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第37話 筋斗雲 〜 魔力修練 ep8 【閑話】
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チリンチリン♪
「おっと、電話だ。ちょっと休んでて!」
ジンは車に駆け寄り、車中から携帯を取り出すと、車の横に立ち、そのまま携帯で話し始めた。
―― でも、結果的にずぅっとパパの手のひらの上だったなんて、なんかマコは孫悟空みたいだね?
―― マコは、孫悟空を思い出すのと、リードで繋がれたスケボーを見て、なぜか筋斗雲を連想してしまった。
―― 『きんとうーん!』って呼んだら来るかな?
マコトのスケボーは、オーラのリードで繋がれている。マコトはそれを細く長く伸ばしながら遠ざかる方向へ離陸させ、遠ざけて、グルッと回って遠くからやってきたかのテイで自身に向けて進入させる。
「あっ、来たぁ。ヨシヨシ筋斗雲」
―― ぷよよよよーって、減速しながら、目の前で停止っと。
―― そのまま、ふよふよと浮かせてみる。
―― なんか生きてるみたいで可愛い。
「あっ、そうだ」
マコトは、スケボーの底面から無数の透明な細い糸状のオーラを伸ばし、スケボーの縁の外側から上、次いで内側へと、巻き込むように包み込む。そして、その糸の透過率を少しだけ下げてやる。白色透明の糸は、幾重にも折り重なることで独特の面が出来上がる。
―― すると、どうだ?
―― まるで雲。
「パパぁ、でけた。雲デコ、筋斗雲。どう? かわいいでしょ?」
ジンが電話を終えてやってくるのに合わせて、マコトは筋斗雲をコッソリ飛ばしておく。続いて、先程のように、ぷよよよよーっと、減速しながら、ジンの目の前で停止させて、ふよふよと浮かせてみる。
「ぷははーっ、なにコレーッ、くくくくっ。あははは、それ、き、筋斗雲なの? あははは、お腹が痛い、あははは」
ついでに、マコトはあのわっかみたいなものも、オーラで自作して、少し光らせて頭にはめている。
「あははは、そんで、それは孫悟空のわっか? お腹が、お腹が、痛い痛い、あははは、はぁはぁはぁ。はぁーっ。はぁはぁ。これ何の罰? 一気に疲れてしまった。でも、なんか生きてるみたいで可愛いね、筋斗雲。元はスケボーなんでしょ?」
「カモフラ&デコで、そうは見えないでしょう?」
「うん。すごい上手、くふふふ。でも、この生きてるかのような微妙な動きはどうやってるの? 可愛さ倍増だね? くくくくっ」
「あぁ、それはマコが操縦してるからだよ。①当てる、②戻す、③待つ、のうちの①と②を適当に混ぜながらね。大雑把にだいたいの舵取りがいい塩梅な動きに見えるみたい」
「じゃあ、今日の残りの修練のテーマは『筋斗雲に乗るぞぉ』だな?」
「あ、ソレがいいね。賛成!」
「あぁ、元々スケボーでやるつもりのものだから、そう変わらないけど、ちょっとだけ趣向を凝らそう」
「う、うん? なにやら楽しげな感じ?」
「あぁ、あとで説明するよ。じゃあ、再開するよ。まずは基本的なところの確認ね。操縦の方式は、飛行機と同じ姿勢制御でいいかな?」
「うん、それでいい」
「飛ぶための媒体というか、スケボーを主体でいいんだよね。まぁ、スケボーが操れるなら、他はだいたいできそうだけどね」
「うん、スケボーがいい」
「わかった。じゃあ、スケボーに特化したお話をするよ。スケボーは、散々話したように、立つこともあって、重心位置が高く不安定。前回練習した棒に跨がるときの姿勢制御では、身体全体で舵取るための傾きに神経を集中していたと思う。しかしスケボーの場合は、それが足元になるから、究極的には足元だけをちょいちょい操作するだけで制御できてしまうかもしれない。いろんな場面ではそういった小手先操縦も在ってもいいと思うけど、基本的には自分の重心をスケボーの面にキチンと預けられるような操縦を心掛けて欲しい」
―― まずは心構えみたいな話だね。
「どういうことかというと、空間で姿勢が安定静止状態なら動かしたい方向に身体の重心を移動させると身体がその方向に傾く、その傾きが、スケボー操縦の姿勢制御になるわけだ。スケボーに進行方向の力と浮くための上向きの力が付与されている状態なら、飛行機と同じように旋回するはず。一段階挟んだ、やや鈍重な感じがするかもしれないが、これを蔑ろにすれば、重心の関係があやふやになるから、気を付けること。ただし、位置の微調整なら、その結果、重心の関係が保たれる前提で足元でちょいちょい修正はありだよ」
「次に動的な移動や姿勢変化の場合は、せっかく、不安定=機動性が高い、という特製があって、その特性をフル活用したいから、スケボーの裏に高出力の噴射器があるつもりで、身体全体、特に腰から下を充分にしならせて、噴出器を操る感じかな? もちろん噴射器としての高出力、かつ柔軟な出力調整が必要になるわけだ」
―― 噴射器かぁ、やっぱり飛行機とは少しかけ離れる感じだね。
「例えばどんな動きかというと、急激な横移動したいときに、直立の安定静止状態から、噴射器ハイパワーで上向きの力をいなすように膝を曲げてボードを引き寄せる感じ。引き寄せながら、身体をしならせながら移動したい反対側に向けて、移動方向への行き足がつくタイミングでフルパワー、上半身はしなりの戻りに合わせて移動方向へと向ける。移動が始まったら噴射器の出力調整と、ボードの前方向への力に切り替えつつ、進行方向への飛行スタイルに移行する感じかな?」
―― なるほど。しなる感じがなんかカッコよさげ?
「反対に急停止するときは、進行方向への力をストップして、重心移動と身体のしなりを効かせてボードを前方に向け、進行方向に対するハイパワーの逆噴射をかける。減速度合いに合わせて徐々に重心移動と身体のしなりをうまく使って通常の静止状態に移行する感じかな?」
―― おぉぉ、うまく止まれたなら決まるなぁ。
「うん、だいたいニュアンスはわかった。跨がる飛行スタイルからすると、ちょっと乱暴な感じがするけど、このダイナミックさがエアボードの醍醐味かもね?」
「大事なことは、不安定だから、重心の制御をロストすると危険であることを忘れないこと。ただ、センスがあれば強引に整えることもできると思うけど、そこは臨機応変にな。あと強引な制御は自分のためにもならないから、多用は禁物だよ」
「わかった。まぁ、たぶんセンスはあるから大丈夫」
「そうか。なら、次は今日のこれからの修練内容な?」
「おぉぉ。待ってました」
「おっと、電話だ。ちょっと休んでて!」
ジンは車に駆け寄り、車中から携帯を取り出すと、車の横に立ち、そのまま携帯で話し始めた。
―― でも、結果的にずぅっとパパの手のひらの上だったなんて、なんかマコは孫悟空みたいだね?
―― マコは、孫悟空を思い出すのと、リードで繋がれたスケボーを見て、なぜか筋斗雲を連想してしまった。
―― 『きんとうーん!』って呼んだら来るかな?
マコトのスケボーは、オーラのリードで繋がれている。マコトはそれを細く長く伸ばしながら遠ざかる方向へ離陸させ、遠ざけて、グルッと回って遠くからやってきたかのテイで自身に向けて進入させる。
「あっ、来たぁ。ヨシヨシ筋斗雲」
―― ぷよよよよーって、減速しながら、目の前で停止っと。
―― そのまま、ふよふよと浮かせてみる。
―― なんか生きてるみたいで可愛い。
「あっ、そうだ」
マコトは、スケボーの底面から無数の透明な細い糸状のオーラを伸ばし、スケボーの縁の外側から上、次いで内側へと、巻き込むように包み込む。そして、その糸の透過率を少しだけ下げてやる。白色透明の糸は、幾重にも折り重なることで独特の面が出来上がる。
―― すると、どうだ?
―― まるで雲。
「パパぁ、でけた。雲デコ、筋斗雲。どう? かわいいでしょ?」
ジンが電話を終えてやってくるのに合わせて、マコトは筋斗雲をコッソリ飛ばしておく。続いて、先程のように、ぷよよよよーっと、減速しながら、ジンの目の前で停止させて、ふよふよと浮かせてみる。
「ぷははーっ、なにコレーッ、くくくくっ。あははは、それ、き、筋斗雲なの? あははは、お腹が痛い、あははは」
ついでに、マコトはあのわっかみたいなものも、オーラで自作して、少し光らせて頭にはめている。
「あははは、そんで、それは孫悟空のわっか? お腹が、お腹が、痛い痛い、あははは、はぁはぁはぁ。はぁーっ。はぁはぁ。これ何の罰? 一気に疲れてしまった。でも、なんか生きてるみたいで可愛いね、筋斗雲。元はスケボーなんでしょ?」
「カモフラ&デコで、そうは見えないでしょう?」
「うん。すごい上手、くふふふ。でも、この生きてるかのような微妙な動きはどうやってるの? 可愛さ倍増だね? くくくくっ」
「あぁ、それはマコが操縦してるからだよ。①当てる、②戻す、③待つ、のうちの①と②を適当に混ぜながらね。大雑把にだいたいの舵取りがいい塩梅な動きに見えるみたい」
「じゃあ、今日の残りの修練のテーマは『筋斗雲に乗るぞぉ』だな?」
「あ、ソレがいいね。賛成!」
「あぁ、元々スケボーでやるつもりのものだから、そう変わらないけど、ちょっとだけ趣向を凝らそう」
「う、うん? なにやら楽しげな感じ?」
「あぁ、あとで説明するよ。じゃあ、再開するよ。まずは基本的なところの確認ね。操縦の方式は、飛行機と同じ姿勢制御でいいかな?」
「うん、それでいい」
「飛ぶための媒体というか、スケボーを主体でいいんだよね。まぁ、スケボーが操れるなら、他はだいたいできそうだけどね」
「うん、スケボーがいい」
「わかった。じゃあ、スケボーに特化したお話をするよ。スケボーは、散々話したように、立つこともあって、重心位置が高く不安定。前回練習した棒に跨がるときの姿勢制御では、身体全体で舵取るための傾きに神経を集中していたと思う。しかしスケボーの場合は、それが足元になるから、究極的には足元だけをちょいちょい操作するだけで制御できてしまうかもしれない。いろんな場面ではそういった小手先操縦も在ってもいいと思うけど、基本的には自分の重心をスケボーの面にキチンと預けられるような操縦を心掛けて欲しい」
―― まずは心構えみたいな話だね。
「どういうことかというと、空間で姿勢が安定静止状態なら動かしたい方向に身体の重心を移動させると身体がその方向に傾く、その傾きが、スケボー操縦の姿勢制御になるわけだ。スケボーに進行方向の力と浮くための上向きの力が付与されている状態なら、飛行機と同じように旋回するはず。一段階挟んだ、やや鈍重な感じがするかもしれないが、これを蔑ろにすれば、重心の関係があやふやになるから、気を付けること。ただし、位置の微調整なら、その結果、重心の関係が保たれる前提で足元でちょいちょい修正はありだよ」
「次に動的な移動や姿勢変化の場合は、せっかく、不安定=機動性が高い、という特製があって、その特性をフル活用したいから、スケボーの裏に高出力の噴射器があるつもりで、身体全体、特に腰から下を充分にしならせて、噴出器を操る感じかな? もちろん噴射器としての高出力、かつ柔軟な出力調整が必要になるわけだ」
―― 噴射器かぁ、やっぱり飛行機とは少しかけ離れる感じだね。
「例えばどんな動きかというと、急激な横移動したいときに、直立の安定静止状態から、噴射器ハイパワーで上向きの力をいなすように膝を曲げてボードを引き寄せる感じ。引き寄せながら、身体をしならせながら移動したい反対側に向けて、移動方向への行き足がつくタイミングでフルパワー、上半身はしなりの戻りに合わせて移動方向へと向ける。移動が始まったら噴射器の出力調整と、ボードの前方向への力に切り替えつつ、進行方向への飛行スタイルに移行する感じかな?」
―― なるほど。しなる感じがなんかカッコよさげ?
「反対に急停止するときは、進行方向への力をストップして、重心移動と身体のしなりを効かせてボードを前方に向け、進行方向に対するハイパワーの逆噴射をかける。減速度合いに合わせて徐々に重心移動と身体のしなりをうまく使って通常の静止状態に移行する感じかな?」
―― おぉぉ、うまく止まれたなら決まるなぁ。
「うん、だいたいニュアンスはわかった。跨がる飛行スタイルからすると、ちょっと乱暴な感じがするけど、このダイナミックさがエアボードの醍醐味かもね?」
「大事なことは、不安定だから、重心の制御をロストすると危険であることを忘れないこと。ただ、センスがあれば強引に整えることもできると思うけど、そこは臨機応変にな。あと強引な制御は自分のためにもならないから、多用は禁物だよ」
「わかった。まぁ、たぶんセンスはあるから大丈夫」
「そうか。なら、次は今日のこれからの修練内容な?」
「おぉぉ。待ってました」
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