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学園祭当日!
しおりを挟むあれから俺は自主練を自室でするようにした。
なるべく副会長と会わないようにするためだ。練習が終わったらすぐ帰るようにしたし、なるべく副会長と2人きりになるのを避けて。
副会長は何か言いたげな表情でこちらを見ているが無視。もしかしたら、また当たりが強くなるかもしれないな。
でも副会長と関わるのも学園祭までだ。
そして迎えた学園祭当日。俺は控え室で着替をしていた。
金がかかってることが分かる本格的な衣装。
エクステで元から長い髪をより長く伸ばしロングヘアに。洗練された漆黒のパンツドレスを着て装飾をつける。
目元は装飾のついた仮面で隠せば魔女の完成だ。
仮面舞踏会のような装いだが、金がかかっているだけあって高級感のある衣装だ。
「ヴィリエ様、ご準備整いましたでしょうか?」
「ああ、今行くよ」
他の生徒達も準備が出来たようだ。
視界に転入生のエマが映る。ピンク色のドレスはエマの天使のようなブロンドに似合っている。
リボンとフリルがふんだんに使われた衣装は如何にもお姫様といった見た目。
そして横にいるのは王子様と見紛う程衣装を着こなす副会長。白い軍服を色素の薄い副会長が着れば、本当に御伽噺に出てくる王子様のようだった。
「皆さん今日はいよいよ学園祭本番です!練習の成果を出しましょう!」
遂に舞台の幕が開けた。
客席は満杯状態。チケットは争奪戦だったらしく手に入れるのがかなり大変だったと聞いた。
前方の席には明らかに金持ちそうな身なりをした貴族や、各国の王族がいる。
「緊張してますか?」
「っ・・・副会長様」
「もう、ダニーとは呼んでくれないのですか?」
「・・・今は舞台を成功させることが先です」
「・・・そうですね、きっと素晴らしい舞台になりますよ」
どこか怪しげな表情を浮かべる副会長に俺は視線を逸らした。
『王子・・・貴方は騙されているのです!』
『私は・・・ずっと偽りを信じていたのか』
『王子っ・・・大丈夫です。これからは私が傍にいます・・・』
ヒロインによって真実を知り、魔女の企みを知った王子。ショックを受ける王子を検診的に支えようとする姫の感動的なシーンだ。
さて、この後はいよいよ魔女と王子のシーン。
真実を知った王子が魔女に詰め寄り、魔女が再び王子を洗脳の魔法にかけようとするが失敗して突き放される場面だ。
練習ではディープキスかまされたけど今回は大丈夫だろうな?
一応俺も直ぐに離れる準備はしているが。
『ふふっどこぞの女に誑かされたみたいね。お母様に逆らうなんて悪い子』
『っ・・・!』
『でも貴方は私には逆らえないってこと・・・分からせてあげる』
王子に近寄り頬を撫で触れるだけの口付けをする。
副会長の手が腰に回る前にさっと離れ舞台前へ歩いた。
『貴方はいつまでも私の可愛い駒だから。あんなどこぞの姫のところになんて行かせない』
不敵な笑みを浮かべ口元を扇で隠す。
さあ次は副会長が魔女を突き放す台詞。
私はお前の駒になんてならないと、魔女を拒絶す『私は・・・貴方に利用されたって構いません』
・・・は?
聞きなれない台詞に振り返ろうとした瞬間、後ろから抱きしめられた。
な・・・何これ、台本にこんなのなかったけど!?
『お母様・・・私は、僕は貴方をお慕いしております。例え利用する為に優しくしていたのだとしても。貴方と過ごした時間は、私にとって何よりかけがえのない時間でした』
「ちょっ・・・はぁ?」
『貴方と血が繋がっていないと知りどれ程安堵したか。母を殺された憎しみよりも、貴方を愛する気持ちが上回ってしまうのです・・・!ああ、僕の愛しい人・・・どうか僕を受け入れてください』
ま・・・待って待って待ってくれ!!!??
こんなの練習と違う!!
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