悠久の Madrugada〈マドゥルガダ〉 -蒼い闇- 《本編完結》「後日譚」連載開始しました

桜楽-sakura-

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La Madrugada 13 〔秘歌〕# R18

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「ん…………日陰シェイド、お早うございます……」

 はふ……、と弟は、無防備むぼうび欠伸あくびみ殺す仕草を隠さない。

 兄の信頼をうつしてか、思えばこの王弟は最初から日陰シェイドに従順に従い、身をゆだねることに躊躇ためらいがなかった。
 ーー兄が日陰シェイドを信頼していると、早い段階で確信していたことを見て取れた。 

 身繕みづくろいを全て他人に任せてしまえる鷹揚おうようさについては、高い身分の者であったことの証左しょうさであろうか。

 ここでの性奴隷としての暮らしにも直ぐに馴染なじんだが、安心しきって深く呼吸するような仕草と表情かおは、逆に日陰シェイドとーー何よりも、日陰シェイドの主の胸を痛ませた。

 肛門アヌスの洗浄には慣れず、羞恥しゅうちこらえて目元を朱くする。
 そして、閨事ねやごとでも、自らあしを開き、尻を振って婬猥いんわいな言葉を口にしても、時に恥じらうーー恥じらいを捨てない。あるじ性奴隷花嫁

 最初から、すでに身も心も日陰シェイドあるじささげられており、肛門アヌスを馴らす以外の調教らしい調教を必要としなかった。

 それ故、性奴隷花嫁の日々の世話と、あるじ性奴隷花嫁たわむれの手伝いがーー日陰シェイド仕事日常となった。



 §



 時折……半地下の牢から、地上の、四方をアーチの回廊に囲まれた中庭パティオに出ることを許される日がある。
 短い腰巻きロウェルに、ガウンカラシリス羽織はおることを許される日でもあった。

 チョーカーに長く伸ばされた鎖を繋がれ、ゼルソファファラに膝を抱いて座り、ぼぅっと切り取られた四角い空を、ただ見上げている日もあれば、午睡ごすいして過ごす日もあった。

 ただその日は、それらの他に黒絹の細長いきれが用意されていた。

「ーー何処か、連れて行かれるの?」
 弟が固い声で聞くと、それには日陰シェイドの“否”といういらえがあり、ほっとして、目隠しされるのを大人しく受けた。

 抱き上げられて階段を上り、くん、パティオの香りを聞く。

 そっとソファファラに降ろされると、いつものように、チョーカーが鎖に繋がれ、ジャラ……という鎖の音がやけに響いた。

 日陰シェイドの気配がなくなり、風が……どこか遠くの音を運んでくる。

 ーーイヤだ。聴きたくない。

 弟は、両手で耳をぎゅ、とふさソファファラの上でうずくまっった。



「リシェ」

 弟は、はっとして顔を上げた。

「視界を奪われて感度が上がったリシェと遊ぶつもりだったのだが……怖かったか?」
 兄が隣に座る気配の後、シュル、と目隠しが外された。

「見えないのは恐くない……」

「何が怖い?」
 兄が弟のひたいに、ほほに唇を寄せる。

「ーー鷹の歌ファルカ・ララが聞こえる……ーーーー鷹の歌ファルカ・ララが聞こえる、のに、僕の鷹の歌ファルカ・ララが届かない……」

 静かに泣く弟を、兄はソファファラに押し倒した。

鷹の歌ファルカ・ララが、に届いたから、お前はここにいる」

 兄が弟の涙を吸い、それから頬を辿たどり、唇へ。

「……美味しくない」

 ふっ、と兄が思わず笑む。
「なら、もう泣くな。ーーリシェ、何故ここのソファファラが大きいか、分かるか?」

「…………兄さまが、ここでリシェを抱くから?」

「そうだ。この明るい空の下で、リシェはあしを開くんだよ」

「ーーこう?」
 弟は片膝を立て、片方の足はソファファラから下ろし、大きく足を開いた。

「そう。ーーリシェ、抱くよ。ここで」



 §


「あーーっ、んっ……や…………ぁっ!ーーんんっ」

 片足を高く担ぎ上げられ、ペニスを受け入れながら嬌声きょうせいを空にはなつ弟に、兄は深く口づけ、息を奪った。

「に……さま、苦し…………あんっ」

 口づけの合間に、はぁはぁと苦し気に息を吐きながら、弟は兄に訴えるが更に息を奪われた。

「ーーーーくぅっ……!」

 荒い息の合間に深く下突き上げられ、身体が、のどあおのく。

「もう、鷹の歌ファルカ・ララ探さ聞かなくていい。ーーが聞くのはの声だけ」

 そう、弟にささやきながら、兄は肛門アヌス最奥おくを突き、弟を揺さぶり続けた。

「や…………ぁ、ーーんっ………………!」

 ーー最早もはや激しい突き上げを悦んで泣き、快楽だけを得て跳ねる身体ーー

「空のもと裸身らしんさらして……兄さまが与えるよろこびにくだけで良いーーリーシェ」

「あーー……あぁ、悦……ぃ…………に……さ、ま…………」

「どうした……? リシェ」

「こ…こ……、んっ…………ここ、いつ……あんっ! 用意ーー……て、……れた……の?」
 悦楽にあえぐ間で、弟が兄に問いかけた。

改築できた完成した日は……そう遠くない。ただ……ーーーー決めたのは大分以前まえだったな」



 §



 兄が一度イった後も肛門アヌスから男根ペニスは抜かれず、ゆるゆると抱かれていた。

「いつ、……決めたの?」
 甘く揺られながら、弟が更に問う。

 沈黙の先、兄は応えた。
「もう、ーー戻れないと悟った時」

「そう……ーー僕がきっと、兄さまに殺されようと決めた時だね、きっと」
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