異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう

文字の大きさ
上 下
82 / 189
南北大陸編

82 眷属にしちゃうぞ1

しおりを挟む
 出産ラッシュも一区切り、産後1か月を過ぎると宮廷内も落ち着きを取り戻してきた。
 普通、出産祝いとなると親族などがやって来るんだろうけど、これ以外の訪問は基本お断りした。
 俺が第一神様の配下になったせいもあって会ったことない神様まで来たがってたようだけど、嫁が疲れちゃうからね。産後は安静にしないとダメだと使徒テイアから厳しく制限されている。
 まぁ、女神様は来ちゃったけど。あれはしょうがない。顔見知りだし。約一名どさくさに紛れて来た初見の方がいたが。あ、一応二度目か。

 それはそうと、ついででもないが俺の眷属になりたい神様がいるんだそうだ。
 俺なんて第一神様の直下とはいえ新参者だから、俺の眷属になっても良い事なんかないと思うんだけど。
 そもそも、俺のグループなんて特徴が無いと思うと言ったら、お前の所ほど特徴がある派閥は無いとウリス様に言われた。まぁ、確かにそれが今回の騒動を引き起こしたとも言えるのだが。

  *  *  *

「じゃ、アリス。降りてきてもらって」

 俺は、俺の眷属になりたいという奇特な神様を待っていた。
 俺が神界へ行ってもいいのだが、ここがホームグラウンドだから王城のサロンに来て貰うことにした。

「では、どうぞ」

 ぽっ ぽっ ぽっ ぽっ ぽっ ぽっ ぽっ

 神界から神様たち七名が顕現してきた。

「えっと、イリス様、ウリス様、エリス様は、もともと俺の派閥って言ってたけど、派閥イコール眷属でいいの?」

 一応確認してみる。眷属を強制する気はないからな。

「神界では、そういうことになってるわね。そもそも同じ系統じゃないと、神力の会話も出来ないでしょ?」とアリス。

 なるほど。当然と言えば当然だな。

「分かった。俺の派閥になるってことは、俺の眷属になるのを了承するってことでいいんだな?」
「そうね。眷属になりたいってことよ」

 ん? ちょっと待て。眷属になると、考えてること全部筒付けになるんだけど? それを、了承してるってことなんだよな? なんか、まだ違和感あるんだけど。っていうか、女性の場合は裸を見てしまうような感覚があるんだけど抵抗ないのかな?。俺がおかしいのかな?

「ふふ。リュウジがまだ、『神力リンク開放』にびびってる」

 アリスが俺の思考を読み取ってみんなにバラした。

 『神力リンク開放』というのは、神力による会話が可能な状態のことを言う。
 神力で繋がった眷属だけに許された能力だが、この接続は上位神がコントロールする。今までは上位神の女神アリスがやってたので俺は気にもしなかったのだが、俺が自分で調整するとなると、ちょっと戸惑う。

 この能力の凄いところは頭で考えたこと以外に感情まで伝わるということだ。
 これは、なかなか慣れない。頭の中でも嘘は言える。しかし、感情は嘘をつけないのだ。こんな力を握られて、平気なのかな?

「あら、まぁ」とイリス様。
「リュウジ、意外とシャイなのだな」とウリス様。
「リュウジ、可愛い」あれ?

 エリス様、『怖い』を言わないの?
 まぁ、確かにエリス様のほうが思いっきり年上だよな? てか、みんな年上か?

「うふふ。じゃ、三名はいいとして。あと四名に自己紹介して貰おうかしら?」とアリス。

 俺は、残る神様たちを見た。女神様四名だ。

「ああでも、まず俺から自己紹介しよう。俺はあまり知られてないからな」
「そう言えばそうね。じゃ、よろしく」

「初めまして。リュウジ・アリステリアスです。先日、うっかり第一神様の直下に配属になってしまいました。新参の派閥ですが、こちらの女神アリス達と楽しくやっていきたいと思ってます。良かったら仲間になってください」

 言ってから思ったけど、何で俺は神界の派閥作ってるんだ? 地上界にいるから、帰宅部みたいなもんか? まぁ、今更だけど。

「では、まず私から。初めまして。私はzx。、cmvです。治癒師の神をしています」

 優しそうな印象の女神様だ。

「すみません、俺がまだ名前を発音できないので、俗名を付けさせて貰ってます。オリス様と言ってもいいですか?」
「オリスね。はい、分かりました」オーリスに近い発音で承諾した。

 そういえば、正式な神様になったのに俺はなんで発音出来ないんだろう? っていうか、俺の名前ってリュウジのままでいいのかな?

ー 後で連絡が来る筈よ。

 アリスが神力リンクでフォローしてくれた。

「次は、私ね。この順だと俗名はたぶん、カリスですね。初めまして。神魔科学の神をしています」

 細面の実直そうな印象の女神様だ。学者にしてはあか抜けた感じだが表情はちょっと硬い?

「はい、カリス様でお願いします。もしかして、ポセリナさんの上位神ですか?」
「はい、そうです」
「そうですか。ポセリナさんを派遣して下さってありがとうございます。とても優秀で助かりました。彼女のおかげで神力フォンが出来ました!」

「それは良かった。神力フォンには私も驚きました。でも、素敵な神魔道具ですね。私も、とても気にいってます」女神カリスは優しい笑顔で言った。
「はい。大成功です」

「次は、ワタシ? この流れだとキリスかな? 神魔道具の神をしているよ」

 今度はとってもフレンドリーな女神様だ。小柄でどこか子供っぽさもあって面白い。

「キリス様! 俺、神魔道具作り始めたばかりですがハマってます。よろしくご指導ください!」

「はい、神界から見てました。とっても楽しそうで、次は一緒にやらせてね!」

 ほんとか! そう言って貰えて嬉しい。

「ぜひお願いします!」

 ずっと見ててくれたなら、直ぐに仲良く出来そう。

「最後は私ね。俗名はクリスかな。薬の神をしてるよ。なんか、薬のクリスって冗談みたいだけど」

 この女神クリスも女神キリスに似てフレンドリーな感じだ。女神キリスのほうが、少し大人っぽいかも?

「あれ、なんでだろ。運命ですかね?」

 ちらっとウリス様を見てしまう。

「我は何もしていないのだ」

「そうですか。たしか、ポーリンさんの上位神ですよね。ポーリンさんも優秀な使徒で大変助かりました」
「それは良かった。ポーリンがリュウジは薬の専門でもないのに発想が面白いって言ってたよ。よろしく」

「了解です。まだ、第二の特効薬とか無害化魔法共生菌の配布とかで大変なので、心強いです」
「うん、クリスも一緒に頑張るよ」
「ありがとうございます」

 なんとか全員を眷属に出来た。

「眷属希望の神様っていうから緊張してましたが、なんだか元から仲間って感じの方ばかりなので安心しました。どうぞよろしくお願いします」

 俺は改めてそう挨拶した。

「良かった。リュウジに気に入って貰えたみたいで。じゃぁ、さっそくみんなで……」とアリス。
「みんなで?」なんだろう。宴会か?
「女神湯よ~っ!」

 そっちかい!

「きゃ~、入りたかったの~っ」と女神オリス。あれっ?
「やっと念願の女神湯ね!」と女神カリス。えっ?
「わたしも、わたしも。もう、ミルルちゃんと変わりたかったの」と女神キリス。そんなに前から見てたんだ。
「とってもいい香草を持ってきたのだ」と女神クリス。えっ?

「リュウジ早く! 行くわよ」

 なんか、アリスが妙に張り切ってるんだけど?

「なに? 俺も一緒に入っていいの?」
「何言ってんの、あんたと一緒に入りたくてみんな来てるんだけど?」
「えっ? そうなのか? いや、そんなことないだろ?」
「それが、あるから不思議なのよ」

 不思議なんだ。

「それって、一緒に寝たいとかもあるの?」
「うん、それもある」あるのか。

 といっても、女神様だから単なる添い寝だけど。

「まぁ、ご自由に」
「そうね」

 考えてみれば神力リンク開放で『考えも感情も』筒抜けになるんだ。
 それは夫婦以上の関係とも言えるよな? もしかすると、自分自身に近いのかも? なんか、人間の感覚からずれて来てる気がする。大丈夫かなぁ?


<女神オリス>


<女神カリス>


<女神キリス>


<女神クリス>

イラスト:AIアニメジェネレーターにて生成。
https://perchance.org/ai-anime-generator
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。 彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。 最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。 一種の童話感覚で物語は語られます。 童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです

元外科医の俺が異世界で何が出来るだろうか?~現代医療の技術で異世界チート無双~

冒険者ギルド酒場 チューイ
ファンタジー
魔法は奇跡の力。そんな魔法と現在医療の知識と技術を持った俺が異世界でチートする。神奈川県の大和市にある冒険者ギルド酒場の冒険者タカミの話を小説にしてみました。  俺の名前は、加山タカミ。48歳独身。現在、救命救急の医師として現役バリバリ最前線で馬車馬のごとく働いている。俺の両親は、俺が幼いころバスの転落事故で俺をかばって亡くなった。その時の無念を糧に猛勉強して医師になった。俺を育ててくれた、ばーちゃんとじーちゃんも既に亡くなってしまっている。つまり、俺は天涯孤独なわけだ。職場でも患者第一主義で同僚との付き合いは仕事以外にほとんどなかった。しかし、医師としての技量は他の医師と比較しても評価は高い。別に自分以外の人が嫌いというわけでもない。つまり、ボッチ時間が長かったのである意味コミ障気味になっている。今日も相変わらず忙しい日常を過ごしている。 そんなある日、俺は一人の少女を庇って事故にあう。そして、気が付いてみれば・・・ 「俺、死んでるじゃん・・・」 目の前に現れたのは結構”チャラ”そうな自称 創造神。彼とのやり取りで俺は異世界に転生する事になった。 新たな家族と仲間と出会い、翻弄しながら異世界での生活を始める。しかし、医療水準の低い異世界。俺の新たな運命が始まった。  元外科医の加山タカミが持つ医療知識と技術で本来持つ宿命を異世界で発揮する。自分の宿命とは何か翻弄しながら異世界でチート無双する様子の物語。冒険者ギルド酒場 大和支部の冒険者の英雄譚。

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!

あるちゃいる
ファンタジー
 山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。  気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。  不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。  どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。  その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。  『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。  が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。  そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。  そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。   ⚠️超絶不定期更新⚠️

転生社畜、転生先でも社畜ジョブ「書記」でブラック労働し、20年。前人未到のジョブレベルカンストからの大覚醒成り上がり!

nineyu
ファンタジー
 男は絶望していた。  使い潰され、いびられ、社畜生活に疲れ、気がつけば死に場所を求めて樹海を歩いていた。  しかし、樹海の先は異世界で、転生の影響か体も若返っていた!  リスタートと思い、自由に暮らしたいと思うも、手に入れていたスキルは前世の影響らしく、気がつけば変わらない社畜生活に、、  そんな不幸な男の転機はそこから20年。  累計四十年の社畜ジョブが、遂に覚醒する!!

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います

ゆさま
ファンタジー
美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされ、生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれてしまった、ベテランオッサン冒険者のお話。 懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?

俺を凡の生産職だからと追放したS級パーティ、魔王が滅んで需要激減したけど大丈夫そ?〜誰でもダンジョン時代にクラフトスキルがバカ売れしてます~

風見 源一郎
ファンタジー
勇者が魔王を倒したことにより、強力な魔物が消滅。ダンジョン踏破の難易度が下がり、強力な武具さえあれば、誰でも魔石集めをしながら最奥のアイテムを取りに行けるようになった。かつてのS級パーティたちも護衛としての需要はあるもの、単価が高すぎて雇ってもらえず、値下げ合戦をせざるを得ない。そんな中、特殊能力や強い魔力を帯びた武具を作り出せる主人公のクラフトスキルは、誰からも求められるようになった。その後勇者がどうなったのかって? さぁ…

処理中です...