戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石

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第260話 あんまりじゃない

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「ルーク」

ミリーナがしばらくして真面目な表情で話しかけてくる。

「ああ」

俺は、真剣なミリーナに対して真っすぐ目を見ながら話す。

「まずは事情を話してくれてありがとう。正直、あたしでは実感として全てを理解できた訳ではないけど、ルークの気持ちのほんの少しでも理解できて良かったわ。お陰であたしの気持ちも少し楽になった」

「それは良かった。俺もミリーナに話せて良かったよ」

ミリーナに対して俺の抱いた絶望含めすべてを話したと言ってもいい。

正直俺も少し楽になった気がした。

「・・・それで、ルークはこのままお母様に会わないつもりなの?」

「っ!?」

ミリーナの言いづらそうにして出たセリフに俺は思わず言いよどむ。

「・・・そのつもりだ。ミリーナのように子供が立派に育ったんだ。アメリアも幸せになったに違いない。死んだ事にされた俺が今更どんな顔をして会えるというんだ。迷惑を掛けるだけだろう」

俺は振り絞るようにミリーナに答える。

「あたしはルークは一度お母様に会った方が良いと思う」

「・・・」

「確かにルークの立場としてはお母様に会わない方が良いという判断は正しいと思う。でも、それだと・・・それだとあんまりじゃない」

ミリーナが言葉を重ねる内に涙を流す。

「20年も死ぬ気で戦ってきて顔すら見れないなんてあんまりだよ・・・」

ミリーナの涙がぽたぽたと膝に落ちる。

「・・・ミリーナ」

俺は思わず、声を掛ける。

「・・・それにあたしがお母様の立場だったら一度でもルークに会いたいと思う」

「!?・・・そう思うか?」

ミリーナの言葉に思わず聞き返す。

「ええ。間違いないわ」

ミリーナは力強く肯定した。

「・・・そうか。少しミリーナの意見も踏まえて考えてみる」

「うん。それが良いと思う。あたしにできることがあったら喜んで手伝うから遠慮なく言ってね」

「ありがとう」

俺は心の底からお礼を言ったのだった。
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