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06.院長は祈る
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「うぉお」
「別に、魔物退治なら狼のままでもよろしいのでは?」
触れていた尻尾をポイっと放り出しながらティナが言う。
「それが……近日、周辺国の王達による大会議が開かれることになっており、筆頭騎士である隊長が顔を出さないとなると、周辺国は我が国に対して侮った態度をとるでしょう。 だからこそ、無理を承知でお願いをしている訳なのです。 呪いが解ければ、王からも特別の褒章を与えるとおっしゃっていますので、なにとぞご協力いただけないでしょうか?」
「その会議っていつですの?」
不貞腐れた様子で言うと……。
「2週間後でございます」
「2週間もあるなら、……呪った人間を諦めさせるくらいに、だれかと愛し合っているぞってところを見せつけることが出来るのでは?」
「我々もソレは考えました……。 ですが、既に呪いのための道具が人々の手に行き渡っているらしく、協力いただいた女性が呪いをうけカエルの姿に変わったため、断念するしかなかったのです」
流石にカエルになった人は気の毒だと、ティナは眉間を寄せたがだからといって自分が犠牲になるのも腑に落ちない。
「で、手っ取り早く私に処女を差し出せと?」
「まぁ、そういうことだ。 安心しろ、なるべく優しくしてやる」
「イヤではありますが、国のため、いえ、でも、まぁ、犬に噛まれたと数秒我慢すればよいと考えれば……でも、犬相手にどうすればいいのでしょう?」
「ちょっと待て、数秒って何をどうすれば数秒で事が終わると思っている?」
大きな溜息と共にティナは言う。
「そちらの要望を飲むにあたり、条件を付けさせていただいてよろしいでしょうか?」
「ちょっと待て、俺の話を聞け!!」
不満をワフワフいうアルフレットを避けてロイは言う。
「お伺いいたしましょう」
ロイがどこかホッとした様子で言った。
「2度と意図的に私の前に現れないでください」
狼に向かってティナが言えば、狼は吐き捨てるようにいう。
「なっ……そんなに怒らずとも……」
「まぁ、呪いを解いて頂くなら、それぐらいどうって事ありませんよね!!」
と、ロイが強引に進めようとした。
「ぇ、ちょっと待て!!」
「ほら、今までだって会いに来なかったんですから、コレからだって会わなくても平気ですよ~」
「いや、何か違わないか?! ソレに忙しかったんだ」
「でも、ティナ様のご両親の元には行っていたじゃないですか?」
「それは修行のためで……」
「そんなのはどうでもいいんで、とっとと済ませてしまいましょう」
「いや、どうでもよくないだろう。 へっ? ……ここでするのか?」
狼狽える狼。
「えぇ、感覚カットしておきますので、勢いよくやっちゃってくださいませ!」
そう言うと共に、魔法を使ったのだろう淡くティナの身体が輝いていた。 そしてショーツを脱ぎすてる。
「……あのな……いくら田舎者だからって、そりゃないだろう……。 もっとこう……なぁ」
「処女膜を破るくらいサッサと済ませて終わらせればよいじゃないですか。 何をグズグズおっしゃっているんですか!」
呆れた様子の狼とロイ。
そして、ずっと3人の様子を見守っていた院長が、静かに口を開いた。
「ティナ……前提をよく思い出すのです。 それでは呪いの解除条件となる愛を交わし合う事には至りませんよね?」
院長に言われて、どこか拗ねたようにティナは言う。
「そもそも嫌いな相手なのですから、大前提が間違いだと思うのですよ。……ですが、それで納得していただけそうにもないので、まぁ数秒ぐらい犬に噛まれたと思って我慢しようかと……それに一度我慢すれば、乙女と言う条件から外れるので、もう2度とお会いすることはありませんよね?」
喜々として言うティナと頭を痛める院長。
「ちょっと待て、何故オマエはむかしからそうなんだ!! 人の話を最後まで聞かないわ、何時も何時も喧嘩腰だわ。 もう少し言葉を選ぼうと言う気はないのか?! あとだなぁ、数秒で何が出来ると、オマエの性知識は赤ん坊で止まっているのか!!」
「膜を破るぐらい、数秒で終わらせてくださいよ」
再び、院長が割って入る。
「いえ、だから……それは愛のある行為ではありませんよね?」
狼にすれば、院長が必死にティナを逃がそうとしているとしか思えず、自分の意見を押し通すかのように言う。
「そこは、子供を作る行為=愛ある行為と見立てるなら問題ないはずだ」
院長は溜息交じりに天井を仰ぎ、神に祈る。
『目の前の若者達をお救い下さい』
狼はティナに言った。
「さぁ入れろと言われて、入れられるもんじゃない。 少しの間付きあえ」
「はぁ、まぁ……構いませんけど」
「とりあえずソファーに横になれ」
狼が命じれば、その場から逃げ遅れた院長とロイは慌ててその場を後にした。
「別に、魔物退治なら狼のままでもよろしいのでは?」
触れていた尻尾をポイっと放り出しながらティナが言う。
「それが……近日、周辺国の王達による大会議が開かれることになっており、筆頭騎士である隊長が顔を出さないとなると、周辺国は我が国に対して侮った態度をとるでしょう。 だからこそ、無理を承知でお願いをしている訳なのです。 呪いが解ければ、王からも特別の褒章を与えるとおっしゃっていますので、なにとぞご協力いただけないでしょうか?」
「その会議っていつですの?」
不貞腐れた様子で言うと……。
「2週間後でございます」
「2週間もあるなら、……呪った人間を諦めさせるくらいに、だれかと愛し合っているぞってところを見せつけることが出来るのでは?」
「我々もソレは考えました……。 ですが、既に呪いのための道具が人々の手に行き渡っているらしく、協力いただいた女性が呪いをうけカエルの姿に変わったため、断念するしかなかったのです」
流石にカエルになった人は気の毒だと、ティナは眉間を寄せたがだからといって自分が犠牲になるのも腑に落ちない。
「で、手っ取り早く私に処女を差し出せと?」
「まぁ、そういうことだ。 安心しろ、なるべく優しくしてやる」
「イヤではありますが、国のため、いえ、でも、まぁ、犬に噛まれたと数秒我慢すればよいと考えれば……でも、犬相手にどうすればいいのでしょう?」
「ちょっと待て、数秒って何をどうすれば数秒で事が終わると思っている?」
大きな溜息と共にティナは言う。
「そちらの要望を飲むにあたり、条件を付けさせていただいてよろしいでしょうか?」
「ちょっと待て、俺の話を聞け!!」
不満をワフワフいうアルフレットを避けてロイは言う。
「お伺いいたしましょう」
ロイがどこかホッとした様子で言った。
「2度と意図的に私の前に現れないでください」
狼に向かってティナが言えば、狼は吐き捨てるようにいう。
「なっ……そんなに怒らずとも……」
「まぁ、呪いを解いて頂くなら、それぐらいどうって事ありませんよね!!」
と、ロイが強引に進めようとした。
「ぇ、ちょっと待て!!」
「ほら、今までだって会いに来なかったんですから、コレからだって会わなくても平気ですよ~」
「いや、何か違わないか?! ソレに忙しかったんだ」
「でも、ティナ様のご両親の元には行っていたじゃないですか?」
「それは修行のためで……」
「そんなのはどうでもいいんで、とっとと済ませてしまいましょう」
「いや、どうでもよくないだろう。 へっ? ……ここでするのか?」
狼狽える狼。
「えぇ、感覚カットしておきますので、勢いよくやっちゃってくださいませ!」
そう言うと共に、魔法を使ったのだろう淡くティナの身体が輝いていた。 そしてショーツを脱ぎすてる。
「……あのな……いくら田舎者だからって、そりゃないだろう……。 もっとこう……なぁ」
「処女膜を破るくらいサッサと済ませて終わらせればよいじゃないですか。 何をグズグズおっしゃっているんですか!」
呆れた様子の狼とロイ。
そして、ずっと3人の様子を見守っていた院長が、静かに口を開いた。
「ティナ……前提をよく思い出すのです。 それでは呪いの解除条件となる愛を交わし合う事には至りませんよね?」
院長に言われて、どこか拗ねたようにティナは言う。
「そもそも嫌いな相手なのですから、大前提が間違いだと思うのですよ。……ですが、それで納得していただけそうにもないので、まぁ数秒ぐらい犬に噛まれたと思って我慢しようかと……それに一度我慢すれば、乙女と言う条件から外れるので、もう2度とお会いすることはありませんよね?」
喜々として言うティナと頭を痛める院長。
「ちょっと待て、何故オマエはむかしからそうなんだ!! 人の話を最後まで聞かないわ、何時も何時も喧嘩腰だわ。 もう少し言葉を選ぼうと言う気はないのか?! あとだなぁ、数秒で何が出来ると、オマエの性知識は赤ん坊で止まっているのか!!」
「膜を破るぐらい、数秒で終わらせてくださいよ」
再び、院長が割って入る。
「いえ、だから……それは愛のある行為ではありませんよね?」
狼にすれば、院長が必死にティナを逃がそうとしているとしか思えず、自分の意見を押し通すかのように言う。
「そこは、子供を作る行為=愛ある行為と見立てるなら問題ないはずだ」
院長は溜息交じりに天井を仰ぎ、神に祈る。
『目の前の若者達をお救い下さい』
狼はティナに言った。
「さぁ入れろと言われて、入れられるもんじゃない。 少しの間付きあえ」
「はぁ、まぁ……構いませんけど」
「とりあえずソファーに横になれ」
狼が命じれば、その場から逃げ遅れた院長とロイは慌ててその場を後にした。
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