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物語
10.罠 04
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王宮へと出かけた翌日。
気分転換にと、侍女達が癒しプランを計画してくれた。
侍女達の中には、アッチの貴族、コッチの貴族、王族、神聖皇国、あらゆる手の者が居る訳で……。 そんな人たちが一丸となって立ててくれたプランと言えば、一周回って興味深くあると考えるのは不謹慎かしら?
昨日の体調不良は何処に行ったのだろう? と思うほどに、今日の私は何時もの状態に戻っていて、昨日1日無駄にした時間を取り戻すように、書類チェックをしていた。
王様が療養のため王宮を離れ、宰相、大臣、文官達は必死に国政を回しているのだけれど、どうしても総責任者と言うべき人物の決裁が必要となる。 そして、重要な案件をジェフロアに預ける事は出来ないと、大公家に持ち込まれるのだ。
その書類仕事をしながら、私は侍女達が提出してきたプランへの意見をデルタに問いかけた。
「デルタは、どう思います?」
「そうですねぇ……真面目なものであれば、日々忙しいティア様の気分転換に良いと思いますが……。 侍女達の背後にはいろんな利害をもったものが動いておりますから」
デルタの言葉にティアは苦笑する。
「では、急ぎの仕事があるからと(お断りしましょう)」
「いや、昨日のダメージはないと言う所を見せつける事も大切じゃないのか?」
見習い執事のベータと共に、アルファが書類チェックを行うために視線を落としたまま告げた。
「そう、ですねぇ……。 心理的、身体的なダメージを受けたなどと思われては、ティア様も不貞を行ったのだから、自分達の不貞も認めろと言われかねませんわね」
デルタの勢いある発言に、私は苦く笑うのだ。
不貞どころか……薬の効果が失われた今も、好きだと思っているのに……と。
「別に、あの2人が何をしていてもいいの。 私を巻き込まないで……いえ、私との婚約を破棄して、お2人で勝手に仲良く国を治めて下さればよいと思いますの」
「ティア様……そんな事をしては、1月もかからず神聖皇国に国が奪われてしまいますわ」
「ジェフロアが統治するよりも良いのではないかしら? 一応、大国ですし」
「そんな訳ありません!! ノーザングリアは北方の山脈に魔石を多く抱える鉱山があるんですから」
言われて私は黙り込んだ。
現状、王族・貴族の生活に必要となる最低限の魔石を採掘しているだけの鉱山だが、その埋蔵量は大きく、それをしった神聖皇国は目の色を変えたと聞いている。
もしノーザングリアが神聖皇国に支配されたなら、民は奴隷のように使われ、危険を承知で採掘を行い、不毛の大地を作り出すだろう。
神の代行者と言っても、実際はそういう身勝手な人達なのだ。
10年前の大厄災の原因も、元を正せば神聖皇国にある。
『魔石の埋蔵量を計測しろと神が命じられました』
そんな言葉一つで、安全を確保せず、準備もろくにせず測量を行ったのだ。 そして瘴気が幾つもの国を沈めた。 ソレに文句、いや口出ししようものなら
『今後奇跡を貸さなくていいのか?』
と脅しながら、彼等だけに通用する正論を吐いて終わったと言う事だった。
『全ては神の思し召し。 そこで死ぬものがいるならソレも運命だったのでしょう』
そんな出来事を思い出し、私は苦笑交じりに頷いて見せた。
「そうね、ごめんなさい。 ここは私が健在であることをアピールする事にしますわ」
気分転換にと、侍女達が癒しプランを計画してくれた。
侍女達の中には、アッチの貴族、コッチの貴族、王族、神聖皇国、あらゆる手の者が居る訳で……。 そんな人たちが一丸となって立ててくれたプランと言えば、一周回って興味深くあると考えるのは不謹慎かしら?
昨日の体調不良は何処に行ったのだろう? と思うほどに、今日の私は何時もの状態に戻っていて、昨日1日無駄にした時間を取り戻すように、書類チェックをしていた。
王様が療養のため王宮を離れ、宰相、大臣、文官達は必死に国政を回しているのだけれど、どうしても総責任者と言うべき人物の決裁が必要となる。 そして、重要な案件をジェフロアに預ける事は出来ないと、大公家に持ち込まれるのだ。
その書類仕事をしながら、私は侍女達が提出してきたプランへの意見をデルタに問いかけた。
「デルタは、どう思います?」
「そうですねぇ……真面目なものであれば、日々忙しいティア様の気分転換に良いと思いますが……。 侍女達の背後にはいろんな利害をもったものが動いておりますから」
デルタの言葉にティアは苦笑する。
「では、急ぎの仕事があるからと(お断りしましょう)」
「いや、昨日のダメージはないと言う所を見せつける事も大切じゃないのか?」
見習い執事のベータと共に、アルファが書類チェックを行うために視線を落としたまま告げた。
「そう、ですねぇ……。 心理的、身体的なダメージを受けたなどと思われては、ティア様も不貞を行ったのだから、自分達の不貞も認めろと言われかねませんわね」
デルタの勢いある発言に、私は苦く笑うのだ。
不貞どころか……薬の効果が失われた今も、好きだと思っているのに……と。
「別に、あの2人が何をしていてもいいの。 私を巻き込まないで……いえ、私との婚約を破棄して、お2人で勝手に仲良く国を治めて下さればよいと思いますの」
「ティア様……そんな事をしては、1月もかからず神聖皇国に国が奪われてしまいますわ」
「ジェフロアが統治するよりも良いのではないかしら? 一応、大国ですし」
「そんな訳ありません!! ノーザングリアは北方の山脈に魔石を多く抱える鉱山があるんですから」
言われて私は黙り込んだ。
現状、王族・貴族の生活に必要となる最低限の魔石を採掘しているだけの鉱山だが、その埋蔵量は大きく、それをしった神聖皇国は目の色を変えたと聞いている。
もしノーザングリアが神聖皇国に支配されたなら、民は奴隷のように使われ、危険を承知で採掘を行い、不毛の大地を作り出すだろう。
神の代行者と言っても、実際はそういう身勝手な人達なのだ。
10年前の大厄災の原因も、元を正せば神聖皇国にある。
『魔石の埋蔵量を計測しろと神が命じられました』
そんな言葉一つで、安全を確保せず、準備もろくにせず測量を行ったのだ。 そして瘴気が幾つもの国を沈めた。 ソレに文句、いや口出ししようものなら
『今後奇跡を貸さなくていいのか?』
と脅しながら、彼等だけに通用する正論を吐いて終わったと言う事だった。
『全ては神の思し召し。 そこで死ぬものがいるならソレも運命だったのでしょう』
そんな出来事を思い出し、私は苦笑交じりに頷いて見せた。
「そうね、ごめんなさい。 ここは私が健在であることをアピールする事にしますわ」
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