異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう

文字の大きさ
上 下
83 / 189
南北大陸編

83 眷属にしちゃうぞ2

しおりを挟む
 俺は女神様たちと一緒に女神湯に入った。
 当然、後光は抑えてもらって。

「ほらっ、リュウジ、こっちこっち」

 アリスが湯船で俺を呼ぶ。俺はイリス様とアリスの間に入った。

「さすがに、女神様八名となると華やかですね。女性が多いのはやっぱ、研究職だからですか? 使徒の研究職は女性が多いらしいけど」

「あら、良く知ってるわね」とイリス様。
「はい。実は椎名美鈴からそんな話を聞いたんです。女神様もそうなのかと思っただけです」
「ああ、美鈴さんね。そう言えば彼女生きてたのよね。会いたいなぁ」

 女神クリスがそんなことを言った。へぇ、ちょっと呼んでみるか。

「クリスさん、会ったことあるんですね」
「そう、ちょっと魔法共生菌の薬を相談されたことがあって」

 俺は神力リンクで椎名美鈴に連絡してみた。

「なるほど。あ、来るみたいです」
「よかった~っ」

「そういえば、治癒師って研究職とはちょっと違います?」

 ちょっと気になって聞いてみた。

「ああ、いろいろね。薬の神様と新しい薬を作ったりもするから研究職でもあるし」

 女神オリスは女神クリスを見て言った。確かに頻繁に会ってそうな組み合わせだな。

「そうだね!」
「なるほど」

「治癒師の神様のほうが、人間ひとりひとりの違いを良く研究してるよね」と女神クリス。
「あ~っ、なるほどね。そういうことか」

「うん、そこが治癒師の難しいところね。大事なのは個々の人間のほう」

 確かに、人間個人の違いに合わせるのは難しそうだ。薬の量一つとっても、加減するのは難しそう。

「なるほど。今ちょうど病院作ってて治癒師が大勢必要になって問題になってます」

「いくら直ぐに必要でも最低限の教育だけじゃ回らないし難しいのよ」
「はい、出来れば力を貸してください」
「うん、分かってるよ。それもあって眷属になったんだもん」
「そうなんですか! ありがとうございます。良かった~。よろしくお願いします」

 思ったより気安い神様らしく安心した。

「けど、男の神って、なんで研究職しないんだろ?」

 俺は疑問に思ったので聞いてみた。

「うん? そんなことないけど。このグループが、たまたまじゃないかなぁ?」と神魔科学の女神カリス。

 男神の研究職って沢山居るんだ。会ったこと無いけど。

「使徒はともかく、神は少し女神が多いってくらいじゃない?」と女神キリス。
「そうなんだ」全員美人なのも偶然なんだろうか?
「女神は全員美人よ。当然でしょ」とアリスが胸を張る。

 俺の心読んで話すのやめて! みんなが話が見えない……って顔でもないな。こういうの神界では普通なのかな。
 あと、女神が美人は当然なのか? 確かに究極的に健康な訳だから当然そうなるか。

「俺のグループが全員女性なのは偶然ってことね。これはもう運命?」

 ん? 運命? もしかしてウリス様何かしてないよね? と見ると、そっと視線をそらされた。何かシテルンデスネ。

「美人と言えば椎名美鈴さんはリュウジの使徒にしたんだよね?」

 アリスがみんなに教える意味で聞いて来た。
 椎名美鈴は美人と言うより可愛いタイプだと思うけど、せがまれて俺の眷属にした。前の女神様に気兼ねなく動けるようになりたいそうだ。流石に迷惑かけて悪いと思ったらしい。

「うん、前の上位神に迷惑かけたからって」
「そう。まぁ、気にし過ぎだと思うけど同じ世界から来たリュウジのほうが動き易いってことはあるよね」

「そういえば、前の神様ってどうしてるの?」
「ああ、神界リセット掛けたからちょっと休職になってるのよ」
「それで姿が見えないのか」

「まぁ、再研修してる……みたいな感じよ」ちょっと気になるな。
「それもあって、悪いと思ってるのか」
「そうかもね。使徒が気にしなくていいのに。けど、相性ってのはあるかもね」

 そんなことを話していたら、元気いいのが入ってきた。

「美鈴、入りま~すっ」

  話題の椎名美鈴の登場だ。

「お前、女神湯に入ってこなくていいのに。部屋で待ってれば良かったんだよ」
「だって、本物の女神湯に入りたかったし。もういいじゃん。私も、限りなく嫁よね?」

  違いますけど? 限りなく嫁って、どんな嫁だよ!

「なんでだよ。限りなく違ぇーよ。てか、もう完全に使徒化してるんだから、いまさら嫁とか拘らなくていいだろ?」

「そうだけど」ちょっと、しゅんとする美鈴。
「馬鹿ね~リュウジは」へ? アリス?
「おばかさんねぇ」イリス様?
「リュウジはおバカ」
「ちょっ」
「リュウジ、怖~いオバカ」エリス様は、それ言いたいだけだよね。

 いや、マジで俺みたいなオヤジほっときゃいいのに。
 まぁ、神化リングしてるし人化が進む可能性はあるかも知れないけど。
 そういう話をしたら椎名美鈴は、へ~っと意外そうな反応だった。どうでもいいの?

 あれ? ちょっと待て。使徒の神格化はともかく、神の神格化ってどうなってるんだ? 俺、もう人間じゃないのかも? だって神だよね? 格がどうのとかじゃなくて。

「ええと、とりあえずリュウジの場合は、まだ人間みたいね。ただ、この先どうなるかは、ちょっと様子見ね」

 アリスがフォローしてくれた。っていうか、フォローになってない? 全然分からないんだけど?

「人間なのか? って、様子見って。ああ、神力太くなってたしなぁ」
「だいたい人間の体を持ってる神って初めて見たわよ。だから、どうなるのか分からないの」とアリス。
「そうね~っ」とイリス様も、興味があるらしい。

「そういえば、神様どころか使徒になってから年も取ってないというか若返ってる気がするんだが」
「そりゃそうよ。だいたい成人した時の姿に戻るわね」とアリス。

 と、今ごろ聞いて驚く俺。

「戻るのか。あれ、でも第一神様は違うじゃん」好々爺だったけど?
「あれは、あの方の趣味なのよ。姿変えられるって言ったでしょ?」

「あれ、趣味なのかよ。そうか、ほっとくと二十歳あたりになるのか」
「そうね。というか健康で絶好調な状態ね。まぁ、リュウジの場合は普通とは違うから、なんとも言えないけど。神化リングしているし」

「ああ、確かに。ってことは、神化リングしてると二十歳に戻りにくいってことになるのかな~」
「そうかもね。だからわからない」

「うん。てか俺、そもそも神の能力とかセオリーとか知らないんだけど」
「だから、神の名前と一緒で、後で神教育セットみたいなのが来るから待ってればいいのよ」
「何その、初心者セットみたいなやつ」

「えっ? だから初心者神教育セットよ。第二神様に初心者教育セット渡すことになるのが笑えるけど」
「そう言うなよ。俺の責任じゃないだろ?」
「そうだけど、たぶん神界始まって以来のことじゃないかなぁ? っていうか、担当者も困ってるでしょうね」
「うん? そうなのか?」
「まぁ、後でわかるわよ。自分より上位神に初心者教育セット渡さなくちゃいけないんだから」

「「「「「「「「あああ~っ」」」」」」」」

 みんな一斉に同情してるし。
 それ渡される俺にも同情してくれよ。てか、ちょっと心配になって来た。

  *  *  *

 とりあえず、椎名美鈴は宮廷に彼女用の部屋を用意した。さすがに、これは喜んでいた。

「お姫様みたい」

 ま、確かにお姫様扱いだよね。てか、俺の嫁なら王妃なんだけど。そういや、高校生でいきなりこの世界に呼ばれて頑張ってたんだから、いい加減いい事あってもいいよな。あれ? いい事だよな?
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

料理の上手さを見込まれてモフモフ聖獣に育てられた俺は、剣も魔法も使えず、一人ではドラゴンくらいしか倒せないのに、聖女や剣聖たちから溺愛される

向原 行人
ファンタジー
母を早くに亡くし、男だらけの五人兄弟で家事の全てを任されていた長男の俺は、気付いたら異世界に転生していた。 アルフレッドという名の子供になっていたのだが、山奥に一人ぼっち。 普通に考えて、親に捨てられ死を待つだけという、とんでもないハードモード転生だったのだが、偶然通りかかった人の言葉を話す聖獣――白虎が現れ、俺を育ててくれた。 白虎は食べ物の獲り方を教えてくれたので、俺は前世で培った家事の腕を振るい、調理という形で恩を返す。 そんな毎日が十数年続き、俺がもうすぐ十六歳になるという所で、白虎からそろそろ人間の社会で生きる様にと言われてしまった。 剣も魔法も使えない俺は、少しだけ使える聖獣の力と家事能力しか取り柄が無いので、とりあえず異世界の定番である冒険者を目指す事に。 だが、この世界では職業学校を卒業しないと冒険者になれないのだとか。 おまけに聖獣の力を人前で使うと、恐れられて嫌われる……と。 俺は聖獣の力を使わずに、冒険者となる事が出来るのだろうか。 ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~

伽羅
ファンタジー
 物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。

明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。 彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。 最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。 一種の童話感覚で物語は語られます。 童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

元外科医の俺が異世界で何が出来るだろうか?~現代医療の技術で異世界チート無双~

冒険者ギルド酒場 チューイ
ファンタジー
魔法は奇跡の力。そんな魔法と現在医療の知識と技術を持った俺が異世界でチートする。神奈川県の大和市にある冒険者ギルド酒場の冒険者タカミの話を小説にしてみました。  俺の名前は、加山タカミ。48歳独身。現在、救命救急の医師として現役バリバリ最前線で馬車馬のごとく働いている。俺の両親は、俺が幼いころバスの転落事故で俺をかばって亡くなった。その時の無念を糧に猛勉強して医師になった。俺を育ててくれた、ばーちゃんとじーちゃんも既に亡くなってしまっている。つまり、俺は天涯孤独なわけだ。職場でも患者第一主義で同僚との付き合いは仕事以外にほとんどなかった。しかし、医師としての技量は他の医師と比較しても評価は高い。別に自分以外の人が嫌いというわけでもない。つまり、ボッチ時間が長かったのである意味コミ障気味になっている。今日も相変わらず忙しい日常を過ごしている。 そんなある日、俺は一人の少女を庇って事故にあう。そして、気が付いてみれば・・・ 「俺、死んでるじゃん・・・」 目の前に現れたのは結構”チャラ”そうな自称 創造神。彼とのやり取りで俺は異世界に転生する事になった。 新たな家族と仲間と出会い、翻弄しながら異世界での生活を始める。しかし、医療水準の低い異世界。俺の新たな運命が始まった。  元外科医の加山タカミが持つ医療知識と技術で本来持つ宿命を異世界で発揮する。自分の宿命とは何か翻弄しながら異世界でチート無双する様子の物語。冒険者ギルド酒場 大和支部の冒険者の英雄譚。

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!

あるちゃいる
ファンタジー
 山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。  気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。  不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。  どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。  その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。  『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。  が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。  そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。  そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。   ⚠️超絶不定期更新⚠️

処理中です...