大賢者の弟子ステファニー

楠ノ木雫

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■10 海へ

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 今日も朝からギルドに赴いていた。

 今日選んだギルド依頼は、海に生息する〝ミラゴ〟を採取すること。石のように固く、木の枝のように深海に生えているんだけれど、全く動かない。そんなモンスターだ。

 ギルドの受付嬢さんにはだいぶ止められたけれど、大丈夫ですと何度も言い受諾して頂いた。

 契約獣は使えないんですよ!! とか、海の中ではあまり身動きが取れないんですよ!! とかだいぶ言われてしまった。

 港に来てみるとだいぶ賑わっていて。磯の匂いがして、お店も色々と出ている。見たことないものばかりだ。

 それに大きな船も見える、一度乗ってみたいなぁ。


「見ない顔だな、お嬢ちゃん」

「サーペンテインに来たのはつい最近なんです、だからここには初めてで」

「そうかそうか、んじゃこれおまけしてやるよ」

「わぁ! ありがとうございます!」


 果物をおまけしてもらっちゃった! ベルッドアという掌サイズで丸い果物で、フレッシュでそのまま食べれると聞いた。あとで皮をむいて食べてみよう!


「貴方、船に乗るの? そろそろ出るよ?」

「あ、違うんです」

「ふぅん、買い物かい?」

「あ、はは」


 ルシルで海に出ますとは言えない。普通そんなことする人いなさそうだし。というより、契約獣すら珍しいようだから当たり前か。




「よいしょっと、じゃあ行こうか!」

「♪♪」


 人目の付かない所でルシルの背に乗り海に出た。

 久しぶりの海。

 風が気持ちいい、陽の光に当たっている海面はキラキラと光っていて綺麗だ。


「ここら辺かな?」


 ギルドで貰った地図に書かれた、今日の採取するモンスターの生息ポイントを場所と照らし合わせてみる。たぶんここで合ってる。


「さー行くぞー!!」


 上着を脱ぎ軽装に、ルシルにここで待機していてねと言い聞かせ……せーのっ!!


 どっぼんっ!! そんな大きな音を立てて、上から勢いよく海に飛び込んだ。



 陽の光でキラキラ光る海中。

 水が澄んでいて、魚型の生物達が元気よく泳ぐ。

 それだけ、異物のない綺麗な海なのだろう。


 え? 苦しくないのかって? 全然!!

 持続して錬成し顔の周りに空気をとどまらせているから大丈夫。


「さぁーてと、ここら辺かな??」


 あ、あった。聞いてた通りピンク色してる。

 周りを見渡し他にモンスターがいないことを確認。静かに近づいた。

 これはね、結構力を使うんですよ。下の太い所をちゃんと掴んで……引っこ抜くっ!!


「んん~~~~っ!!」


 中々抜けない、やっぱり水中だとあまり力が入らないけれど……


「抜けたっ!!」


 ふぅ、それじゃ他のも……と思っていた次の瞬間。


「……ぎゃっ!?」


 いきなり現れた、手のひらサイズの6本足の蜘蛛のような形のモンスター。〝カバト〟

 見た目は小さくて可愛い癖に猛毒を持っています。うかつに近づいたら痛い目を見るモンスターだ。


「ちょっ来ないで来ないでっ!! 『展開』っ!! 『Glaciesグラシエス』っ!!」


 寸での所で氷魔法で防御。あっぶない、最高級解毒ポーションを使う所だった。


〝カヴェアの種〟


Aquaアクア


 種と水魔法を錬成、出現したのは茨。棘のある蔓をモンスターに巻き付け動きを封じ込めた。よしっ! そして締め上げて、討伐完了!


「……って次はサンディラー!?」


 頭に鋭い角を生やした大きな魚モンスター。とっても速くて勢いよく私の方に突っ込んでくる。


「やばっ『Ventusヴェントゥス』っっ!!」


 モンスターに向かって風魔法を発動。反動で返ってくる衝撃に乗せて横に避けることが出来た。けどすぐに向きを変えてこちらに突進してくる。


〝レルドルの種〟


Creareクレアーレ


 長い蔓が錬成され、勢いよくモンスターに絡みつく。それを離さないようしっかり箸を掴んだ。そして杖をモンスターの皮膚に当てる。

 そしてサンディラーの鱗をひっぺがして、錬成!


Luxルクス


Glaciesグラシエス


「『Creareクレアーレ』っ!!」




 出現したのは、氷の杭。それは、動き回るモンスターに狙いを定めて、貫いた。



「危なっ!? 『Ventusヴェントゥス』『Aquaアクア』『Glaciesグラシエス』!!」


 動かなくなったサンディラーを氷漬けに。血も残さず集め氷で閉じ込めた。海面に血が広がっちゃったら大変だ。そして収納魔法陣に突っ込んだ。

 よーし、依頼達成したし帰ろう!! ルシルちゃ~ん!!


 海面に顔を出して、来てくれたルシルちゃんの足を掴んだ。引っ張りあげられてすぐに風魔法で自身を乾かす。くるっと背に乗り港へ戻る事になった。


「さむっ」


 やばいな、これはこのままじゃ風邪引いちゃう。そう思い収納魔法陣からポーションを取り出した。


 ちゃ~んと依頼達成をした私を見た受付嬢さんは、驚いていて。誰か手伝ってくれた人がいたのかと勘違いをしていたようだけど……いっか。

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