弱肉強食 ー君臨する龍、異形の蟲ー

 この世界の最強の種族。それは『龍』と呼ばれ人類から長い間恐れられていた。
 それは彼らが己の食欲を満たすためにあらゆる生物、自然環境を喰らい破壊し尽くしたからだ。

 しかし、地上から食糧が激減することで餌をなくした龍たちは徐々に憔悴していった。
 人類と龍、このままでは先がないことを悟った双方は盟約を結ぶ。
 人間たちはその労働力で龍に贄となる食糧を捧げ、龍は人間たちを外敵、つまり他の龍から守らなければならないという盟約を。

 そうして世界は安寧を取り戻すことになった。
 しかし、それから約百年後、山中にぽつりと佇む田舎村で大きな事件が起きた。
 そこで二人の少年たちは垣間見ることになる、誰もが信じて疑わないこの弱肉強食の食物連鎖に少しずつ綻びが生じていることに。
 これは人と龍そして、異形の蟲たちが織り成す新たな弱肉強食の形なのかもしれない。
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