【本編完結済】悪役令息に転生したので死なないよう立ち回り始めたが何故か攻略対象達に執着されるように

なつさ

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勘違い男に釘を刺す

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「それでは今日は魔女と王子のシーンから開始します」

いよいよ学園祭当日も近くなってきた。
練習も終盤に入り、皆気合いが入っている。
今日の練習は主に俺とダニエルのシーン。ヒロインによって洗脳を解いた王子を、再び魔法で洗脳し魔女がキスをするシーンだ。
魔女にキスをされた王子は自力で洗脳を再び解き、魔女に向かって『もうお前に支配はされない!俺は姫と共に生きていく!』と言い放つ見せ場。
問題はキスについてだ。副会長は当初俺とキスするなんて冗談じゃない、するのなら本番だけで良いだろうと言っていた。
だから今日も台詞の読み合わせと動きだけの練習だと思っていた。

「いざ本番で失敗する可能性も考えたら、しっかりと練習しておくべきだと思いました。ですから台本通りやりましょう」
「で・・・ですが副会長様、宜しいのですか?」
「何か意見でも?」
「あ、いえ・・・なんでもありません」

突然副会長がキスもするとか言い出したのだ。
セックスしてキスに慣れちゃったのか?生徒困惑してんじゃん困らせんなよ!
まあ、キスと言ってもフレンチキスだろうしぶちゅっと済ませればいいか。
俺はスタート位置に立ち台詞を読み上げる。

『ふふっどこぞの女に誑かされたみたいね。お母様に逆らうなんて悪い子』
『っ・・・!』
『でも貴方は私には逆らえないってこと・・・分からせてあげる』

王子に近づきその頬を撫でる。妖艶な笑みを浮かべキスをした。さあ、この次は王子が俺を突き飛ばして台本の台詞を。
・・・・・・・・・。ん?あれ、台詞は???
早く台詞言えよと離れようとした瞬間、ガシッと手首と後頭部を掴まれ口の中に舌が入り込む。

「んぶっ!?んぐっ...ぢゅっ♡ぢゅるるっ・・・♡♡ばっ...んぶ♡♡」

ディープキスをされ慌てて離れようとするが腰も掴まれ離れられない。

「かっカーーット!!!副会長様!?」
「ん・・・何ですか?」
「何ですか、じゃないですよ!!王子が魔女にキスしてどうするんですか!?それにディープキスなんて!副会長様は魔女を突き放して台詞を言わなきゃダメですよ!!」
「あんな軽いキスじゃ迫真の演技にならないと思ったんです。アドリブですよ、アドリブ」
「でっでもダメです!」

飲み込みきれなかった唾液が口を伝う。腰が抜け放心状態の俺は副会長に支えられやっとのことで立っていた。






「エヴァっどこへ行くんです・・・!」

あの後副会長の手を掴み中庭へと移動。俺はいきり立っていた。

「なんて事するんですか!?あんなに大勢の生徒がいる前で・・・!!」
「っ・・・すみませんでした。エヴァからのキスに抑えが効かず・・・」
「もう二度とあんなことはしないでください!」
「・・・エヴァ、私は貴方との事を本気で考えています。私の家は厳格だと話したでしょう?私は自分の初めては結婚相手に捧げるものだと教わってきました。ですから・・・私の初めてを捧げ、貴方を抱いたからには私と結婚して欲しいです。学園祭が終わったら私の両親に挨拶に行きましょう?私達ならきっと良い夫婦に「何を仰ってるんですか」・・・え」

「副会長様は転入生が好きなんでしょう?それに、数回抱かせただけで恋人面しないでください。僕は童貞の貴方をからかってみたかっただけですから、変な勘違いをされちゃ困ります」
「そ・・・そんな・・・!」
「これに懲りたら二度と僕と結婚したいなんて考えないでください。貴方との関わりも、学園祭が終わるまでですから」

ここら辺で釘を刺さないとずるずると関係を持ってしまう。俺の言葉に副会長は泣きそうな顔で崩れ落ちた。







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