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■102 友
しおりを挟む殿下と陛下に丸め込まれ、やっとそのパーティーが幕を閉じた。私は、今日は王宮に泊ってくれと部屋を与えられて。
「……なに、これ」
「王太子殿下からの贈り物です」
プレゼントボックスが置かれていて、中を見たらドレス一式だった。明日、ガーデンパーティーがあったから、これを着ろという事か。もう既に用意されていたなんて……
因みに、隣にいるサマンサはニコニコだ。何で教えてくれなかったのかは言わないでおこうと思ってたけど、この様子じゃ殿下が根回ししたのではないだろうか。絶対に教えるな、と。黄緑色のバラも殿下が用意してサマンサに渡したんだろう。もぉ~教えてよぉ~!
そんな時、部屋にノックがかかった。やってきたのは、まさにその人物だ。
「……如何いたしましたでしょうか、殿下」
「そんなに嫌そうな顔をするな」
仕方ないじゃないですか。いきなりですよ、いきなり。事前に言ってもらいたかったです。いや、そうしたら抗議したかも。
それでどういたしましたかと聞くと、今から来てほしい所があるのだとか。一体どこへ? と思いつつ殿下に着いて行った。
「ステファニー殿が婚約者になってくれたおかげで、陛下もだいぶご満悦だったぞ」
「あ、はい……」
知ってます、グッジョブサインされました。凄くニコニコしてました。成人式などが終わったら三人でゆっくりとお茶を楽しみながら話をしようと言っていたそうで、光栄ですと返した。三人、という事は陛下が度々してくるあの意地悪はしないという事……だと信じよう。
さ、ここだと大きな扉に辿り着いた。とても頑丈そうな南京錠がかかっている。この王城の中にこんな場所があったなんて知らなかった。と言っても、ここは広いから全然どこに何があるのか把握できてないけど。
そして、殿下は持っていた鍵を鍵穴に刺し回した。……と言っても、3回回したけれど。それだけ特殊な南京錠なのだろう。
「ここは、国王陛下直系の者しか入る事を許されていない」
……ん? 国王陛下直系?
「私、入れないじゃないですか」
「早くなっただけの話だ」
「……いいんですか、それで」
結婚するだろう? と聞かれてしまって、まぁそうなってしまいましたからと返した。結婚……結婚……よく分からないけれど……王族と結婚だなんてよく分からない。
よし、開いたぞ。と、扉を殿下が押すと音を立てて開く。すると、下に続く階段が見えてきた。なんだか、変な作りだ。
さぁ行こうか、と手を取られ一段一段下っていく。そして、また扉が見えてきた。そして殿下がまたポケットから鍵を取り出して開け、扉が開いた。どれだけ厳重な場所なんだ、と思いつつ中を覗いてみると……あ、階段じゃなかった。
少し広い部屋、今私に用意してくださったあの部屋の様な広さだ。
「ここは、重要なものを保管するための部屋だ」
見えたのは、王冠や王勺などなど。確かに凄い物ばかりだ。そして、殿下は真っ直ぐに一番奥の棚に向かい何かを引き取り出した。
それは、少し重そうな大きな四角い板。布のようなもので包まれているようで。ゆっくりめくっていくと……絵が出てきた。少し年季の入った金の額縁に入った肖像画だ。
「……えっ……」
それには、ソファーに座った3人が映し出されていた。全員今の陛下より若いくらいの年齢のように見える。真ん中に座っている男性と、その隣にいる女性はとてもよく陛下と殿下に似ている。
そして、その反対側に座る男性は……とてもぶっきらぼうで腕と足を組みそっぽを向いている。他の二人に笑われているようで。とても楽しそうな絵だった。
「お、師匠、さま……!?」
「やはりそうだったか」
え、何でこんな所に……??
「この真ん中の御方がここサーペンテイン国初代国王陛下、隣にいらっしゃるのは国王陛下の妹君」
こ、この国を作った人、という事になるのかな。
「そして、この方は名前が記されていない。だが、国王陛下の残された物から《友》と記されていたのだ」
友……初代国王陛下と、妹君の、友人……
お師匠様、お友達なんていらっしゃったんですね。あ、これ怒られる。
その時、私はあの言葉を思い出した。
聖夜祭で、私がガイアに祈りを捧げた時のお師匠様からの言葉。
『 お前もこの地に辿り着くとはな 』
『 これが運命というやつか、何とも面白いものだな 』
すごく、納得がいった。そして、もう一つ。
私が、お師匠様から教えられた文字や言葉が、ここサーペンテインの共通語だった事だ。
今まで偶に人と関わったことがあったが、言葉が通じず困ったことが何度もあった。まぁ動きなどで大体は通じるけれど。お師匠様からこの言語を教えてもらったから、私もこの人たちと普通に会話が出来たんだ。
あ、はは。なぁんだ、お師匠様もここに来てたなんてね。確かに運命だ。
ここサーペンテインは900年前に作られた。私が生まれる150年前になる。私がここに来るまでこの国の事を知らなかった。お師匠様は、この国が出来上がってからずっとここにはいなかった事になる。
そして、お師匠様と別れてから私は、ここに辿り着いた。どうして、と考えると分からない。けれど、きっと意味のある事なのだろうと思う。
そして今、ここにいる私に出来る事は……
__この国が、いつまでも平和でいられるように尽力する事。
初代国王が《友》と言ったんだ、きっと仲が良かったに違いない。あんなぶっきらぼうなお師匠様が、こんな様子で映っているのだから。きっと、この国を作る為に手を貸したに違いない。錬金術というガイアからの贈り物を使って助けたに違いない。
「殿下、私この国に来れてとても嬉しいです。この国が、大好きです」
「そうか」
お師匠様の足跡がこうして残っている事が、とても嬉しいです。
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