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南北大陸編

83 眷属にしちゃうぞ2

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 俺は女神様たちと一緒に女神湯に入った。
 当然、後光は抑えてもらって。

「ほらっ、リュウジ、こっちこっち」

 アリスが湯船で俺を呼ぶ。俺はイリス様とアリスの間に入った。

「さすがに、女神様八名となると華やかですね。女性が多いのはやっぱ、研究職だからですか? 使徒の研究職は女性が多いらしいけど」

「あら、良く知ってるわね」とイリス様。
「はい。実は椎名美鈴からそんな話を聞いたんです。女神様もそうなのかと思っただけです」
「ああ、美鈴さんね。そう言えば彼女生きてたのよね。会いたいなぁ」

 女神クリスがそんなことを言った。へぇ、ちょっと呼んでみるか。

「クリスさん、会ったことあるんですね」
「そう、ちょっと魔法共生菌の薬を相談されたことがあって」

 俺は神力リンクで椎名美鈴に連絡してみた。

「なるほど。あ、来るみたいです」
「よかった~っ」

「そういえば、治癒師って研究職とはちょっと違います?」

 ちょっと気になって聞いてみた。

「ああ、いろいろね。薬の神様と新しい薬を作ったりもするから研究職でもあるし」

 女神オリスは女神クリスを見て言った。確かに頻繁に会ってそうな組み合わせだな。

「そうだね!」
「なるほど」

「治癒師の神様のほうが、人間ひとりひとりの違いを良く研究してるよね」と女神クリス。
「あ~っ、なるほどね。そういうことか」

「うん、そこが治癒師の難しいところね。大事なのは個々の人間のほう」

 確かに、人間個人の違いに合わせるのは難しそうだ。薬の量一つとっても、加減するのは難しそう。

「なるほど。今ちょうど病院作ってて治癒師が大勢必要になって問題になってます」

「いくら直ぐに必要でも最低限の教育だけじゃ回らないし難しいのよ」
「はい、出来れば力を貸してください」
「うん、分かってるよ。それもあって眷属になったんだもん」
「そうなんですか! ありがとうございます。良かった~。よろしくお願いします」

 思ったより気安い神様らしく安心した。

「けど、男の神って、なんで研究職しないんだろ?」

 俺は疑問に思ったので聞いてみた。

「うん? そんなことないけど。このグループが、たまたまじゃないかなぁ?」と神魔科学の女神カリス。

 男神の研究職って沢山居るんだ。会ったこと無いけど。

「使徒はともかく、神は少し女神が多いってくらいじゃない?」と女神キリス。
「そうなんだ」全員美人なのも偶然なんだろうか?
「女神は全員美人よ。当然でしょ」とアリスが胸を張る。

 俺の心読んで話すのやめて! みんなが話が見えない……って顔でもないな。こういうの神界では普通なのかな。
 あと、女神が美人は当然なのか? 確かに究極的に健康な訳だから当然そうなるか。

「俺のグループが全員女性なのは偶然ってことね。これはもう運命?」

 ん? 運命? もしかしてウリス様何かしてないよね? と見ると、そっと視線をそらされた。何かシテルンデスネ。

「美人と言えば椎名美鈴さんはリュウジの使徒にしたんだよね?」

 アリスがみんなに教える意味で聞いて来た。
 椎名美鈴は美人と言うより可愛いタイプだと思うけど、せがまれて俺の眷属にした。前の女神様に気兼ねなく動けるようになりたいそうだ。流石に迷惑かけて悪いと思ったらしい。

「うん、前の上位神に迷惑かけたからって」
「そう。まぁ、気にし過ぎだと思うけど同じ世界から来たリュウジのほうが動き易いってことはあるよね」

「そういえば、前の神様ってどうしてるの?」
「ああ、神界リセット掛けたからちょっと休職になってるのよ」
「それで姿が見えないのか」

「まぁ、再研修してる……みたいな感じよ」ちょっと気になるな。
「それもあって、悪いと思ってるのか」
「そうかもね。使徒が気にしなくていいのに。けど、相性ってのはあるかもね」

 そんなことを話していたら、元気いいのが入ってきた。

「美鈴、入りま~すっ」

  話題の椎名美鈴の登場だ。

「お前、女神湯に入ってこなくていいのに。部屋で待ってれば良かったんだよ」
「だって、本物の女神湯に入りたかったし。もういいじゃん。私も、限りなく嫁よね?」

  違いますけど? 限りなく嫁って、どんな嫁だよ!

「なんでだよ。限りなく違ぇーよ。てか、もう完全に使徒化してるんだから、いまさら嫁とか拘らなくていいだろ?」

「そうだけど」ちょっと、しゅんとする美鈴。
「馬鹿ね~リュウジは」へ? アリス?
「おばかさんねぇ」イリス様?
「リュウジはおバカ」
「ちょっ」
「リュウジ、怖~いオバカ」エリス様は、それ言いたいだけだよね。

 いや、マジで俺みたいなオヤジほっときゃいいのに。
 まぁ、神化リングしてるし人化が進む可能性はあるかも知れないけど。
 そういう話をしたら椎名美鈴は、へ~っと意外そうな反応だった。どうでもいいの?

 あれ? ちょっと待て。使徒の神格化はともかく、神の神格化ってどうなってるんだ? 俺、もう人間じゃないのかも? だって神だよね? 格がどうのとかじゃなくて。

「ええと、とりあえずリュウジの場合は、まだ人間みたいね。ただ、この先どうなるかは、ちょっと様子見ね」

 アリスがフォローしてくれた。っていうか、フォローになってない? 全然分からないんだけど?

「人間なのか? って、様子見って。ああ、神力太くなってたしなぁ」
「だいたい人間の体を持ってる神って初めて見たわよ。だから、どうなるのか分からないの」とアリス。
「そうね~っ」とイリス様も、興味があるらしい。

「そういえば、神様どころか使徒になってから年も取ってないというか若返ってる気がするんだが」
「そりゃそうよ。だいたい成人した時の姿に戻るわね」とアリス。

 と、今ごろ聞いて驚く俺。

「戻るのか。あれ、でも第一神様は違うじゃん」好々爺だったけど?
「あれは、あの方の趣味なのよ。姿変えられるって言ったでしょ?」

「あれ、趣味なのかよ。そうか、ほっとくと二十歳あたりになるのか」
「そうね。というか健康で絶好調な状態ね。まぁ、リュウジの場合は普通とは違うから、なんとも言えないけど。神化リングしているし」

「ああ、確かに。ってことは、神化リングしてると二十歳に戻りにくいってことになるのかな~」
「そうかもね。だからわからない」

「うん。てか俺、そもそも神の能力とかセオリーとか知らないんだけど」
「だから、神の名前と一緒で、後で神教育セットみたいなのが来るから待ってればいいのよ」
「何その、初心者セットみたいなやつ」

「えっ? だから初心者神教育セットよ。第二神様に初心者教育セット渡すことになるのが笑えるけど」
「そう言うなよ。俺の責任じゃないだろ?」
「そうだけど、たぶん神界始まって以来のことじゃないかなぁ? っていうか、担当者も困ってるでしょうね」
「うん? そうなのか?」
「まぁ、後でわかるわよ。自分より上位神に初心者教育セット渡さなくちゃいけないんだから」

「「「「「「「「あああ~っ」」」」」」」」

 みんな一斉に同情してるし。
 それ渡される俺にも同情してくれよ。てか、ちょっと心配になって来た。

  *  *  *

 とりあえず、椎名美鈴は宮廷に彼女用の部屋を用意した。さすがに、これは喜んでいた。

「お姫様みたい」

 ま、確かにお姫様扱いだよね。てか、俺の嫁なら王妃なんだけど。そういや、高校生でいきなりこの世界に呼ばれて頑張ってたんだから、いい加減いい事あってもいいよな。あれ? いい事だよな?
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