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■9 オークの群れ
しおりを挟む『展開__________Creare』
今日はポーション作りの為に森に来ている。あ、もちろんギルドで依頼も受注してきたからそれも目的ではあるんだけど。
だから今は、素材採取ポイントで採取しすぐに錬成して次に納品するためのポーションを大量生成中です。
よし、3種類の低・中・上級の各ポーション完成。これは王宮に納品する用。
そして、マルギルさんの知人であるおじさんのお店に納品する分も完成。まさかそちらでも契約してくれと言われるとは思わなかった。因みに価格は凄い価格設定を言われた為向こうと同じにしてもらった。
毎回毎回アルさんとおじさんに心配されるけれど、これ以上を作ってもいいくらい。1日で終わっちゃうくらいだし。これで2人に2倍作ってますって言ったら何て言うだろうか。絶対何か言われそう。
「これくらい作ってもマナと魔力はちょっとしか減らないんだけどなぁ……」
そうぼやいていた時、モンスターの血の臭いがしてきた。向こうを見てみると、ルシルが戻ってきたみたい。だけど、
「ちょっと、何てもの咥えてきたのよ……」
食べていい? と言った顔で見てきて。これは、ゴブリンキングか。依頼クリア?
「え? こっち?」
こっちに来てと言いたそうな顔をしている為ついていくと、そこには何とも凄い光景が待ち構えていた。モンスターが山積みになっていたのだ。だいぶ積んだね、これ。
しかも、ゴブリンキング? それにオーガもいない? 10体はいると思う。
当の本人は悪気がないらしいけれど、これはB級の依頼にあったな。このモンスターの盗伐依頼。ずっと張りっぱなしの。誰かやらないのかな、って思ってたけれど、何回掲示板に行っても張ってあるから気になってたんだよね。
「……耳を持っていったら、いやいやいや、でもなぁ………」
私、まだB級の依頼は受けられないんだよねぇ。これじゃ違反になっちゃうよね。でもなぁ……よし、とりあえず一部分を回収して、受付嬢さんに何とかしてもらおう。
そんな時、何かに反応したルシル。一足遅れて私も感じた。これは、モンスターの気配だ。そして、これは群れを成している。
『展開』
『Ventus』
風魔法で空に跳躍し、下を見渡した。いた、前方に移動してる群れ。
「オーク、だけどハイオークの数が多い」
オークは、好戦的で怪力の獣だ。しかも、ハイオークとあってはもっと強烈である。
それが、群れで進んでいる。進む先は、
「首都……」
しかも、なぜか様子がおかしい。黒いものを纏っているから、恐らくそれが原因だろう。
愛用の黒い杖を取り出し、収納魔法陣から種を出した。〝カヴェアの種〟だ。
地面に降下。静かに、オークの群れに立ちはだかるように降り立ち、勢いよく地面に杖を突き刺した。
『展開』
『Terra』
『Creare』
オークの群れが進む先に地面から鉄縄を錬成。複数出現させたそれは、素早く編み上げられて網を作り出しオークの群れを捕まえた。
『Tonitrua』
空に雷を出現させた。
それは、放電を起こし鉄縄で身動きの取れないオーク達に向け勢いよく堕ちたのだった。
「ゴブリンキング7体に、オーガがこんなにですか!? 討伐依頼ではゴブリンキング1体だけでしたよね……まぁ、B級の依頼にありましたけど……」
「どうにかなりませんかね」
「まぁ、特別にB級討伐依頼クリアということにしましょう。ギルドマスターには私から伝えておきますね」
「ありがとうございます」
「ちゃんと伝えておきますね、好戦的な鷲さんがいるって」
「あははー」
いや、笑い事ではないか。ルシルちゃんには、駄目だよって言ってはみたものの、たぶんこれはまたやるなって思ってる。その時はごめんなさい。
「ステファニー!」
「ミリィ、ユリアにエルサも。依頼帰り?」
「そう! あ、それより大丈夫だった?」
大丈夫?? 何かあったのかな?
「朝コラム地方に行くって言ってたじゃない」
「そっちに大きな雷が落ちたって聞いたから、大丈夫だった?」
「あぁ、見ての通りだよ」
「良かったぁ~。雷雲が出現しなかったところに起きたらしくて、結構大きかったって聞いたからさ」
「確かに大きな音がしてたね」
「でも無事なら安心」
「ありがとう、心配してくれて」
心配してくれるだなんて、とっても嬉しい。
それから、夕飯はまだ? と聞かれて夕飯を一緒に取る事になりお開きとなった。
けど、あのオーク達。あの黒いものは一体何だったのだろうか。雷落とさない方が良かったかな。調べたほうが良かったかも。まぁ今更なんだけどね。でも、何事もなくて良かった。
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