【完結】失くし物屋の付喪神たち 京都に集う「物」の想い

ヲダツバサ

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第5章 ロケット

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 ロイドは溜め息して面倒臭そうに答えました。

「いや、まだ生まれてもいない。しろがねが腹の中にいたな」
「えっと、母は結婚する前に、私の父・真琴との間に、しらがねを作ったんだよね?」
「……まさか、お前、知らないのか? しろがねの親父が誰なのか」
「今まで私が父だと思っていた人でしょ? 本当の父の弟。つまり私の叔父さんでしょ? 真琴じゃなくて夜琴の方。だから料亭の後継として育てられている。私もしろがねも、母は同じだけど、異父兄妹になるんだね」
「知らない……のか」

 初めてロイドが困った顔を見せました。うろたえ、目を泳がせています。

 今まで黙っていた弦介さんが口を開きました。

「言いなよ。もう察しは付いているから、お前が言わなくても僕がこがねさんに言うよ」
「部外者は引っ込んでろ! てめぇに何が分かる?」
「少しだけ、分かる事がある。ロイド。お前は元主の真琴さんの話ばかりするけど、結局、付喪神の本質には逆らえない」
「……何が言いたいんだ?」
「付喪神が一番想っている相手は、今の持ち主だ。つまり、こがねさん。お前が本当に守りたいのは、こがねさんだろう?」

 ロイドは言い返そうとしましたが、黙ってしまいました。
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