竜騎士王子のお嫁さん!

林優子

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第三章

15.優しく出来ない

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「エルシー……」
 変身が解け女の子に戻ると王子は、私を自分の方に向けさせた。
 顔を近づけ、彼はまじまじと私を見つめた。
 久しぶりに見ると、王子はビックリするくらい整った顔をしている。
 眉目秀麗というのか、男の人らしい端正な顔が、一瞬、泣きそうに歪んで、抱きしめられた。

「もう一生このまま俺はエルシーに会えないのかと思っていた」
 と王子が呟いた。
 人から聞くと大袈裟だなと思うが、私も朝、まったく同じこと考えていた。
 まさかこのまま一生王子に会えないんじゃないかって。
「私もそう思ってました……」
 会えた。
 王子だ。
 一ヶ月ぶりに王子に抱きしめられている。
 私も王子の背中に腕を回す。

「会いたかったです」
「うん……」


 王子は抱きしめた両腕の力を緩め、体を屈めると私に顔を近づける。
「エルシー」
 唇を離すと、王子は言った。
「今日は優しくは出来ない」
 ……いや、いつも言う程、優しくはないだろう。



 彼は今度は両腕に私を抱き上げると、部屋のベッドの上に降ろす。
 王子は着ていた竜騎士の制服を乱暴に脱ぎ捨てながら、じっと視線を私から離さない。
 目で、「脱げ」と促されている気がした。
 もう半分脱がされた見習い騎士の服は隠すところを隠せてない。
 でも恥ずかしいから、ベッドの中に潜り込んで男の子の服をもたもたと脱いでいると、王子が入ってくる。
 彼はそのまま私の顎を掴み、キスをしてきた。
「……!」
 王子は舌を絡めてきた。ぐっと口内に舌を押し込み、舌で舌で包むように舐め回す。
「ぷはっ」
 苦しくなって逃げようとしたが、両手で私の両頬を挟み込まれる。
 王子は口内を蹂躙した後、今度は私の胸元に吸い付いた。

「ひっ」
 ……確かにこれは優しくない。
 いつもってあんなんでも優しかったのか?
 王子は乳首を結構容赦なく吸った。
 そしてむにむに勢いよく揉まれて王子の手の中で胸が形を変える。
「……っ!」
 痛いという程痛くはない。むしろ気持ち良い……かもしれないが、それより何だか怖い。
「グレン様……」
 一ヶ月ぶりの王子に私はただ戸惑い、彼の名を呼ぶが、返事もなく彼は視線を下にやる。

「い、嫌ぁっ」
 なんかあそこを見られるのはすごく恥ずかしいじゃないですか。
 だから見ないで欲しいし、いつもは見ないでくれるのに、王子はわざわざ布団剥ぎ取ってまでじっと見つめた。
 足を閉じたが、無理矢理こじ開けられ、顔を近づけると彼は音を立ててクリトリスを舐める。
「やっ!……やっ!!」
 あそこに指を入ってくる。
 身をよじったが、王子にがっちり抱え直されただけだった。
「うー」
 嫌だし、怖いが、王子は私が一番感じちゃうところを知っている。
 一月ぶりにそこが、くにゅっとぬるんでくる。

 王子はいつもみたいに「いいか」とは聞かないで、大きく固くなったあれを私の中に突き入れてくる。
「あ……」
 一月ぶりに感じる圧迫感に、寒くもないのに全身が震えてくる。
 王子は、すぐに腰を動かした。
「あっ…はあっ……」
 王子はいつもより早く強く腰を前後させた。
 いつもは私の呼吸に動きに合わせていたんだなとようやく分かった。
 私は王子に付いていけず、翻弄されるまま揺すぶられる。
 乱暴な動きに、膣の中は体を守ろうと、愛液で濡れてくる。
 気持ち良くて濡れるのと何か違う。同じかも知れないけど、体感的には全然違う。
 濡れてきた膣内を王子は更に強く、奥まで突っ込んだ。
「く……」
 体が浮くぐらい奥を激しく突かれて、涙ぐんだが、王子は私の両肩を押さえ付けて動くのを止めない。
 私を壊しそうなくらい一段と激しい動きの後、それは突然終わって、王子が荒く息を吐き出す。
 彼がイッたのだと分かった。

 王子はあれを抜かずにそのまま腕を伸ばし、私を抱きしめる。
「グレン様……」
 やはり返事はない。
 そして何故か耳をべちょべちょになるまで舐めてくる。そして髪の毛に鼻を突っ込んで匂いを嗅がれた。

 その謎な行動の間にも私の中にある彼のおちんちんは大きく硬くなる。
 すると彼は私から体を離そうとした。
「あっ……」
 良く分からないが抱きしめられたのは嬉しかった。
 腕を離されて悲しくて声を上げると、王子は私を見た。
 そのまま抱き直され、そしてまた股をぐっと広げさせられ、彼は再度腰を動かし始めた。
 二回目のエッチも無言である。
「グ……グレン様」
 それほど口数が多いという人ではないが、彼だってエッチの時くらい、『可愛い』とか『愛している』くらいは言うのだ。
 普通だと思ったが、優しくしてああだったのか?
 本来なら無言なのか?
 そういえば、ジェローム様が以前は単語しか喋んない奴だったと言っていたが、これか?こういうことなのか?

 色々ぐるぐると考えると私もまた無言で、部屋にはただ荒い呼吸音とベットがきしむ音だけがする。
 ふと王子を見ると、王子は、何か考え込むように、味わうように目を閉じていた。
 これが王子の好きな動きなんだろう。
 早く強く性急なその動き方に慣れることはないが、二回目は何だか、嬉しくなり私は彼の背中に抱きしめる。
 王子は、これが気持ち良いみたいだ。
 貪るというのに相応しいガツガツとした余裕のない感じが、王子の気持ちそのものみたいな気がした。
 彼は、優しく出来ないくらい私を求めている。

 三度目、突かれていくうちに「あっ……」と声を上げると、王子は何故か目を大きく見開き、私を見つめた。
 ぐっと顔を近づけ、催促するみたいに同じ場所をまた突かれる。
「あっ……」
 もう一度、もう一度とねだるように彼は動いた。
「あっ、あっ…あん…あっ…あぁ……!」
 そのまま二人で絶頂する。
 気付くと王子は満足そうに私を見つめていた。

 四回目は後ろからだった。声を上げるように無言で催促された。
 具体的に言うと、彼は自分の好きな動きより、私が声を出しちゃうところを探ってきた。
 もうヘロッヘロだったが、もしかして私は自分が思うより丈夫なのかもしれない。
 感じちゃって、一度声が出ちゃうとずっと泣いちゃうまでいやらしい声を上げていた。

 その後、彼は私が泣いちゃったのでさすがにエッチはしないで、抱きしめてくれた。
 そっと髪の毛を撫でられる。
 気持ち良い。
 一連の優しくなかった行動が許せそうなくらい一ヶ月ぶりの王子の腕の中は安らぐ。
 ただ、股は痛い。
 でも幸せ。
「好き」
 と囁くと、王子はピクッと反応し、髪の毛を撫でていた手が止まる。
「エルシー」
 と彼は私の名を呼んだ。
「はっ、はい」
 今回のエッチで初めてではないだろうか。
 ドキドキしながら彼が何を言うのか待っていると、王子は耳元で囁く。
「お前は何もしなくていいからもう一回……」
 と彼は最後まで優しくはなかった。
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