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一章~気が付けば異世界~
恩返し
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光を感じて目が覚める。よかった昨日の様な嫌な夢は見なかった。身体の痛みも幾分和らいだ気がするし、化膿してた腕の腫れもなくなってきてる、おかげで気分も良い。
それにしても変わったなぁ。日本にいた時は目が覚めても頭がぼんやりして気分も憂鬱で一時間以上起き上がれないとかよくあったのに、今じゃ目が覚めて少しすれば起きられる。
うん。調子がよくなってきてるんだし洗濯してしまおう。
手もみ洗いなんて小学校の家庭科でやって以来だな。やり方なんて覚えてるわけもなく適当にざぶざぶっと洗ってみたけど臭いが落ちない、石鹸もないもんなぁ。しばらく揉んで絞ってを繰り返すと少しマシになってきた。でも少しである、これで臭い落とすのかなり時間くうな。まぁ、やることないし、やりますか。ざぶざぶざぶざぶ、ひたすらざぶざぶ……。
「これでいいだろ!」
顔を近づけても、もう臭いは感じない。やりきった……。最後に軽く絞って近くの木の枝にかける。
「終わった~」
することがなくなったな……。木にもたれてぼーっとする。これじゃあ引きこもってた時と変わらない。でもなにをすればいいのかさえわからない。他の国ってどんな感じなんだろうなぁ。あ~そういえばどうしても聞いてみたいことを思い出した。あれはどうしても聞いておきたい。リオ早く来ないかなぁ…………!? 自分が人に会いたいと思っていることに驚く、いや、情報源がリオだけだからってことだろ。あれだけ他人と関わることを恐れてたんだ。そうそう簡単に変わるはずはない。
「ありえない」
「何がありえないんですか?」
「っ!?」
振り返るとリオが居た。動悸がひどい、心臓がばくばくいってる。
「急に声をかけるとかやめてくれ、心臓に悪い」
「そんなにびっくりしたんですか?」
「びっくりしたよ……」
「ごめんなさい」
どこか楽し気に謝ってくる。流石に少しムッとする。俺にとっては周りの人間全部敵みたいな状況なのだから、もう少し気を使ってくれたっていいと思う。
「ごめんなさい、いいものあげますから機嫌直してください」
「いいもの?」
リオがバスケットを見せてくる。もので機嫌を取られるって俺はガキかよ……。なんかリオは俺を子供扱いしてる気がするなぁ。
「これです。じゃーん、これってワタルの世界の食べ物ですよね?」
「これカツサンド? なんで? この国じゃ異世界のものは広まってないんじゃなかったの?」
「もちろん広まらないようにってする人は大勢います。でも誰だって美味しいもの食べたいじゃないですか、だからこっそり広まってるんです」
広まったらこっそりじゃない気がする……。でも嬉しい、ちゃんと調理してあるものなんてこの世界に来てから全然食べれてない。…………機嫌取られてるなぁ。
「食べてもいい?」
「どうぞ」
また柔和な笑みを向けてそう言ってくれる、不思議な感じだ。最近まで引きこもりで誰とも関わろうとしなくて、その上こっちの世界に来たら訳も分からず疎まれて、それなのに今俺の目の前に居る人は優しい笑顔を俺に向けてくれて…………嬉しい……けど落ち着かない。
「いただきます!」
そんな感情を誤魔化すようにカツサンドを頬張る。
「美味しい……。ありがとうリオ」
「初めて作ったんですけど、喜んでもらえてよかったです」
初めてでこのクオリティ……コンビニの安いのじゃなく、パン屋の少しお高いもの位に美味しい気がする。
リオに会ってから手当に、食事に、世話になってばかりだ。異界者である俺に分け隔てなく接してくれて、恩返し、したいけど何をすればいいのかもわからない。外に出て人付き合いをしてれば何をすればいいとかすぐに思いつけたんだろうか? 情けない……。
「リオ、この世界の事を教えてもらいたいんだけど今日は時間ある?」
「ん~、薬草集めの後でよければ」
薬草集めか……。そうだよな、リオにだってやる事がある。俺にばかり構っていられないだろ……薬草集め?
「それ、俺も手伝っていい?」
思わずそう言っていた。普段消極的で人と関わることにビビりまくってるくせになんでこんなこと言った? …………でも丁度いいかもしれない恩返しはしないとって思ってたんだ。少しでも役に立てるのならその方がいい。
「いいんですか? ワタル筋肉痛で身体痛かったんじゃないんですか?」
「あ~、大丈夫、大分マシになってきたから」
「無理はしないでくださいね」
「了解~」
まぁ、お世話になりっぱなしだし、多少無理してでも役に立とう。
「それでどんなものを集めればいいの?」
手伝うと言っても何を集めればいいかもわかってない、しっかり教えてもらっとかないと間違えて毒草取ってきましたじゃただの足手まといだ。
「これと同じ葉っぱを集めてください。大きな木の陰に生えている事が多いので、そういった場所を探してもらえば見つかると思います」
なんか紫蘇の葉に似てるな、広卵形でギザギザだし。
「それってどんな匂いがするの?」
紫蘇なら匂いでわかるし。
「嗅いでみますか?」
そう言って葉を鼻先に近づけられた。
「うっ……」
「あはは……これの匂いは苦手って人多いですからねぇ」
紫蘇とは全然違った! ハッカっぽい匂いと、なんかこう、酸っぱい感じ? が混ざった様なよくわからない嫌な匂いだった。
「しばらくしたら滝の所で合流しましょう。あと、あっちには町があるので、あまり向こう側には行かないでくださいね。この森に人が来ることはあまりないですけど、見つかったら騒ぎになっちゃうと思いますから」
「わかった。町があるのとは反対の方を探すことにするよ」
「よろしくお願いしますね」
よし! 恩返しっぽいことが出来る! 頑張ろう! そう思って森の中を歩き回る。大きい木の陰って言ってたよな……。なかなか見つからない、もっとこう簡単に見つかるもんだと甘く見てた。
しばらく歩き回ってようやく一本見つけた。葉は八枚、少ない…………これじゃ恩返しにならんだろ……。それからも結構な時間歩き回った。こんなにないものなのか? それとも俺が探すのが下手なのか。足が怠くなってきた。鈍っている身体が恨めしい……。
たった八枚しか見つけられませんでしたってのはかっこ悪過ぎる。あとは意地だった。このままじゃ終われない、せめてあと二、三本は見つけないと恥ずかしくて戻れやしない。重い足を引きずるようにして森の中を徘徊する。
「あった!」
しかも二本生えてる。喜び勇んで葉を千切る。これで三十二枚、う~ん、どのくらい採れるのが普通なんだ? 結構時間かかったしそろそろ戻った方がいいか? 戻ろうと思って踵を返そうとして気が付く。
「ここ、どこだよ……」
迷った!? この年で? ありえない……。とりあえず今向いてる方から来たはずなんだからこのまましばらく歩いてみよう。滝が近くなれば音でわかるだろう。
「戻れねぇ…………」
本気で迷子かよ。どうすればいい? 大声でリオを呼ぶか? いやいや、そんな恥ずかしい事は絶対避けたい。それにリオ以外の人間が居てやって来る可能性だってある。戻るのが遅い時点で迷子認定されてそうなのは今は忘れよう。周りの景色も下ばかり見て歩いてたから見覚えがない。せめてもの救いはまだ日が高い事か、早起きしてて良かった。
耳を澄ましてみても滝の音は聞こえない。これ方向が違って町に向かってるってパターンはないよな? 殺されかけた事を思い出して不安になる。迷って不安になってるとか本当に迷子じゃないか……。
とにかくもう少し歩いてみよう、それでもどうしようもなかったら、最終手段でリオを――。
「ワタルー!」
呼ぼうと思ってたら呼ばれた!? びっくりして声がした方を向くと、リオが傾斜を駆け下りて来てた。
「どいてくださーい!」
普段なら避けられた。避けられたよ? でも足は元々完調じゃなかったし疲れもあって反応できなかった。
リオに思いっ切り体当たりされる。疲れた足じゃ踏ん張りも効かない、結果リオに押し倒される形になった。
「よかったー、やっと見つけました。全然戻ってこないから他の人に見つかっちゃったのかと思って心配したんですよ!」
そんなことを言われたけどこっちはそれどころじゃなかった。リオの綺麗な顔が目の前にあって、いい匂いはするし、胸は当たってるしでパニック状態だ。
「ワタル、聞いてるんですか? 私怒ってるんですよ」
聞こえてはいた。けど意識は押し付けられる胸や柔らかそうな唇に向いてて意味は理解してなかった。リオ結構大きい……。
「ワタル、ワタル!」
なにを思ったのか、リオが俺の胸をまさぐり始めた。
「っ!! リオなにを!?」
「ワタル、動悸がすごいですし顔も真っ赤ですよ、大丈夫ですか? なにか持病とかがあったんですか?」
そう言って触りながら確認してくる。更に動悸がひどくなった気がした。
「とりあえず降りて……」
「あ、はい、ごめんなさい」
リオが降りてすぐに、リオから距離を取る。まだ心臓の音がうるさい……。
「それで病気は?」
「ないない、健康そのもの!」
敢えていうならうつ病だけど、これは知られたくない。
「本当ですか?」
せっかく空けた距離を詰めて覗き込んでくる。この症状はリオのせいだってば、もしかしてリオって自分の魅力に無自覚なのか?
「本当に大丈夫だってば」
納得してない感じだけど、引き下がってくれた。
「病気じゃないのはわかりましたけど、どうしてこんなに遅くなったんです?」
あぁ、聞かれるよねそりゃ……。
「……てた」
「え?」
ええい言ってしまえ!
「迷子になってました!」
ポカーンとした顔をされた。そりゃそうだろう自分より四つも歳が上のやつが森の中で迷子になってましたって、俺なら指さして笑ってるわ!
「もう、あまり心配させないでください、でも慣れない森の中だから仕方ないですね。早く戻りましょう?」
リオは笑わなかった。でもここは笑ってくれた方が気が楽だったかもしれない。結局手伝うつもりが迷惑をかけてしまった……。
それにしても変わったなぁ。日本にいた時は目が覚めても頭がぼんやりして気分も憂鬱で一時間以上起き上がれないとかよくあったのに、今じゃ目が覚めて少しすれば起きられる。
うん。調子がよくなってきてるんだし洗濯してしまおう。
手もみ洗いなんて小学校の家庭科でやって以来だな。やり方なんて覚えてるわけもなく適当にざぶざぶっと洗ってみたけど臭いが落ちない、石鹸もないもんなぁ。しばらく揉んで絞ってを繰り返すと少しマシになってきた。でも少しである、これで臭い落とすのかなり時間くうな。まぁ、やることないし、やりますか。ざぶざぶざぶざぶ、ひたすらざぶざぶ……。
「これでいいだろ!」
顔を近づけても、もう臭いは感じない。やりきった……。最後に軽く絞って近くの木の枝にかける。
「終わった~」
することがなくなったな……。木にもたれてぼーっとする。これじゃあ引きこもってた時と変わらない。でもなにをすればいいのかさえわからない。他の国ってどんな感じなんだろうなぁ。あ~そういえばどうしても聞いてみたいことを思い出した。あれはどうしても聞いておきたい。リオ早く来ないかなぁ…………!? 自分が人に会いたいと思っていることに驚く、いや、情報源がリオだけだからってことだろ。あれだけ他人と関わることを恐れてたんだ。そうそう簡単に変わるはずはない。
「ありえない」
「何がありえないんですか?」
「っ!?」
振り返るとリオが居た。動悸がひどい、心臓がばくばくいってる。
「急に声をかけるとかやめてくれ、心臓に悪い」
「そんなにびっくりしたんですか?」
「びっくりしたよ……」
「ごめんなさい」
どこか楽し気に謝ってくる。流石に少しムッとする。俺にとっては周りの人間全部敵みたいな状況なのだから、もう少し気を使ってくれたっていいと思う。
「ごめんなさい、いいものあげますから機嫌直してください」
「いいもの?」
リオがバスケットを見せてくる。もので機嫌を取られるって俺はガキかよ……。なんかリオは俺を子供扱いしてる気がするなぁ。
「これです。じゃーん、これってワタルの世界の食べ物ですよね?」
「これカツサンド? なんで? この国じゃ異世界のものは広まってないんじゃなかったの?」
「もちろん広まらないようにってする人は大勢います。でも誰だって美味しいもの食べたいじゃないですか、だからこっそり広まってるんです」
広まったらこっそりじゃない気がする……。でも嬉しい、ちゃんと調理してあるものなんてこの世界に来てから全然食べれてない。…………機嫌取られてるなぁ。
「食べてもいい?」
「どうぞ」
また柔和な笑みを向けてそう言ってくれる、不思議な感じだ。最近まで引きこもりで誰とも関わろうとしなくて、その上こっちの世界に来たら訳も分からず疎まれて、それなのに今俺の目の前に居る人は優しい笑顔を俺に向けてくれて…………嬉しい……けど落ち着かない。
「いただきます!」
そんな感情を誤魔化すようにカツサンドを頬張る。
「美味しい……。ありがとうリオ」
「初めて作ったんですけど、喜んでもらえてよかったです」
初めてでこのクオリティ……コンビニの安いのじゃなく、パン屋の少しお高いもの位に美味しい気がする。
リオに会ってから手当に、食事に、世話になってばかりだ。異界者である俺に分け隔てなく接してくれて、恩返し、したいけど何をすればいいのかもわからない。外に出て人付き合いをしてれば何をすればいいとかすぐに思いつけたんだろうか? 情けない……。
「リオ、この世界の事を教えてもらいたいんだけど今日は時間ある?」
「ん~、薬草集めの後でよければ」
薬草集めか……。そうだよな、リオにだってやる事がある。俺にばかり構っていられないだろ……薬草集め?
「それ、俺も手伝っていい?」
思わずそう言っていた。普段消極的で人と関わることにビビりまくってるくせになんでこんなこと言った? …………でも丁度いいかもしれない恩返しはしないとって思ってたんだ。少しでも役に立てるのならその方がいい。
「いいんですか? ワタル筋肉痛で身体痛かったんじゃないんですか?」
「あ~、大丈夫、大分マシになってきたから」
「無理はしないでくださいね」
「了解~」
まぁ、お世話になりっぱなしだし、多少無理してでも役に立とう。
「それでどんなものを集めればいいの?」
手伝うと言っても何を集めればいいかもわかってない、しっかり教えてもらっとかないと間違えて毒草取ってきましたじゃただの足手まといだ。
「これと同じ葉っぱを集めてください。大きな木の陰に生えている事が多いので、そういった場所を探してもらえば見つかると思います」
なんか紫蘇の葉に似てるな、広卵形でギザギザだし。
「それってどんな匂いがするの?」
紫蘇なら匂いでわかるし。
「嗅いでみますか?」
そう言って葉を鼻先に近づけられた。
「うっ……」
「あはは……これの匂いは苦手って人多いですからねぇ」
紫蘇とは全然違った! ハッカっぽい匂いと、なんかこう、酸っぱい感じ? が混ざった様なよくわからない嫌な匂いだった。
「しばらくしたら滝の所で合流しましょう。あと、あっちには町があるので、あまり向こう側には行かないでくださいね。この森に人が来ることはあまりないですけど、見つかったら騒ぎになっちゃうと思いますから」
「わかった。町があるのとは反対の方を探すことにするよ」
「よろしくお願いしますね」
よし! 恩返しっぽいことが出来る! 頑張ろう! そう思って森の中を歩き回る。大きい木の陰って言ってたよな……。なかなか見つからない、もっとこう簡単に見つかるもんだと甘く見てた。
しばらく歩き回ってようやく一本見つけた。葉は八枚、少ない…………これじゃ恩返しにならんだろ……。それからも結構な時間歩き回った。こんなにないものなのか? それとも俺が探すのが下手なのか。足が怠くなってきた。鈍っている身体が恨めしい……。
たった八枚しか見つけられませんでしたってのはかっこ悪過ぎる。あとは意地だった。このままじゃ終われない、せめてあと二、三本は見つけないと恥ずかしくて戻れやしない。重い足を引きずるようにして森の中を徘徊する。
「あった!」
しかも二本生えてる。喜び勇んで葉を千切る。これで三十二枚、う~ん、どのくらい採れるのが普通なんだ? 結構時間かかったしそろそろ戻った方がいいか? 戻ろうと思って踵を返そうとして気が付く。
「ここ、どこだよ……」
迷った!? この年で? ありえない……。とりあえず今向いてる方から来たはずなんだからこのまましばらく歩いてみよう。滝が近くなれば音でわかるだろう。
「戻れねぇ…………」
本気で迷子かよ。どうすればいい? 大声でリオを呼ぶか? いやいや、そんな恥ずかしい事は絶対避けたい。それにリオ以外の人間が居てやって来る可能性だってある。戻るのが遅い時点で迷子認定されてそうなのは今は忘れよう。周りの景色も下ばかり見て歩いてたから見覚えがない。せめてもの救いはまだ日が高い事か、早起きしてて良かった。
耳を澄ましてみても滝の音は聞こえない。これ方向が違って町に向かってるってパターンはないよな? 殺されかけた事を思い出して不安になる。迷って不安になってるとか本当に迷子じゃないか……。
とにかくもう少し歩いてみよう、それでもどうしようもなかったら、最終手段でリオを――。
「ワタルー!」
呼ぼうと思ってたら呼ばれた!? びっくりして声がした方を向くと、リオが傾斜を駆け下りて来てた。
「どいてくださーい!」
普段なら避けられた。避けられたよ? でも足は元々完調じゃなかったし疲れもあって反応できなかった。
リオに思いっ切り体当たりされる。疲れた足じゃ踏ん張りも効かない、結果リオに押し倒される形になった。
「よかったー、やっと見つけました。全然戻ってこないから他の人に見つかっちゃったのかと思って心配したんですよ!」
そんなことを言われたけどこっちはそれどころじゃなかった。リオの綺麗な顔が目の前にあって、いい匂いはするし、胸は当たってるしでパニック状態だ。
「ワタル、聞いてるんですか? 私怒ってるんですよ」
聞こえてはいた。けど意識は押し付けられる胸や柔らかそうな唇に向いてて意味は理解してなかった。リオ結構大きい……。
「ワタル、ワタル!」
なにを思ったのか、リオが俺の胸をまさぐり始めた。
「っ!! リオなにを!?」
「ワタル、動悸がすごいですし顔も真っ赤ですよ、大丈夫ですか? なにか持病とかがあったんですか?」
そう言って触りながら確認してくる。更に動悸がひどくなった気がした。
「とりあえず降りて……」
「あ、はい、ごめんなさい」
リオが降りてすぐに、リオから距離を取る。まだ心臓の音がうるさい……。
「それで病気は?」
「ないない、健康そのもの!」
敢えていうならうつ病だけど、これは知られたくない。
「本当ですか?」
せっかく空けた距離を詰めて覗き込んでくる。この症状はリオのせいだってば、もしかしてリオって自分の魅力に無自覚なのか?
「本当に大丈夫だってば」
納得してない感じだけど、引き下がってくれた。
「病気じゃないのはわかりましたけど、どうしてこんなに遅くなったんです?」
あぁ、聞かれるよねそりゃ……。
「……てた」
「え?」
ええい言ってしまえ!
「迷子になってました!」
ポカーンとした顔をされた。そりゃそうだろう自分より四つも歳が上のやつが森の中で迷子になってましたって、俺なら指さして笑ってるわ!
「もう、あまり心配させないでください、でも慣れない森の中だから仕方ないですね。早く戻りましょう?」
リオは笑わなかった。でもここは笑ってくれた方が気が楽だったかもしれない。結局手伝うつもりが迷惑をかけてしまった……。
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