57 / 74
人間界の国王が彼是やらかしに来る? 迎え撃ってやろうじゃないか!!!
第57話 大事な【何か】を放置し、キヌマートの事で荒れる王国①
しおりを挟む
――王国side――
食べたくてしょうがないキヌマートの料理。
そのキヌマートへの書簡を受け取られる事も無かったことに怒りを露わにしたワシじゃったが、それ以上に不味い事をしたのだと知ったのは――キヌマートの血縁者である男を、勇者の奴隷に堕としたことで創業者が本気で怒っているという事実だった。
血縁者を何の非もなく奴隷に堕としたのだ。
この事実を知っているとなると、キヌマートが王家に対して恨みを持っているのが嫌程分かる。
だからこうして書簡を受け取らず、色いい返事を一切することなく、商品を買う事すら拒否されたのだろう。
「おのれ勇者めぇ~~!!!」
「ですが、その時にキヌマートの血縁者とは知りませんでしたし」
「それはそうだが!!」
「所詮は庶民でしょう? 金銭で事なきを、」
「それが、金は腐る程あるから金銭での謝罪等求めていないとの事で」
「……それは、困りましたね」
金銭で謝罪すれば大抵の事は握りつぶせると思っていたワシも、此れには頭を悩ませた。
どうすればキヌマートから食事や甘味を買えるだろうか……。
やはり魔王に提案するしかないだろう……。魔王が良しとすればキヌマートも考えを改めるかもしれない。
キヌマートの為に和平交渉と言うのもあれだが……無いよりはマシだ。
「仕方ない。魔王と和平交渉しよう。それしかキヌマートを呼び寄せる札がない」
「ですが、今回の魔王は和平交渉に臨むでしょうか?」
「前回不意打ちで魔王を殺していますからね……」
「今回不意打ちで魔王を殺そうものなら、それこそキヌマートとの縁が切れてしまう。殺すことは目的とせず、あくまで和平に持ち込むのだ」
そうワシが伝えると「ですが魔王を放置していいのですか?」と聞かれた為、ワシもうなり声をあげた。
魔王と言う存在は危険すぎる。
故に死んでもらわねば困る存在ではあるが、今回はキヌマートを人質にとられているようなものだ。
どう足掻いても、和平に持ち込むしかなかった。
「悔しいが、今の魔王はキヌマートと良好な関係を築いている。キヌマートとワシらが良好な関係を築ければ、魔王等殺してもいい存在だと思っているが」
「その為には、まずは和平交渉……と言う訳ですね」
「うむ。忌々しい魔王め。そもそもキヌマートの創立者もそうだ。たかだが自分の血縁者が奴隷に堕とされたくらいでなんだ!」
そう怒りを露わにするワシだが、それすらも魔王に見られているとは思いもよらない。怒り心頭でキヌマートの創立者に文句を垂れながし、「奴隷一つでガタガタ抜かすな!!」と叫び声をあげると、王太子はクスクス笑いつつワシに声を掛けてきた。
「ですが、その元奴隷を連れて帰ればキヌマートの創立者も来たのでは? ただの奴隷であっただけで戦いの仕方など知らない異世界人でしょう?」
「ふむ……」
「こちらが人質に取ってしまえばいいのですよ。次に行くときにまた元奴隷がいれば捕まえてキヌマートの創立者と取引をすればいいのです」
「それもそうだな!! 名案だ!! おい、騎士数名を連れて今すぐ行ってこい」
「は、はい!」
そう伝えると休む暇も与えず次なる一手の為に騎士団を連れていかせ、ワシは出来た息子を持って誇らしくなった。
そうだとも、こちらが有利になればいいだけの話だ。
失敗する筈がない。
「そう言えば、おかしなことを言っていたな」
「ええ、魔王領にあるダンジョンですね? 『楽園』があるとかなんとか」
「それで冒険者たちが戻らないのなら、こちらも騎士団を用意して討伐に向かう義務が出るというものだ。キヌマートの事が片付いたらすぐにでも用意せよ」
「では、その指揮は私が」
「うむ!」
「騎士団総出で必ずやダンジョンを壊して見せましょう」
「ははは!! 期待しているぞ」
まずはダンジョン攻略。
魔王領に『楽園』があるなど許されることではない!!
『楽園』は人間が持っていて然るべきものなのだ!
「全く、妙な魔王だな……。そもそも行った冒険者も勇者も戻ってくる気配すらない」
「それだけのめり込める楽園と言う事でしょうか?」
「フン! そのような楽園を魔王が作れるとでも?」
「……人間の事を知り尽くしている気がするんです。今回の魔王、危険かも知れません」
神妙な顔でそう呟いた王太子に、ワシは顎に手を乗せ「確かに妙だな」と口にするが、どう妙かと言われてもピンとこない。
攻撃を仕掛けてくる訳でもなく、こちらは冒険者を嗾けた。
所がだ、その冒険者をいとも簡単に手懐けさせたのだ。
考えてみれば妙だが、どう妙かと言われても本当に言葉に出来ない。
――やけに、人間の事を熟知している。
そう思える魔族が生まれているという事だろうか……。
そうなると、長い事人間世界で生きて、人間の事を知り尽くした上級魔族が魔王になっている可能性が高い。
討伐も心して掛からねば……あっという間にこちらが籠絡するだろう。
偵察隊を出すのも……致し方ないか。
キヌマートの事を進めつつ、偵察隊を出す事を決め、直ぐに集められた三人の精鋭部隊に魔王領ダンジョンへと向かって貰う。
定期的に手紙で連絡を寄越すように伝え送り出したのだが、後にキヌマートのカナデを手に入れようとしてこちらが殺されてホームに戻ってくる羽目になり、カナデを守っていたのが四天王二人だったという事も判明しゾッと恐怖した事や、魔王がいかにキヌマートとカナデを必死に守ろうとしているのかを知り、やはり謝罪と同時に和平交渉するしかないと判断することになったのだが――。
食べたくてしょうがないキヌマートの料理。
そのキヌマートへの書簡を受け取られる事も無かったことに怒りを露わにしたワシじゃったが、それ以上に不味い事をしたのだと知ったのは――キヌマートの血縁者である男を、勇者の奴隷に堕としたことで創業者が本気で怒っているという事実だった。
血縁者を何の非もなく奴隷に堕としたのだ。
この事実を知っているとなると、キヌマートが王家に対して恨みを持っているのが嫌程分かる。
だからこうして書簡を受け取らず、色いい返事を一切することなく、商品を買う事すら拒否されたのだろう。
「おのれ勇者めぇ~~!!!」
「ですが、その時にキヌマートの血縁者とは知りませんでしたし」
「それはそうだが!!」
「所詮は庶民でしょう? 金銭で事なきを、」
「それが、金は腐る程あるから金銭での謝罪等求めていないとの事で」
「……それは、困りましたね」
金銭で謝罪すれば大抵の事は握りつぶせると思っていたワシも、此れには頭を悩ませた。
どうすればキヌマートから食事や甘味を買えるだろうか……。
やはり魔王に提案するしかないだろう……。魔王が良しとすればキヌマートも考えを改めるかもしれない。
キヌマートの為に和平交渉と言うのもあれだが……無いよりはマシだ。
「仕方ない。魔王と和平交渉しよう。それしかキヌマートを呼び寄せる札がない」
「ですが、今回の魔王は和平交渉に臨むでしょうか?」
「前回不意打ちで魔王を殺していますからね……」
「今回不意打ちで魔王を殺そうものなら、それこそキヌマートとの縁が切れてしまう。殺すことは目的とせず、あくまで和平に持ち込むのだ」
そうワシが伝えると「ですが魔王を放置していいのですか?」と聞かれた為、ワシもうなり声をあげた。
魔王と言う存在は危険すぎる。
故に死んでもらわねば困る存在ではあるが、今回はキヌマートを人質にとられているようなものだ。
どう足掻いても、和平に持ち込むしかなかった。
「悔しいが、今の魔王はキヌマートと良好な関係を築いている。キヌマートとワシらが良好な関係を築ければ、魔王等殺してもいい存在だと思っているが」
「その為には、まずは和平交渉……と言う訳ですね」
「うむ。忌々しい魔王め。そもそもキヌマートの創立者もそうだ。たかだが自分の血縁者が奴隷に堕とされたくらいでなんだ!」
そう怒りを露わにするワシだが、それすらも魔王に見られているとは思いもよらない。怒り心頭でキヌマートの創立者に文句を垂れながし、「奴隷一つでガタガタ抜かすな!!」と叫び声をあげると、王太子はクスクス笑いつつワシに声を掛けてきた。
「ですが、その元奴隷を連れて帰ればキヌマートの創立者も来たのでは? ただの奴隷であっただけで戦いの仕方など知らない異世界人でしょう?」
「ふむ……」
「こちらが人質に取ってしまえばいいのですよ。次に行くときにまた元奴隷がいれば捕まえてキヌマートの創立者と取引をすればいいのです」
「それもそうだな!! 名案だ!! おい、騎士数名を連れて今すぐ行ってこい」
「は、はい!」
そう伝えると休む暇も与えず次なる一手の為に騎士団を連れていかせ、ワシは出来た息子を持って誇らしくなった。
そうだとも、こちらが有利になればいいだけの話だ。
失敗する筈がない。
「そう言えば、おかしなことを言っていたな」
「ええ、魔王領にあるダンジョンですね? 『楽園』があるとかなんとか」
「それで冒険者たちが戻らないのなら、こちらも騎士団を用意して討伐に向かう義務が出るというものだ。キヌマートの事が片付いたらすぐにでも用意せよ」
「では、その指揮は私が」
「うむ!」
「騎士団総出で必ずやダンジョンを壊して見せましょう」
「ははは!! 期待しているぞ」
まずはダンジョン攻略。
魔王領に『楽園』があるなど許されることではない!!
『楽園』は人間が持っていて然るべきものなのだ!
「全く、妙な魔王だな……。そもそも行った冒険者も勇者も戻ってくる気配すらない」
「それだけのめり込める楽園と言う事でしょうか?」
「フン! そのような楽園を魔王が作れるとでも?」
「……人間の事を知り尽くしている気がするんです。今回の魔王、危険かも知れません」
神妙な顔でそう呟いた王太子に、ワシは顎に手を乗せ「確かに妙だな」と口にするが、どう妙かと言われてもピンとこない。
攻撃を仕掛けてくる訳でもなく、こちらは冒険者を嗾けた。
所がだ、その冒険者をいとも簡単に手懐けさせたのだ。
考えてみれば妙だが、どう妙かと言われても本当に言葉に出来ない。
――やけに、人間の事を熟知している。
そう思える魔族が生まれているという事だろうか……。
そうなると、長い事人間世界で生きて、人間の事を知り尽くした上級魔族が魔王になっている可能性が高い。
討伐も心して掛からねば……あっという間にこちらが籠絡するだろう。
偵察隊を出すのも……致し方ないか。
キヌマートの事を進めつつ、偵察隊を出す事を決め、直ぐに集められた三人の精鋭部隊に魔王領ダンジョンへと向かって貰う。
定期的に手紙で連絡を寄越すように伝え送り出したのだが、後にキヌマートのカナデを手に入れようとしてこちらが殺されてホームに戻ってくる羽目になり、カナデを守っていたのが四天王二人だったという事も判明しゾッと恐怖した事や、魔王がいかにキヌマートとカナデを必死に守ろうとしているのかを知り、やはり謝罪と同時に和平交渉するしかないと判断することになったのだが――。
82
あなたにおすすめの小説
聖女なんかじゃありません!~異世界で介護始めたらなぜか伯爵様に愛でられてます~
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
川で溺れていた猫を助けようとして飛び込屋敷に連れていかれる。それから私は、魔物と戦い手足を失った寝たきりの伯爵様の世話人になることに。気難しい伯爵様に手を焼きつつもQOLを上げるために努力する私。
そんな私に伯爵様の主治医がプロポーズしてきたりと、突然のモテ期が到来?
エブリスタ、小説家になろうにも掲載しています。
キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~
サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。
ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。
木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。
そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。
もう一度言う。
手違いだったのだ。もしくは事故。
出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた!
そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて――
※本作は他サイトでも掲載しています
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
召喚されたら聖女が二人!? 私はお呼びじゃないようなので好きに生きます
かずきりり
ファンタジー
旧題:召喚された二人の聖女~私はお呼びじゃないようなので好きに生きます~
【第14回ファンタジー小説大賞エントリー】
奨励賞受賞
●聖女編●
いきなり召喚された上に、ババァ発言。
挙句、偽聖女だと。
確かに女子高生の方が聖女らしいでしょう、そうでしょう。
だったら好きに生きさせてもらいます。
脱社畜!
ハッピースローライフ!
ご都合主義万歳!
ノリで生きて何が悪い!
●勇者編●
え?勇者?
うん?勇者?
そもそも召喚って何か知ってますか?
またやらかしたのかバカ王子ー!
●魔界編●
いきおくれって分かってるわー!
それよりも、クロを探しに魔界へ!
魔界という場所は……とてつもなかった
そしてクロはクロだった。
魔界でも見事になしてみせようスローライフ!
邪魔するなら排除します!
--------------
恋愛はスローペース
物事を組み立てる、という訓練のため三部作長編を予定しております。
修学旅行に行くはずが異世界に着いた。〜三種のお買い物スキルで仲間と共に〜
長船凪
ファンタジー
修学旅行へ行く為に荷物を持って、バスの来る学校のグラウンドへ向かう途中、三人の高校生はコンビニに寄った。
コンビニから出た先は、見知らぬ場所、森の中だった。
ここから生き残る為、サバイバルと旅が始まる。
実際の所、そこは異世界だった。
勇者召喚の余波を受けて、異世界へ転移してしまった彼等は、お買い物スキルを得た。
奏が食品。コウタが金物。紗耶香が化粧品。という、三人種類の違うショップスキルを得た。
特殊なお買い物スキルを使い商品を仕入れ、料理を作り、現地の人達と交流し、商人や狩りなどをしながら、少しずつ、異世界に順応しつつ生きていく、三人の物語。
実は時間差クラス転移で、他のクラスメイトも勇者召喚により、異世界に転移していた。
主人公 高校2年 高遠 奏 呼び名 カナデっち。奏。
クラスメイトのギャル 水木 紗耶香 呼び名 サヤ。 紗耶香ちゃん。水木さん。
主人公の幼馴染 片桐 浩太 呼び名 コウタ コータ君
(なろうでも別名義で公開)
タイトル微妙に変更しました。
レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。
おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。
ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。
落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。
機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。
覚悟を決めてボスに挑む無二。
通販能力でからくも勝利する。
そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。
アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。
霧のモンスターには掃除機が大活躍。
異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。
カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。
推しの幸せをお願いしたら異世界に飛ばされた件について
あかね
恋愛
いつも推しは不遇で、現在の推しの死亡フラグを年末の雑誌で立てられたので、新年に神社で推しの幸せをお願いしたら、翌日異世界に飛ばされた話。無事、推しとは会えましたが、同居とか無理じゃないですか。
お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。
記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。
そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。
「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」
恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる