竜騎士王子のお嫁さん!

林優子

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第三章

17.優しくするから

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 王子は私を抱きしめながら、顔や髪や首元に唇を付けてきた。
 昨日とは打って変わって、確かにその手つきは壊れ物に触れるみたいに優しい。
「エルシー、愛してる」
 昨日の彼は恐ろしい程無言だったが、今日はドキドキするような言葉を囁いてくる。
 優しくされているのか……?

 普段よりちょっと甘くて、優しくて、そして切ない声で王子は愛の言葉を紡ぐ。
 そっと髪や肌を撫でられて、そっと囁かれる言葉に安心する……。
 昨日は、少し怖かった。
「グレン様……」
 抱きしめると彼も抱き返してくれる。

「エルシー」
 王子は私の体をでっかい手で撫でてくる。
 王子と私の身長差は30センチ近い。
 だから王子に抱きしめられると彼の体で私は包み込まれる。
 肌が隙間なく王子と触れているのが、暖かくて、心地良い。
「グレン様……」
 絶対安心出来る場所にいる。
 それが気持ち良くて身も心もトロトロに溶けそうになる。
 だけど、一カ所だけ、お腹の下がむずがゆく感じる……。

「あっ……」
 王子が私の胸に触れる。
 でも昨日と違って怖くない。やんわりと手のひら全体で撫でるように揉まれる。
 そうされるといつの間にか、胸全体が熱くなってくる。
「あっ…あんっ……」
 恥ずかしいけど、乳首が立ってきちゃう。
 段々、体の何処もかしこも熱くなって、膣がどんどんむずむずしてくる。

「可愛いな、エルシー、感じてきたか…?」
「だって……」
 決まり悪くて目を逸らす私の顎を取って王子はキスする。
「……んっ…」
 チロチロと舌を舐め合うキスは次第に深く、貪るようなキスに変わっていく。
 私もそして王子も夢中で相手の舌をくちゅくちゅといやらしい音を立てて舐め回す。
 キスしながら王子は私の全身を撫でる。
 触れられると、ドキドキしてぞわぞわして、どんどん敏感になっていく気がした。
 段々体から力が抜けて、頭の中にもやが掛かったみたいに、自分の体が自分のものじゃなくなっていく。


 下腹部が濡れてきたのが自分で分かる。
「エルシー」
 そこに触れられて、王子は慎重に指で膣の中を広げてくる。
 やっぱり昨日無茶苦茶されたせいで、ジンジンはする。
 でも指を撫でるようにゆっくり動かされると、きっ、気持ち良くなってくる。
「あっ……」
「いいか」
 と尋ねられて頷くと、王子はあれを入れてきた。
 ゆっくり、少しずつ入って来たが、やっぱり辛くて唇から苦痛の息が漏れる。
「ふっ……」
「大丈夫か」
 昨日の方がエライ強引だったが、今日はちょっと痛がっただけで、彼はあわてて問いかけてきた。
「はっ……はい」

 王子は私の呼吸に合わせてそっと探るように彼は入り口で揺するようにそれを馴染ませる。
 動かれているうちに気持ち良くなってくる。
「…ああっ……」
 王子は次第に奥へと入り込んで、でもゆっくり動いてくれる。
「っ……」
 奥まで突かれるとさすがに圧迫感が辛い。
「大丈夫か?」
 と彼はまた言った。
 王子が心配そうに私を見つめている。
 その目を見てると何かきゅんとして、腕を伸ばして彼にすがりついた。
「大丈夫だから…して……」
「本当だな」
 私を抱きしめながら、おそるおそる彼は聞く。
「好き、好き…会いたかった、ずっと会いたかったの……グレン様、愛してるの…私…あなたのこと…」
 そんなこと言いながらイッてしまった。




 ***

 エッチが終わってぼーっとしていると、王子が抱きしめて髪の毛なでなでしてくる。
 嬉しい。
 これ、好き。
 だが、この人はこういう『優しい』のではなく、昨日みたいな『優しくない』のが好きなんだろうか?
 思い切って聞いてみると、彼は否定した。
「いや、エルシーには出来るだけ優しくしたいと思っている」
 と彼は言った。
「そうですか」
 良いのかな?本当かな?
 王子は頬を少し赤らめた。
「優しくすると、エルシーからとても愛されていると感じる。嗚咽混じりの声で愛していると言われるのはとても良かった」
「あっ、はい……」
 そういえばさっき盛り上がってそんなことを言ってしまった。エッチの時のことをわざわざ言われると恥ずかしい。
「そっ、それは良かったです。優しくない方が好きだと毎回はちょっと……」
 誤魔化すようにそう言うと、王子は即座に反応した。金色の目を近づけて問われる。
「毎回でなければああいうのも良いのか?」
「えっ、どうでしょう。たまには?」
 正直、優しくない方は戸惑うし、それにあれは激しい運動過ぎる気がするが、王子が我慢し続けるのはやっぱり何か違う気がする。
「そうか、たまにはか……」
 しかし何か味わうようにその言葉を呟く王子には聞いておきたい。
「グレン様の考えるたまにはどのくらいの頻度なんでしょう?」
 少し考えて、彼は答えた。
「三日にいっぺんくらい」
「それはたまではないです。一年に一度とか、一ヶ月に一度くらいがたまです」
「そうか……」
 幾分ガッカリされたが、私は悪くない。
 現に王子はチラチラと私の様子を伺っている。
 ……まだ彼はエッチしたいのだ。
 だが、私はいくら優しくされても限界だ。股は痛い。諦めて貰うしかない。
 それにそっと抱っこされているのはとっても気持ち良いから私は無視して彼に話を振った。

「マルティアは、第一王子が王子様やめてどうするんですかね。いや、あの方は王様にならない方がいいと思うんですけど」
 という私の問いに対し、王子の答えは実に短いものだった。
「どうにかするだろう」
「……どうにかですか?」
「マルティアはこの国やアルステアのようにどうしても王が必要な国ではない。この国もマルティアも周辺諸国もたまたま王政だが、大陸を共和国が支配した時代もある」
 王子はあまり聞き慣れない言葉を口にした。
「共和国」
「評議員という貴族みたいなものが代表になって王などはなく、物事は話し合いで決めたらしい」
「えっ、そんなことする国があったんですか」
「大昔に大陸全土に戦いが広がり、滅びたそうだ」
「へー」
 王子、物知りだな。
「だからなんとでもなるものだ。誰かが王となってもいいし、共和国として皆で治めても良いだろう」
 王子は大して興味なさそうに言う。
 王子はこの時から既にいずれマルティアの王様になることを望まれていたが、当の王子に王様になる気はまったくない様子だった。


 一年後、そんな王子を王様にしたいマルティアの人々の懇願に負けたのは、はい、私です。





 ***

 竜の国のグレン王子は数奇な運命を辿った王である。
 まず彼は隣国マルティア国の王となり、次にアルステアの王となった。最後に竜の国の王となった。
 竜の国の王は妻を運命の乙女と呼び生涯愛すると言い伝えられるが、グレンもまたそうだった。
 彼の運命の乙女はエルシー・ヴィーヴル。








-*-*-*-*-*-

 二章と三章終了です。どうもありがとうございました。
 一章で書き切れなかったところ全部書いたよー(*゚∀゚*)ムハー!!
 ……って感じでしたが、読み返すとまだ子供が出来てない等、中途半端なところで終わったので、例によって続きは思いついたら書くかも知れません。
 その時はよろしくお願いします<(_ _)>
 ついでに、新作『第三王子のキス係』もよろしくお願いします。
 最後までどうもありがとうございました!
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みんなの感想(351件)

れんげ
2020.05.08 れんげ
ネタバレ含む
解除
コゲツ
2020.04.27 コゲツ

え!?完結ですか!?
お、おめでとうございます!

ということは。エルシーちゃん子供の予約がまた入ったようなもの…?
が、頑張れ(^^;)

林優子
2020.04.27 林優子

完結でございます(^^)
最後までありがとうございました。
エルシーには元気な子を産んで欲しいです。

解除
ぷにぷに0147
ネタバレ含む
林優子
2020.04.27 林優子

最後までお付き合いありがとうございます。
王子、影で頑張ってたのに(ノ∀`)
アルステアの王はエルシーが断れない未来が見えました。
また機会がございましたらよろしくお願いします。

解除
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