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第3章 短編を書いてみよう!

第12話 未知野灯(フォローしましょう)

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「あ~、まずかった」

 ひながゲホゲホせき込んでいると、遠くから誰かが駆け込んできました。

「どうしたの? 大丈夫?」

 ひなは「大丈夫です」と答えながらまたせき込みました。
 落ちているチョコバナナを見たその人は、

「ああ、これ食べたのね。それは災難だったね」

 と、バナナを拾ってはゴミ箱に捨てました。

「あなた、新人さん?」

「はい。未来ノひなといいます」

「ひなちゃんね。私は未知乃灯みちのあかり。みちのんでもあかりんでも好きなように呼んで」

「じゃあ、みちのさん」

「かたいなぁ。みちのんでいいのに。だいじょうぶだった?」

「はい。大丈夫です」

「気を付けてね。ここら辺は玉石混交の新人フィールドだから。ところでひなちゃんは来たばっかり? なにか作品書いた?」

「今、童話を書いている最中なんですが……」

「童話! 見せて見せて!」

「まだ出来上がっていないんです」

「そう。じゃあ、私のこのキャラメル食べてみて。私も童話書いたの」

 みちのはそう言うと、おいしそうなキャラメルをひなに手渡した。

「わあ、おいしそう。いただきます。……………しょっぱい!」

「塩キャラメルだからね。よく噛んでみて」

「あ……おいしいかも。悲しいお話。でもすてき。なんで?」

 ひなは、キャラメルを食べ終わって満足しました。

「童話なのに悲しくていいの?」

「悲しい童話はいっぱいあるわよ。『人魚姫』『赤い蝋燭と人魚』『ごんぎつね』『泣いた赤鬼』ほら、たくさんあるでしょ」

「そういわれればそうですね」

「さ、良かったと思ったら色を塗ってね」

 そう言って、♡と☆☆☆の紙を出しました。
 ひなはよく考えて💖と🌟☆☆を塗りました。

「星1つ? ありがとう!」

 みちのは小躍りするように喜びました。

「星ってそんなにうれしいの?」

「うれしいわよ。1つでももらうと注目トピックに載るかもしれないし」

「注目トピック? なんですか?」

「うーんとね、こんな作品読んでみませんかって広告みたいなものかな? かくよむの住人に宣伝されるのよ」

「そうなんですか」

 ひなはそのすごさが、今はよく分かっていません。

「じゃ、書いたら読みに来るから。フォローしておくね」

「フォローですか? フォローって何ですか?」

「本当に来たばっかりなのね。そこのクマは何をしていたんだか」

「ひなは君が初めて会った人間なんだよ」

「そうなの?」

 みちのは、「じゃあ仕方ないか」と言って、屋台から紙を取りました。

「これがひなのフォロー先。私がもらうわ。これで私は、いつでもあなたのお店からお取り寄せがしやすくなったの。はい、これをどうぞ」

 みちのはひなに連絡先を渡した。

「あなたがこれを受け取ったらフォローバックが成立するの。これでお互い行き来が楽になるわ。これでお友達ね」

「友達! 本当に?!」

「そうよ。ひな、仲良くしようね」

「はいっ!」

 こうして、ひなに初めての友達ができました。


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