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第五話 陰陽師の名門 安倍家
しおりを挟む話しているうちにイナリ様も私も綺麗に朝食を食べきった。
「さて、、、
食べ終わったかな?、
今日の朝食は雪貞が君のために作ったんだよ。」
「え!雪貞さんが作ってくださったんですか!凄く美味しかったです!
ご馳走様でした。」
(後で雪貞さんにお礼を言わないとな、、。
というか...
あの手でどうやって料理を?、、包丁もてるのかな、、、)
そんな風に考えていると、
どこからか来た雪貞さんよりも小さい黄金色の小狐たちがお皿やお盆などを全て綺麗に片していった。
(雪貞さんとイナリ様以外にも神域に狐がいたんだな、、、。)
ーーーーー
お腹がいっぱいになり一息ついていたとき、
イナリ様が切り出してきた。
「
さて、
早速で申し訳ないんだけど、実は美琴に安倍家から浄化の依頼が来ている。」
「?安倍家、?、とは?」
「安倍家というのは名門の陰陽師の一家だよ。この高千穂で知らない者はいないくらい有名なね。
陰陽師は護符や陣で闇を抑える事ができる。
だから天女が不在の間は陰陽師たちが各地で呪いや闇を食い止めていたんだ。
でも、それも結局は気休めだからね。
力を貸して欲しいと文が来た。
天女がこの高千穂に帰ってきた事をどこかから知って、いち早く会いたがっているみたいなんだ。」
(陰陽師、、ってたしか、安倍晴明とか、、そういうやつだったよね?、)
「私どうしたら良いんでしょうか?、、本当に浄化なんて私に出来るんでしょうか?、」
「大丈夫だよ。君は天女だから。
陰陽師たちは少し思想が偏っているから、過激な部分はあるけど、天女に対して絶対に不当な扱いはしないだろう。陰陽師にとって天女は、さながら神様だからね。」
「かみさま、、?、」
(何だろう。すごく不安である。まだ自分が天女だという自覚はあんまりないし、半信半疑だ。実は天女じゃなくて浄化出来ませんでした。なんてことになったらどうなってしまうのだろう。)
「とりあえず、1週間後に安倍家から陰陽師が2人、こちらに謁見に来るらしい。
まぁ、別に会っても会わなくてもどちらでも良いと私は思うんだけど、どうする?」
「えっ!?私に会いにですか!?」
(なんだか話が急に一気に進んでいるような気がする。
わざわざ足を運んで来てくれると言うのに、会いたくありません、なんて言う勇気はない。
正直自信はないし、陰陽師は何となくこわい感じもするけど、とりあえず会ってみようかな、、)
「その、、、陰陽師とかまだよく分からないですけど、私に会いに来てくださるのなら、、会おうとおもいます、。」
「わかったよ。伝えておくね。」
ーーーーーーー
部屋に戻り、ソファに横になった。
(会うとは言ったものの、謁見とはどうしたら良いのだろうか、何かお話しするのだろうか、、。よくわからない。)
「イナリ様に陰陽師についてさっきもっと聞けばよかったな、、、。」
コンコンッ
1人で考えていると部屋のドアがノックされた。
「美琴様!失礼いたします!」
入ってきたのはかわいい白狐、雪貞だった。
「雪貞!どうしたの?」
「お休みのところ申し訳ありませぬ!
陰陽師たちと謁見なされるということで、美琴様にご用意しておいたお洋服の中から着る服をお選び頂きたいとおもったのです!」
「洋服?」
(そういえばずっと旅館で着るような浴衣のままだった。この格好で知らない人と会うのは確かに良くないな、、)
「こちらにご用意しておりますので!」
雪貞に部屋のウィークインクローゼットのような場所に案内された。
そこには色とりどりの衣装があった。
「すごい!服がいっぱい!」
「美琴様には馴染みがないかもしれませんがこの世界では皆和装です。美琴様が元々こちらに来れられた時に着ていた服だとあまりに目立ってしまうのでご用意いたしました。」
(こっちに来た時に着ていたのって、、
、、スーツか、、。確かに雪貞もイナリ様も和服だし、私だけスーツでは目立つだろう。)
「用意して頂いてありがとうございます!」
「いえいえ。こちらにある服たちは全て美琴様のものでございますから、これからはこちらにある服を着てお過ごしくださいませ!」
雪貞にそう言われ、何着か手にとって服を見てみた。
洋服は着物というわけではなく、造りがそれぞれ違っていた。袴のような服もあれば、下がワンピースのようになっているものもある。
豪華な刺繍が施されている服や、薄く透けた美しい布が何枚も重なってできている服
、全てがとても繊細に作られており、美しかった。こんな洋服を着ていたら誰でも天女に見えてしまうだろう。
(正直これを私が着るなんて、良いのだろうかという気持ちになる。)
「どれも素敵な服ですね。
謁見で着る服はこの中からどれでも良いんですか?」
「ただの謁見ですので、どの服でも問題ないと思いまする!」
(どれでもかぁ、、そういわれると悩むなあ、、)
悩みながらも私は沢山ある服の中から目に留まった一着を取り出した。
「そちらにされますか?美琴様にとてもお似合いになります!」
私が選んだのは、白を基調としたどこか白百合を連想させるような服だ。
銀色の糸で胸元や袖口に花の刺繍が施されており、下がマーメイドスカートのような形で何枚か白と薄緑の布が重なっている。
帯も上品な薄い緑色だ。
「これにしようと思います。」
「かしこまりました!
それではこちらと合うような髪飾りなどもご用意しておきます!
当日準備にお部屋に向かいますね!」
「わ!ありがとうございます!よろしくお願いします!」
(なんだか今から少し緊張してきたな、、。謁見、問題なく終わると良いな、、。)
「美琴様!こちらにきてから人間に会うのは初めてですよね?
陰陽師の者ですが、気晴らしになるといいと思っております!
謁見の際は私も一緒におりますゆえ!」
「雪貞も一緒にいてくれるの!」
(雪貞がいるのであれば少し安心できる。
前の世界で仕事ばかりだったせいで初対面の人と話すのは久しぶりだが、きっと大丈夫だろう。)
そしてあっという間に謁見の日の朝を迎えた。
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