき事はない。
言える事も言えない事も大体引き出し終えてるんだ。
「よろしいのですか、若様」
「もちろん。何だったら連れてきたい人のリスト作りでも頼んでみたら? サリの考えている事も魔族の為ではあるんだ、ロナだって頭っから断ったりしないよ。でしょ?」
「……ええ。ライドウ。こんな事、聞ける立場じゃないのは承知で一つ質問してもいいかしら」
おや、珍しい。
ロナから質問か。
自分の身体についての情報はもう知っている筈だし、何だろうな。
こちらから聞くばかりじゃなく、こちらも彼女の質問にはそれなりに答えてきた。
ここが海底である事や、転移は命を落とす危険もある事。
日付も教えたっけか。
「どうぞ?」
「何故、報復をしないの? 当面といった意味は?」
「今これだって思う報復が思い付かないから。当面って言ったのは、こうしとけばいずれこの礼として何かするかもしれないけどそれはそっちも納得するしかない……だろ?」
「そ!?」
そう。
今後魔族に不利な何かをするかもしれない時。
この事を理由にすればいい。
行動には時に大義名分が必要になる。
必要でなくとも、色々な意味で格段に動きやすくなる。
白紙の小切手を一枚もらったと思う事にするね、と。
まあそんなとこだ。
「魔将に襲われた、これは動かせない事実だ。じゃ、よろしく」
特に魔王様にお伺いを立てる必要はないだろう。
ロナの今回の行動は多分、ゼフも知らない。
なら明日、ケリュネオンの外れでぽいすれば自分で帰るでしょ。
サリも外に頼みたい事はあるだろう、亜空の事はここまでの行動を見ていても暴露する心配はない。
なんだ、結果だけみればロナの企みも意外と悪い事ばっかでもなかったな。
「ねえ」
ロナ。
既に魅了の効果は彼女なら完全に抑え込める程度まで希釈されてる。
あと数日で完治というところだ。
けれどロナなら、もう帰しても問題は無いんじゃないかな。
「……もしもし?」
魔族はさ。
実力こそ全ての世界で生きている。
魔将なら、至るまでの道筋は一体どれほどのものか。
僕はよくわかってなかったみたいだ。
もちろん、戦闘能力のみを語るなら魔族に見るべきものは特にない。
そこじゃないんだな。
イオやレフトなら指揮や戦略眼、役割によっては内政能力もか?
モクレンは研究者っぽかったから開発能力や優れた発想や着眼点とか?
そしてロナなら……諜報、情報収集、人心の把握や操作ってとこか。
「圧だけかけて喋らせるってのはね、ライドウ、殿には向かない手法よ?」
王国や帝国、ヒューマン勢力に最も接近する魔将であるロナは当たり前だけど勇者の魅了に晒される可能性が高い。
まあ先輩の魅了は今一つ裏切り工作に向いてるのかどうかわからないとこがある。
ただ智樹の魅了は明らかに危険だ。
特に異性に効果が高いし、部下の誰がやられたかを分析すれば自身が大丈夫かどうかも把握はできる。
かと言って帝国から手を引く訳にはいかない。
危機意識は当然高まる。
そこで、僕か。
万が一自分が魅了を食らった時の対策。
魅了された後、智樹のとこに直行して魔族の情報をぺらぺら話したりしない為に。
己がゼフを害さない為に。
智樹も敵視している僕を殺してあいつへの手土産として献上する、という意識を魅了と相反しない形で暗示として埋め込む。
「本当に、大した人だ。ロナ」
「っ!?」
『!?!?』
ぽつりと心情が口から漏れた。
交渉術でも何でもなく、ただの本音だ。
何か別室で妙な気配が生まれた気がするけど、まあ些細な事だろう。
「わ、若様?」
同席してくれてるサリが何やら僕を案じてくれる。
目が真ん丸である。
ロナを多少褒めるだけで何故そこまで驚かれるのか。
サリには連日事情聴取に協力してもらってるけど、ちょっと無理を頼み過ぎたかな。
「今度は褒め殺し? 習ったばかりの手を私で試しても効果なんてわからないわよ。こう見えても私はそっちのプロなんですけど。そりゃ貴方の部下は中々本音を言いにくいかも――」
「よく理解して計算されてると思うよ」
「?」
「僕なら」
「……」
「魅了を治療するかお前を殺すかしてくれると、よく考えたもんだね」
「へぇ」
「しかも、おっかない事にこうやってウチに特攻かけてきても僕やクズノハ商会が魔族を敵とみなして対立する事はないとも……確信してたよね?」
「……」
「ロナ? 貴女……」
沈黙するロナ。
その沈黙を咎めるように短く名を呼んだサリ。
「僕はお前ほど人の心を見極めるのが得意じゃないけどさ。聞きたい事が一つある。合ってたら教えてくれるか」
「その位なら構わないわ。むしろ問われたなら私は答えるべきでしょうから」
「僕を安全装置に仕込むって決めたのは、サリが僕に引き取られた時?」
ロナから奇襲や特攻をかけられて尚、僕が魔族全てを敵視しないと判断する条件。
それは僕が魔族を一人でも身内に引き入れた時じゃないかと思った。
「……正解。でも、どうかしら。結果的に答えは合ってた、と言った方が正しい気もするわね。もちろん、陛下に会った頃の貴方よりずっと頭を使う様になってると思うけれど、ね」
「僕が魔族を受け入れた具体的な例が出来たから、じゃないのか?」
「ふふ、それは最後のキーよ。サリ様が引き取られていなくてもほぼ確証は持っていた。サリ様は、お守りみたいなものだったわ」
……。
僕の行動とか性格、周囲の意見も把握してほぼ僕が魔族そのものを敵視しないと判断した、と。
サリは駄目押しでしかなかったって感じだな。
余計おっかなくなった。
この魔族野郎め、あんな寒いとこに連れてったかと思えば頭おかしくなった魔将に無茶させやがってぶっとばーすってならないと読み切られてたんだもんな。
実際そこまで考えてないし。
でもやられた事を考えると場合によっては僕らとも戦争する事になってた可能性だってあるよなと不意に思ってしまった訳で。
そんな事をぐるぐると考えながらロナの前に座って彼女の顔を見てたら、つい策士とか軍師みたいな人種の怖さを感じたと言いますか。
つい、心から感心してしまった。
「なるほどなぁ」
「……あの若様。ちなみになのですが、一つお聞きしても?」
「なに、サリ?」
そういえばこの子もすっかり亜空に染まってきて堅苦しい感じがなくなってきたと思う。
あ、魔族の一部を受け入れるってのもヒューマンの受け入れと並行して計画を進めてもらわないとね。
「魔族への報復、何をお考えなのかなと」
「……」
ロナの沈黙。
その色が変わったのがわかる。
明らかに僕の裡を探ってる。
流石のロナも何もされないとまでは考えてない。
そういう事だろう。
でも……。
「当面は、何も」
『!!』
聞いてきたサリも、探ってたロナも驚愕で目を見開いた。
ま、そうなるよね。
「何も、なさらないのですか? ロナは、事情こそあれクズノハ商会、いえ若様を完全に己の都合のみで利用したのですよ?」
と、サリ。
「冗談でしょう? 私の身柄で多少なりとも交渉をするでしょう、普通!?」
と、ロナ。
確かに巴や識、環から提案された素敵なる報復案には魔族から搾り取る案も多々あった。
でも僕にはどうにもぴったりくるものが無くて保留してたんだよね。
「そりゃあロナの黒雷? あんなの女神の使徒以外が使うんかいと思ったし、使う度に全身から血を吹きだしてるんじゃ割に合うんだか合わないんだかって思ったりもしたよ?」
「まず思うのはそこなの!?」
「痛覚に干渉しての即死系ってのは、その、僕は耐えられたみたいだからそういうもんかなと。赤いのも状態異常のオンパレードをばら撒く嫌らしいのだったからさ。流石は神サマのインチキ魔法って半笑いになったくらいだ」
「……既に本物の女神の使徒と遭遇して交戦までしてたのは完全に誤算だったわ。魔力体、だったかしら。リミアでライドウの切り札を見た時魔力量に圧倒はされたけれど、最悪、私の黒雷なら相打ち覚悟で仕留められると勝算を得た気でいた。あらゆる魔力、魔術に打ち克つのが雷属性だもの」
リミア……。
ああ、イオとソフィアと戦った時か。
先輩と再会したのも、あの時だった。
「ちなみに、一応聞いておくけどその雷、魔族の技術開発で使える様になったんじゃないよね。ロナ以外が使ったのを見た事も聞いた事もないし」
「ええ。詳しく話すのは無理だけど、アレは誰でも使えるものではないわ。偶発的に私が代償付きで使えるだけ」
「そ」
「安心した?」
「ああ。雷にはウチの大事な仲間も手酷くやられた。帝国の勇者の魅了にもね。警戒して当然でしょ」
「同意見よ。で、結果的に貴方たちは魅了のサンプルも雷のサンプルも偶然にも手に入れられた。私もそれなりの情報提供はした。そろそろ、私を解放してくれてもいいんじゃないかしら。わかっているでしょうけど魔族にとって今は一分一秒を争う大事な時なの。ヘマをしたってだけでも後悔が尽きないのに、これ以上拘束を続けられても押し問答になるばかり、お互いに利が無いのは……わかるでしょう?」
「ああ。明日にでも解放しよう。なんだったらケリュネオン辺りまで飛ばしてもいい」
「っ、それは、助かるわね」
あっさり解放すると言われて面食らったロナは、それでも満面の笑みを浮かべて見せた。
人好きのするというか、性根を知らなければロナに好意を抱くだろう満点の笑顔だ。
ケリュネオンってとこにも驚いていたようだけど、その感情は一瞬で消えた。
魔将ロナ、か。
「了解。それじゃあ、後はサリに任せようかな。昔馴染と話をしてもいいし、何か聞き忘れてた事や気になる事を話しても良い。夕方にでも迎えに来るよ」
席を立つ。
この数日、色々な質問をロナにしてきた。
その度にわずかでも浮かび上がった記憶をきっかけにして巴が情報収集を進めてくれてる。
もう、彼女に聞くべき事はない。
言える事も言えない事も大体引き出し終えてるんだ。
「よろしいのですか、若様」
「もちろん。何だったら連れてきたい人のリスト作りでも頼んでみたら? サリの考えている事も魔族の為ではあるんだ、ロナだって頭っから断ったりしないよ。でしょ?」
「……ええ。ライドウ。こんな事、聞ける立場じゃないのは承知で一つ質問してもいいかしら」
おや、珍しい。
ロナから質問か。
自分の身体についての情報はもう知っている筈だし、何だろうな。
こちらから聞くばかりじゃなく、こちらも彼女の質問にはそれなりに答えてきた。
ここが海底である事や、転移は命を落とす危険もある事。
日付も教えたっけか。
「どうぞ?」
「何故、報復をしないの? 当面といった意味は?」
「今これだって思う報復が思い付かないから。当面って言ったのは、こうしとけばいずれこの礼として何かするかもしれないけどそれはそっちも納得するしかない……だろ?」
「そ!?」
そう。
今後魔族に不利な何かをするかもしれない時。
この事を理由にすればいい。
行動には時に大義名分が必要になる。
必要でなくとも、色々な意味で格段に動きやすくなる。
白紙の小切手を一枚もらったと思う事にするね、と。
まあそんなとこだ。
「魔将に襲われた、これは動かせない事実だ。じゃ、よろしく」
特に魔王様にお伺いを立てる必要はないだろう。
ロナの今回の行動は多分、ゼフも知らない。
なら明日、ケリュネオンの外れでぽいすれば自分で帰るでしょ。
サリも外に頼みたい事はあるだろう、亜空の事はここまでの行動を見ていても暴露する心配はない。
なんだ、結果だけみればロナの企みも意外と悪い事ばっかでもなかったな。
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