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授業参観で保護者交流する俺
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今日は理知の授業参観だ。
今まで授業参観には普通に龍生が行っていたから、初めて理知の授業風景を生で見られる。
理知の通う小学校は色々とゆるい。
多様性を重んじていて、生徒ファーストを掲げているため生徒の親が犯罪者だろうが受け入れ、生徒たちもそれを理解し受け入れている。
だからヤクザの組長の俺もすんなり入れるわけだ。
それに、一般素人がヤクザの組長の顔なんてそうそう知ってるはずが無い。
ざわつく教室の後ろのドアを一張羅のスーツで潜ると、すぐに理知と目が合った。
理知は俺を確認した瞬間前を向いて俯いてしまったが、耳が赤いから照れているんだろう。お圭が横でニヤニヤと笑っている。
「賽川さん、お久しぶりです」
「ああ、お圭の」
理知のことばかり見ていたらすぐ横にお圭の父親が来ていた。
まともに会うのは理知のランドセルを買いに行ったとき以来だ。
「賽川さん、こちら史助君のお姉さんと聖二郎君の叔父さんです」
「ど、どうも…」
そうか、子供の授業参観の場は保護者の交流の場でもあるのか。よく見ればあちこちで挨拶やら談笑が始まっている。
元水竜で今はヤクザの組長の俺が、理知のためとは言え一般人とある程度お付き合いしなきゃいけないのは苦痛だと思った。
だが、それはあくまで俺が想像していたまともな一般人であって。
「ども!史助の姉のユリカっす!あ、これタバコじゃなくてココアシガレットっすから!未成年喫煙ダメ、ゼッタイ」
「は、はは…」
史助の姉は族の特効服みたいな服にサラシを巻いた分かりやすいヤンキーだった。
しかも底抜けに明るい性格で史助とは何もかも正反対だ。
姉がこんなだから史助は無口になったのではと勘繰ってしまう。
そんな史助の姉より驚いたのが
「ハジメマシテ、賽川サン、ワタシ聖二郎のオジ、ラムゼイ。日本語ヘタデゴメナサイ。ヨロシクオネガイシマス」
「あ、ああ、ヨロシク…」
何故か俺も片言になってしまった。
聖二郎の叔父は思い切り外人なのは置いといて、身体が超絶マッスルでそれを隠しもしないタンクトップスタイル。
でも性格は奥ゆかしくてギャップが凄かった。
正直、上手くやっていく自信が無いな…。
自然と光明院の陰に隠れる位置に立つ。
そんな俺に気を遣ってくれているのか、ユリカとラムゼイは2人で談笑し始めた。
「最近どうですか、景気の方は」
そうなると俺と光明院が話すことになる。
「ああ、まあぼちぼちだな」
「そうですか。もしお困りでしたらいつでもご相談ください」
「ふん、それは何だ理知とお圭のよしみってやつか?」
「まさかまさか。貴方なら信用出来るからですよ」
「…」
信用出来る?俺を?
出会って数年、数回しか会ってない俺を信用出来るとはどういった了見だ?
そう言えばコイツ、出会ったときも妙なこと言ってやがったな。
『賽川さんあなた…、いや…今日の主役は子供たちだ。この話はまたの機会に…』
まるで以前から俺を知っているような…。
俺が水竜のころか?ダメだ、全然思い出せねぇ…。
「おい、あんたこの前…」
ガラガラガラ
「は~い皆さん静かにしましょ~!あ、もちろん保護者の方たちもですよ~(笑)それでは楽しい授業参観をはじめま~す!」
真相を訊きたかったが、担任が入って来て授業参観が始まってしまった。
何か言いたげな俺に光明院はウィンクして理知たちの方を指差す。
今日も話してくれる気は無いらしい。
胸にもやっとした物が残りつつも理知に集中する。
前に出て問題を解き、戻るときに俺をチラッと見てはにかんだのが可愛かった。
そして授業参観のあと保護者参加型のレクリエーションというものが体育館で行われ、案の定理知の友だちとその保護者と組む事になった俺はヘトヘトになって事務所に戻ることになる。
「おじさん、今日はありがとう」
「お、おう…、このくらい、朝飯前だ…」
理知の笑顔が無きゃ割りに合わなかったぜ…。
今まで授業参観には普通に龍生が行っていたから、初めて理知の授業風景を生で見られる。
理知の通う小学校は色々とゆるい。
多様性を重んじていて、生徒ファーストを掲げているため生徒の親が犯罪者だろうが受け入れ、生徒たちもそれを理解し受け入れている。
だからヤクザの組長の俺もすんなり入れるわけだ。
それに、一般素人がヤクザの組長の顔なんてそうそう知ってるはずが無い。
ざわつく教室の後ろのドアを一張羅のスーツで潜ると、すぐに理知と目が合った。
理知は俺を確認した瞬間前を向いて俯いてしまったが、耳が赤いから照れているんだろう。お圭が横でニヤニヤと笑っている。
「賽川さん、お久しぶりです」
「ああ、お圭の」
理知のことばかり見ていたらすぐ横にお圭の父親が来ていた。
まともに会うのは理知のランドセルを買いに行ったとき以来だ。
「賽川さん、こちら史助君のお姉さんと聖二郎君の叔父さんです」
「ど、どうも…」
そうか、子供の授業参観の場は保護者の交流の場でもあるのか。よく見ればあちこちで挨拶やら談笑が始まっている。
元水竜で今はヤクザの組長の俺が、理知のためとは言え一般人とある程度お付き合いしなきゃいけないのは苦痛だと思った。
だが、それはあくまで俺が想像していたまともな一般人であって。
「ども!史助の姉のユリカっす!あ、これタバコじゃなくてココアシガレットっすから!未成年喫煙ダメ、ゼッタイ」
「は、はは…」
史助の姉は族の特効服みたいな服にサラシを巻いた分かりやすいヤンキーだった。
しかも底抜けに明るい性格で史助とは何もかも正反対だ。
姉がこんなだから史助は無口になったのではと勘繰ってしまう。
そんな史助の姉より驚いたのが
「ハジメマシテ、賽川サン、ワタシ聖二郎のオジ、ラムゼイ。日本語ヘタデゴメナサイ。ヨロシクオネガイシマス」
「あ、ああ、ヨロシク…」
何故か俺も片言になってしまった。
聖二郎の叔父は思い切り外人なのは置いといて、身体が超絶マッスルでそれを隠しもしないタンクトップスタイル。
でも性格は奥ゆかしくてギャップが凄かった。
正直、上手くやっていく自信が無いな…。
自然と光明院の陰に隠れる位置に立つ。
そんな俺に気を遣ってくれているのか、ユリカとラムゼイは2人で談笑し始めた。
「最近どうですか、景気の方は」
そうなると俺と光明院が話すことになる。
「ああ、まあぼちぼちだな」
「そうですか。もしお困りでしたらいつでもご相談ください」
「ふん、それは何だ理知とお圭のよしみってやつか?」
「まさかまさか。貴方なら信用出来るからですよ」
「…」
信用出来る?俺を?
出会って数年、数回しか会ってない俺を信用出来るとはどういった了見だ?
そう言えばコイツ、出会ったときも妙なこと言ってやがったな。
『賽川さんあなた…、いや…今日の主役は子供たちだ。この話はまたの機会に…』
まるで以前から俺を知っているような…。
俺が水竜のころか?ダメだ、全然思い出せねぇ…。
「おい、あんたこの前…」
ガラガラガラ
「は~い皆さん静かにしましょ~!あ、もちろん保護者の方たちもですよ~(笑)それでは楽しい授業参観をはじめま~す!」
真相を訊きたかったが、担任が入って来て授業参観が始まってしまった。
何か言いたげな俺に光明院はウィンクして理知たちの方を指差す。
今日も話してくれる気は無いらしい。
胸にもやっとした物が残りつつも理知に集中する。
前に出て問題を解き、戻るときに俺をチラッと見てはにかんだのが可愛かった。
そして授業参観のあと保護者参加型のレクリエーションというものが体育館で行われ、案の定理知の友だちとその保護者と組む事になった俺はヘトヘトになって事務所に戻ることになる。
「おじさん、今日はありがとう」
「お、おう…、このくらい、朝飯前だ…」
理知の笑顔が無きゃ割りに合わなかったぜ…。
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