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第7章:結婚直前の波乱
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「じゃあ、次のテーマは“結婚直前のハプニング”ね!」
瑞希はテーブルを軽く叩きながら、ニヤリと笑った。
「桜子もあったでしょ?
結婚が決まった後に“これ、大丈夫?”って思ったこと」
「……まぁ、なかったとは言わないけど」
桜子は少し考え込んだ。
「瑞希は何かあったの?」
「もう、大波乱だったよ!
だってね——」
-----------------------------------------------------------------
私と翔太が結婚することになって、親への挨拶も済んで、式場も決めたあと……
元カレが突然連絡してきたの!
しかも、「最後に一度だけ会ってほしい」って。
最初は「いやいや、今さら何?」って思ったし、無視しようかと思ったんだけど、どうしても気になって。
で、こっそり会いに行っちゃったのよね。
「……おいおい、大丈夫?」
「いや、今思えば完全にアウトなやつなんだけどね。
でも、当時はちょっとだけ“もしやドラマみたいな展開になる?”なんて期待しちゃったわけ」
「で、実際は?」
「ただの愚痴大会だったわ」
瑞希は大げさにため息をつく。
「元カレ、最初は『結婚おめでとう』って言ってたんだけど、だんだん『お前は本当にそれでいいのか?』みたいな話になって」
「うわぁ……」
「でしょ?
なんか“俺は今でもお前のことが……”とか言い始めてさ」
「それ、定番のやつね」
「そうそう。
で、一瞬だけ『このまま奪われちゃう?』みたいな妄想したんだけど、次の瞬間、元カレが“実は俺も最近彼女にフラれてさ”とか言い出したのよ」
「……それはダメだわ」
「でしょ!?
なんかもう、ただの未練タラタラ男のグチに付き合わされただけだった!」
-----------------------------------------------------------------
瑞希は思いっきりソファにもたれかかりながら、大げさに天を仰いだ。
「で、帰り道に思ったわけ。
“ああ、やっぱり翔太と結婚するのが正解だわ”って」
「うん、それが正しい判断だね」
「まぁ、今となっては笑い話だけどね。
で、桜子は?」
「……私?」
「桜子も結婚前に“ヤバいかも”って思ったことあったでしょ?」
「……あるにはあるけど、瑞希みたいなロマンスじゃなくて……
もう少し現実的なやつかな」
「何それ、気になる!」
私と圭介の結婚が決まったあと、最大の問題になったのは——彼の“生活力のなさ”だった。
「え、そこ?」
「そう、そこ」
結婚前、私はずっと一人暮らしだったから、ある程度の家事はこなせた。
でも、圭介は実家暮らしで、親に甘えっぱなしだったのよね。
最初はそんなに気にしてなかったんだけど、婚約後に“同棲”を始めたら……
まぁ、びっくりしたよ。
「例えば?」
「まず、洗濯機の回し方を知らない」
「えぇ……」
「ご飯を炊くのに、水の量がわからない」
「……マジで?」
「掃除機の使い方は知ってるけど、ゴミの捨て方を知らない」
「え、えぇぇぇ……」
「で、極めつけは“お風呂掃除って毎日しなきゃいけないの?”っていう発言ね」
「……それはヤバい」
瑞希は大真面目な顔で頷いた。
「そうなの。
もう、その時点で“こいつと本当に結婚して大丈夫か?”って思ったよね」
「で、どうしたの?」
「徹底的に教育した」
「おおぉ……!」
「最初は“俺、不器用だから”とか言ってたけど、容赦なくやらせたよ。
“結婚するなら、最低限のことはできるようになれ”って」
「桜子、強いなぁ」
「まぁね。
で、最終的にはどうにか最低限の家事はできるようになったんだけど……
結婚前に“これ、大丈夫かな”ってめちゃくちゃ不安になったのは事実」
「でも、結果的には今もうまくやってるんでしょ?」
「うん、一応ね。
でも、たまに“本当にちゃんと成長したのか?”って思うことはある」
「例えば?」
「こないだ、“洗濯物を畳むのがめんどくさいから、そのままクローゼットに突っ込んだ”って言ってきた」
「……それ、成長したの?」
「うーん……
してないかも」
二人は顔を見合わせて、思わず吹き出した。
「でも、桜子も私も、最終的には“この人で良かった”って思ってるんでしょ?」
「……まぁ、そうだね」
「じゃあ、結果オーライってことで!」
瑞希は笑いながら、カップを持ち上げた。
「さて、そろそろクライマックスかな?」
「クライマックス?」
「ほら、お互いに散々“こんな恋してきた”って話してきたけど……
最後に、“今の夫”について語るべきでしょ?」
桜子は少し考えたあと、小さく頷いた。
「……そうだね。
結局、私たちが最終的に選んだのは今の夫だし」
「よし!
じゃあ、次のテーマは“うちの夫は最高!”ってことで!」
二人はグラスを掲げるように、お互いのカップを軽くぶつけた。
——新婚隣人の恋バナ対決、いよいよ最終局面へ!
瑞希はテーブルを軽く叩きながら、ニヤリと笑った。
「桜子もあったでしょ?
結婚が決まった後に“これ、大丈夫?”って思ったこと」
「……まぁ、なかったとは言わないけど」
桜子は少し考え込んだ。
「瑞希は何かあったの?」
「もう、大波乱だったよ!
だってね——」
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私と翔太が結婚することになって、親への挨拶も済んで、式場も決めたあと……
元カレが突然連絡してきたの!
しかも、「最後に一度だけ会ってほしい」って。
最初は「いやいや、今さら何?」って思ったし、無視しようかと思ったんだけど、どうしても気になって。
で、こっそり会いに行っちゃったのよね。
「……おいおい、大丈夫?」
「いや、今思えば完全にアウトなやつなんだけどね。
でも、当時はちょっとだけ“もしやドラマみたいな展開になる?”なんて期待しちゃったわけ」
「で、実際は?」
「ただの愚痴大会だったわ」
瑞希は大げさにため息をつく。
「元カレ、最初は『結婚おめでとう』って言ってたんだけど、だんだん『お前は本当にそれでいいのか?』みたいな話になって」
「うわぁ……」
「でしょ?
なんか“俺は今でもお前のことが……”とか言い始めてさ」
「それ、定番のやつね」
「そうそう。
で、一瞬だけ『このまま奪われちゃう?』みたいな妄想したんだけど、次の瞬間、元カレが“実は俺も最近彼女にフラれてさ”とか言い出したのよ」
「……それはダメだわ」
「でしょ!?
なんかもう、ただの未練タラタラ男のグチに付き合わされただけだった!」
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瑞希は思いっきりソファにもたれかかりながら、大げさに天を仰いだ。
「で、帰り道に思ったわけ。
“ああ、やっぱり翔太と結婚するのが正解だわ”って」
「うん、それが正しい判断だね」
「まぁ、今となっては笑い話だけどね。
で、桜子は?」
「……私?」
「桜子も結婚前に“ヤバいかも”って思ったことあったでしょ?」
「……あるにはあるけど、瑞希みたいなロマンスじゃなくて……
もう少し現実的なやつかな」
「何それ、気になる!」
私と圭介の結婚が決まったあと、最大の問題になったのは——彼の“生活力のなさ”だった。
「え、そこ?」
「そう、そこ」
結婚前、私はずっと一人暮らしだったから、ある程度の家事はこなせた。
でも、圭介は実家暮らしで、親に甘えっぱなしだったのよね。
最初はそんなに気にしてなかったんだけど、婚約後に“同棲”を始めたら……
まぁ、びっくりしたよ。
「例えば?」
「まず、洗濯機の回し方を知らない」
「えぇ……」
「ご飯を炊くのに、水の量がわからない」
「……マジで?」
「掃除機の使い方は知ってるけど、ゴミの捨て方を知らない」
「え、えぇぇぇ……」
「で、極めつけは“お風呂掃除って毎日しなきゃいけないの?”っていう発言ね」
「……それはヤバい」
瑞希は大真面目な顔で頷いた。
「そうなの。
もう、その時点で“こいつと本当に結婚して大丈夫か?”って思ったよね」
「で、どうしたの?」
「徹底的に教育した」
「おおぉ……!」
「最初は“俺、不器用だから”とか言ってたけど、容赦なくやらせたよ。
“結婚するなら、最低限のことはできるようになれ”って」
「桜子、強いなぁ」
「まぁね。
で、最終的にはどうにか最低限の家事はできるようになったんだけど……
結婚前に“これ、大丈夫かな”ってめちゃくちゃ不安になったのは事実」
「でも、結果的には今もうまくやってるんでしょ?」
「うん、一応ね。
でも、たまに“本当にちゃんと成長したのか?”って思うことはある」
「例えば?」
「こないだ、“洗濯物を畳むのがめんどくさいから、そのままクローゼットに突っ込んだ”って言ってきた」
「……それ、成長したの?」
「うーん……
してないかも」
二人は顔を見合わせて、思わず吹き出した。
「でも、桜子も私も、最終的には“この人で良かった”って思ってるんでしょ?」
「……まぁ、そうだね」
「じゃあ、結果オーライってことで!」
瑞希は笑いながら、カップを持ち上げた。
「さて、そろそろクライマックスかな?」
「クライマックス?」
「ほら、お互いに散々“こんな恋してきた”って話してきたけど……
最後に、“今の夫”について語るべきでしょ?」
桜子は少し考えたあと、小さく頷いた。
「……そうだね。
結局、私たちが最終的に選んだのは今の夫だし」
「よし!
じゃあ、次のテーマは“うちの夫は最高!”ってことで!」
二人はグラスを掲げるように、お互いのカップを軽くぶつけた。
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