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北斗学園の食堂#3
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「普通はそうかもしれないけど……双子で付き合ってるの、この学校には居るんだよ……」
「え?マジで!?」
「うん。そろそろ来るんじゃないかな。……あ、耳栓持ってるなら、した方がいいよ」
「「?」」
疑問に思いつつも、北峯君に言われたとおりに篠北先生から貰った耳栓をはめた。
するとその直後のことだった。
『――きゃあああああああ!!』
「!?」
耳栓越しにも聞こえる、すごい叫び声が響いた。
「な……、何今の……」
「生徒会が来たんだよ」
生徒会!?
それだけでこんな絶叫起きる!?
驚きながら、食堂の入り口の方へ振り返ると、数人の美形が並んでそこに居た。
『きゃー!会長ー!今日もカッコいいー!』
『副会長!俺を踏んでくれええ!!』
『書記様、可愛いー!』
『会計様、抱いてー!』
『庶務様方、今日も目の保養~!』
な、なんじゃこりゃ……
まるでアイドルへの掛け声みたいなのが、食堂の至る所から発せられている。
「なるほど、だから耳栓ね……」
祥吾が納得したように頷いていた。
これ、確かに耳栓なかったらうるさくて仕方なかったな……
だけどこれいつまで続くの?
「――黙れ」
すると、美形軍団の真ん中に居た一人が静かに言い放った。
――シーン……
嘘だろ!?あれだけうるさかったのに皆一気に黙ったんだけど!?
そして、美形軍団は静かになった食堂の中央を、ウエイターに連れられて突っ切っていった。
「あ、もう耳栓外して大丈夫だよ」
「北峯君……今の何……?」
「食堂のある意味名物。生徒会って最早うちのアイドル的存在だから」
北峯君によると、生徒会メンバーは全校生徒からの推薦投票によって決まるらしい。
あくまで推薦投票であるため、皆、自分の好きな人に投票する。
つまり生徒会メンバーは学校で一番人気のある人たちがなるということであり、必然的に生徒会は学校のアイドル的存在になるということらしい。
「そういう人気の生徒には、親衛隊っていう、ファンクラブみたいなのが必ずあって……今の叫び声はほぼ親衛隊によるものだね」
「ふ、ファンクラブとかあるんだ……本当にアイドルじゃん……」
「だから言ったでしょ、アイドルだって」
まあ確かに生徒会の人たち、ずば抜けて美形だったもんな……
どうやら生徒会は生徒会専用のテーブル席があるらしく、皆そこに座っていた。
(ま、眩しいな、あそこだけ……)
あまりにもそこに座っている人が皆美形なので、そこだけなんだか別空間のように見えた。
「ねえ、どれがどの役職の人なの?」
祥吾が聞くと、北峯君は頷き、教えてくれた。
「さっきの、黙れって言ったのが会長の北條亮介。当然だけど一番人気で、親衛隊の数も一番だよ。それで、その右隣に座ってるのが副会長の源美里。眼鏡かけてる人ね」
会長はキリっとした正統派のイケメンという感じ。
副会長は、カッコいいというよりは美人というのがしっくりくる感じだった。
「で、会長の左隣が書記の吉野真。大人しそうな感じの人ね。そのさらに左が、会計の天沢悠馬。いかにもチャラ男って感じの奴」
「え?あの人って……」
書記は確かに無口で大人しそうだけど、目が大きく可愛い印象を受ける人だった。
それはいいんだけど、問題は会計の方だった。
……どうにも見覚えがある。
この学校に来て最初の登校日に会った、よくわからない発言をして去っていったあのチャラ男じゃないか?
「なあ祥、あの会計ってさ……」
「オレに勇気をくれた人だ!あの人、生徒会だったのか!!」
祥吾がそう言っているということは、やっぱり間違いなさそうだ。
まさかとは思ったけど、チャラ男が生徒会とは……いや別にいいんだけど……
「会計のこと知ってたんだ?あの人はよくわからないけど、たまにお悩み相談室とかやってるの見たことあるな」
「お、お悩み相談室?」
「そこで恋の相談をすると、成功する確率が高いっていう謎のジンクスがあるらしいよ」
「なんだそれ……」
俺が呆れている隣で、祥吾がなぜか目を輝かせていた。
「それで庶務が、会長の正面に座ってる顔そっくりな二人で、名前が日野朝陽と日野夕陽。あれがさっき言ってた付き合ってる双子」
「……本当にあの二人、付き合ってるの……?」
「うん。平気で廊下とかでキスしてるからね、あの二人。で、そのキス写真をSNSにアップしてた」
「嘘!?」
庶務の双子は、鏡写しのようにそっくりだが、やっぱり美形だった。
二人は互いしか見えていないような感じで、スペースは十分にあるのに、二人ピッタリくっついて座り、時折互いにちょっかいを出したり頭を撫で合ったり指を絡め合ったりしていた。
やがて生徒会のいるテーブルに料理が運ばれてきた。
生徒会の双子は、偶然にも俺達と同じオムライスを頼んでいた。
ちょっと場所が遠いが、俺の耳には、二人が話していることが聞こえてきた。
「――朝陽、あーん」
「あーん。はい、夕陽も」
「あーん」
……やってる!食べさせ合ってる!
「「美味しいねー!」」
めっちゃハモってる!
「あ、朝陽、ご飯粒ついてるよ」
「え?どこ?取って~」
「ここ」
ほっぺについたご飯キスして取ってる!
「えへへ、ありがと~夕陽!」
「どういたしまして~」
めっちゃラブラブしてる!
「北峯君……俺達あそこまではしてないぞ!?」
「でも傍から見ると、君たちも彼らと同じようにしか見えないんだよ」
「ええ!!?」
俺達、あんなん!?あんな風に見えてんの!?
茫然とする俺の横で、祥吾がそわそわしながらこちらを見てきた。
「ね、柊……ご飯粒ついちゃった……取って?」
「取らないからな!?」
早速影響されてやがる!
「えー……ケチ」
「ケチじゃない!」
そのあとは、双子庶務に話を聞きたいと近付こうとする祥吾を無理矢理引っ張って教室に戻った。
もう食堂には、どうしても必要なとき以外には来ないようにしよう……
***
「え?マジで!?」
「うん。そろそろ来るんじゃないかな。……あ、耳栓持ってるなら、した方がいいよ」
「「?」」
疑問に思いつつも、北峯君に言われたとおりに篠北先生から貰った耳栓をはめた。
するとその直後のことだった。
『――きゃあああああああ!!』
「!?」
耳栓越しにも聞こえる、すごい叫び声が響いた。
「な……、何今の……」
「生徒会が来たんだよ」
生徒会!?
それだけでこんな絶叫起きる!?
驚きながら、食堂の入り口の方へ振り返ると、数人の美形が並んでそこに居た。
『きゃー!会長ー!今日もカッコいいー!』
『副会長!俺を踏んでくれええ!!』
『書記様、可愛いー!』
『会計様、抱いてー!』
『庶務様方、今日も目の保養~!』
な、なんじゃこりゃ……
まるでアイドルへの掛け声みたいなのが、食堂の至る所から発せられている。
「なるほど、だから耳栓ね……」
祥吾が納得したように頷いていた。
これ、確かに耳栓なかったらうるさくて仕方なかったな……
だけどこれいつまで続くの?
「――黙れ」
すると、美形軍団の真ん中に居た一人が静かに言い放った。
――シーン……
嘘だろ!?あれだけうるさかったのに皆一気に黙ったんだけど!?
そして、美形軍団は静かになった食堂の中央を、ウエイターに連れられて突っ切っていった。
「あ、もう耳栓外して大丈夫だよ」
「北峯君……今の何……?」
「食堂のある意味名物。生徒会って最早うちのアイドル的存在だから」
北峯君によると、生徒会メンバーは全校生徒からの推薦投票によって決まるらしい。
あくまで推薦投票であるため、皆、自分の好きな人に投票する。
つまり生徒会メンバーは学校で一番人気のある人たちがなるということであり、必然的に生徒会は学校のアイドル的存在になるということらしい。
「そういう人気の生徒には、親衛隊っていう、ファンクラブみたいなのが必ずあって……今の叫び声はほぼ親衛隊によるものだね」
「ふ、ファンクラブとかあるんだ……本当にアイドルじゃん……」
「だから言ったでしょ、アイドルだって」
まあ確かに生徒会の人たち、ずば抜けて美形だったもんな……
どうやら生徒会は生徒会専用のテーブル席があるらしく、皆そこに座っていた。
(ま、眩しいな、あそこだけ……)
あまりにもそこに座っている人が皆美形なので、そこだけなんだか別空間のように見えた。
「ねえ、どれがどの役職の人なの?」
祥吾が聞くと、北峯君は頷き、教えてくれた。
「さっきの、黙れって言ったのが会長の北條亮介。当然だけど一番人気で、親衛隊の数も一番だよ。それで、その右隣に座ってるのが副会長の源美里。眼鏡かけてる人ね」
会長はキリっとした正統派のイケメンという感じ。
副会長は、カッコいいというよりは美人というのがしっくりくる感じだった。
「で、会長の左隣が書記の吉野真。大人しそうな感じの人ね。そのさらに左が、会計の天沢悠馬。いかにもチャラ男って感じの奴」
「え?あの人って……」
書記は確かに無口で大人しそうだけど、目が大きく可愛い印象を受ける人だった。
それはいいんだけど、問題は会計の方だった。
……どうにも見覚えがある。
この学校に来て最初の登校日に会った、よくわからない発言をして去っていったあのチャラ男じゃないか?
「なあ祥、あの会計ってさ……」
「オレに勇気をくれた人だ!あの人、生徒会だったのか!!」
祥吾がそう言っているということは、やっぱり間違いなさそうだ。
まさかとは思ったけど、チャラ男が生徒会とは……いや別にいいんだけど……
「会計のこと知ってたんだ?あの人はよくわからないけど、たまにお悩み相談室とかやってるの見たことあるな」
「お、お悩み相談室?」
「そこで恋の相談をすると、成功する確率が高いっていう謎のジンクスがあるらしいよ」
「なんだそれ……」
俺が呆れている隣で、祥吾がなぜか目を輝かせていた。
「それで庶務が、会長の正面に座ってる顔そっくりな二人で、名前が日野朝陽と日野夕陽。あれがさっき言ってた付き合ってる双子」
「……本当にあの二人、付き合ってるの……?」
「うん。平気で廊下とかでキスしてるからね、あの二人。で、そのキス写真をSNSにアップしてた」
「嘘!?」
庶務の双子は、鏡写しのようにそっくりだが、やっぱり美形だった。
二人は互いしか見えていないような感じで、スペースは十分にあるのに、二人ピッタリくっついて座り、時折互いにちょっかいを出したり頭を撫で合ったり指を絡め合ったりしていた。
やがて生徒会のいるテーブルに料理が運ばれてきた。
生徒会の双子は、偶然にも俺達と同じオムライスを頼んでいた。
ちょっと場所が遠いが、俺の耳には、二人が話していることが聞こえてきた。
「――朝陽、あーん」
「あーん。はい、夕陽も」
「あーん」
……やってる!食べさせ合ってる!
「「美味しいねー!」」
めっちゃハモってる!
「あ、朝陽、ご飯粒ついてるよ」
「え?どこ?取って~」
「ここ」
ほっぺについたご飯キスして取ってる!
「えへへ、ありがと~夕陽!」
「どういたしまして~」
めっちゃラブラブしてる!
「北峯君……俺達あそこまではしてないぞ!?」
「でも傍から見ると、君たちも彼らと同じようにしか見えないんだよ」
「ええ!!?」
俺達、あんなん!?あんな風に見えてんの!?
茫然とする俺の横で、祥吾がそわそわしながらこちらを見てきた。
「ね、柊……ご飯粒ついちゃった……取って?」
「取らないからな!?」
早速影響されてやがる!
「えー……ケチ」
「ケチじゃない!」
そのあとは、双子庶務に話を聞きたいと近付こうとする祥吾を無理矢理引っ張って教室に戻った。
もう食堂には、どうしても必要なとき以外には来ないようにしよう……
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