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神聖アリス教国建国編
46 使徒テイア降臨
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夏も終わり頃、突貫で作っていた後宮が完成して俺たちはルセ島から戻って来た。
この後宮に二階はない。
全て一階でバリアフリーだ。嫁の部屋に侍女、乳母、メイドの部屋が隣接した形の物が、円形に並んでいる。外周にはベランダがあり、開放感のある作りだ。妊娠している人数が多いので医務室には医師が常駐している。流行りの産婦人科医院といった感じだ。
後宮の中央には広い空間があり、そこにはソファが置かれ談話コーナーになっていた。どの部屋からも、すぐに行けるので便利だ。
この談話コーナーでは、勿論生まれてくる子供の話が多いのだが、既に始まっているエネルギー革命の事も話題に上っていた。何しろ、神界と地上界、どちらも揺るがしてしまっているからだ。それも半端なく。
「わたくしたち、気をしっかり持たなくてはなりませんわね」
セレーネが談話コーナーのソファを確かめるように座ってから言った。
「そうよね。師匠がやってることは、とんでもない事なんだけど、それって今に始まったことじゃないんだし」とニーナが応じる。
「うん、始めからリュウジは異常~」とミルル。なんか、ちょっと酷くないか?
「確かに、あの人に出会ってから、私の人生はガラッと変わりました」セシルは回想してるようだ。
「ここは、わたくしたち妻が試される時ではないでしょうか? 夫が偉大な人物なら、わたくし達が何人もいるのは、その人物を支える為ではないでしょうか?」とセシール。
「姉さま、本当に、そうですね」
「うむ。確かにのぉ」
ちょっと、話がデカくなり過ぎな気がするが。
「セレーネさん、流石ね。わたし、そこまで自信ないなぁ」とニーナ。
「そんなこと、ありませんわニーナさん。あなたがいたからこそ、今のリュウジ様が居るんですわ。わたくしたちが誰もいなかったとき、一人であの方をサポートされてたんですもの」とセレーネ。
「そだね~っ。リュウジは初めて会った時から凄かったけど、その凄い人を『お友達~』と言って紹介して来たのニーナだし」とミルル。
「まぁ、あの時は既に恋人だったんだけどね~っ」
「うん、ばあちゃんは見抜いてた」
「その人が選んだ女が、今ここにいるんですのね」とセレーネ。
「そう言うと、なんかビビっちゃうんだけど」とニーナ。
「そうは見えないのぉ」とリリー。
「なんだかんだ言って、ニーナが一番肝が据わってるかも~っ」とミルル。
「そうかな?」ニーナは、やはり自信が持てないようだ。
「リュウジ、驚いてたよ。最初に魔力使ったとき、魔力切れの心配があるのに空飛びたいって言ったって」ミルルは思い出しながら言った。
「まぁ」セレーネ。
「素敵」とアルテミス。
「ほほぉ」とリリー。
「凄い」セシル。
「だって、リュウジがいたし」
「それだけ、信頼してるってことですわ」とセレーネ。
「そうね。これからも驚くようなことは起こるだろうけど、信頼はしてるわね」ニーナは頷きながら言った。
「うん、そだね~っ」とミルル。
「はい」とセシル。
「そうです。わたくし達妻の使命は、夫を信頼して、わたくし達の成すべきことを成すということですわ」
「はい、姉さま」とアルテミス。
「うむ。きっとカスタムモデルを作ってくれるのじゃ。希望を絵に描いておくのじゃ」
リリー、よしよし。期待通り。
* * *
そんな後宮のある日の談話室に、神力フォンの呼び出し音が響いた。
「あ、イリス様からだっ!」ニーナの神力フォンだった。
「ごきげんよう、ニーナ」
「はい、ごきげんよう。イリス様」
「その後、どうかしら? 時々は見てるんだけど、気になることとかないかしら?」とイリス様が気遣ってくれる。
「あ、はい。ありがとうございます。今のところ、医師もおりますので大丈夫です」
「そう、それは良かったわ。でも、ちょっとしたことでは、わたくしに電話できないでしょうから、わたくしの使徒をそちらに向かわせますね。気になることがあったら何でも聞いてちょうだい」
「え、そんなことして頂いていいのでしょうか?」
「あら、あなた達は使徒なんだから、もうわたくし達の仲間よ。仲間を気遣うなんて当たり前でしょ?」
「あ、ありがとうございます」
「うふふ。わたくし、とっても楽しみなの。わたくしたちの仲間が子供を産むなんて普通ない事ですもの。もう、これだけでも大騒ぎで、誰がそちらに行くかで大変だったのよ。ちょっとでも気になったらすぐ交代するからね!」とイリス様。
どうも、神界で人選に盛り上がっていたらしい。
「えっ?」
「あなた達、リュウジだけが特別と思ってるでしょ? でも、あなた達も特別なのよ。そこは自覚してね。それじゃ、またね」
この神力フォン、スピーカーモードで普通に話してても聞くことができる。
当然、スピーカーオンで聞いてたので、周りの妻一同はちょっと言葉を失ってしまった。身重の妻たちを驚かさなくてもいいでしょうに、イリス様?
「私たちのために、使徒を派遣って……」とニーナ。
「わたくしたちも特別……」とセレーネ。
「なんで~っ?」ミルルも分かっていないようだ。
「ああ、確かに、使徒さんたちって子供作らないのかも」とセシルが気が付いた。
「ああっ。それはそうよね」とニーナ。
「なるほど~っ」とミルル。
「そういえば」とセシール。
「そうですわね」とアルテミス。
「なのじゃ」おいっ。
その直ぐ後、豊穣の女神イリス様から派遣された使徒テイアが降臨した。
「えっ? ……お、お母さま?」とテイアを見たセレーネ。
「セレーネ。ごきげんよう。また会えてうれしいわ」とテイア。
「まさか、ああ、お母さま」と言って、セレーネは抱き付いた。
一同、何が起こっているのか分からない。
「お、お母さま!」とアルテミスも抱き付く。
「は、母上~っ」リリーは、飛びついた。
「あなた達も、立派になりましたね」
使徒テイアは、今は亡きセレーネ姉妹の母親だった。イリス様、さらに仕込んでた。
普通、人が亡くなって霊界へ行くと記憶は次第に失われていくらしい。だが、特に強い魂の場合は意識を保っている場合があるそうだ。そんなとき神様に乞われて使徒になるという。
テイア・アリステリアスの場合も女神イリスに見出されて使徒になった。使徒になってからは、自分の国のことはよく見ていたとのこと。でも、手出しが出来ないので辛かったようだ。
* * *
知らせを受けた王様と俺登場。
「テイアっ!」と王様
「あなた」
「おおお、本当にお前なのか」
「はい、あなた。お久しゅうございます」
「おおお、なんと、なんと」
こんな時、言葉は出てこないものだ。
「リュウジ様、夫と娘たちを救って下さり、ありがとうございました。わたくしも救われましたわ」
「いえ。女神アリス様に従っただけですので、礼には及びません」
「はい、アリス様にも感謝しています。これからも、どうぞ、よろしく」
「もちろんです」
その日は夜遅くまで5人で話していたようだ。
* * *
翌日の談話コーナー。
「やっぱり、私たち。もう普通の生活を期待しちゃだめね」とニーナ。
「ああ、普通の女の子に戻りたい」とアリス。
「いや、アリスが言うとただのネタだから」お約束なので、一応突っ込む。
「わたくし、もう驚かないと言うの止めに致しますわ」とセレーネ。
「ごめんなさいね」と使徒テイア。
「お母様はいいのです」とセレーネ。
「いや、俺知らないってば。イリス様に言って。あ、もしかしてウリス様か?」
「我は、知らんのである」と何故かいるウリス様。
「って、なぜここに?」
「いや、呼ばれた気がしたのでな」
「もう、最近、神界とここの区別がつかなくて」そんなことを言いながら通り過ぎるエリス様素敵です。
「なにが驚きって、産休ってこんなに楽しいんだね?」とミルル。
「ミルル、それここだけだから」
ミルルも期待通り?
* * *
旧領主館の王城への改修はかなり進んでいる。改修と言うより新築だが。
王城の規模としては小さいが、俺が調達した建材が好評だった。あまり評判がいいので、ふんだんに使うことにした。南のリゾート島の綺麗な砂を焼き固めた真っ白い岩で作っているのだ。旧領主館の前庭に新しい王城を新設し、後ろの領主館を順次入れ替えていった。
建材の材質は白というか半透明なのでキラキラ輝いていた。
そんな資材を作っては転移、作っては転移するだけなので早いし騒音もない。途中で神化リングも付けたので作業も楽々だ。ま、作業員が王自身ってのが問題と言えば問題だが、他の人間には作れないので仕方ない。
まぁ、俺が作った城なので文句は言わせない。もちろん。細かい装飾などはオットーを始め専門の職人任せたんだけどね。
この後宮に二階はない。
全て一階でバリアフリーだ。嫁の部屋に侍女、乳母、メイドの部屋が隣接した形の物が、円形に並んでいる。外周にはベランダがあり、開放感のある作りだ。妊娠している人数が多いので医務室には医師が常駐している。流行りの産婦人科医院といった感じだ。
後宮の中央には広い空間があり、そこにはソファが置かれ談話コーナーになっていた。どの部屋からも、すぐに行けるので便利だ。
この談話コーナーでは、勿論生まれてくる子供の話が多いのだが、既に始まっているエネルギー革命の事も話題に上っていた。何しろ、神界と地上界、どちらも揺るがしてしまっているからだ。それも半端なく。
「わたくしたち、気をしっかり持たなくてはなりませんわね」
セレーネが談話コーナーのソファを確かめるように座ってから言った。
「そうよね。師匠がやってることは、とんでもない事なんだけど、それって今に始まったことじゃないんだし」とニーナが応じる。
「うん、始めからリュウジは異常~」とミルル。なんか、ちょっと酷くないか?
「確かに、あの人に出会ってから、私の人生はガラッと変わりました」セシルは回想してるようだ。
「ここは、わたくしたち妻が試される時ではないでしょうか? 夫が偉大な人物なら、わたくし達が何人もいるのは、その人物を支える為ではないでしょうか?」とセシール。
「姉さま、本当に、そうですね」
「うむ。確かにのぉ」
ちょっと、話がデカくなり過ぎな気がするが。
「セレーネさん、流石ね。わたし、そこまで自信ないなぁ」とニーナ。
「そんなこと、ありませんわニーナさん。あなたがいたからこそ、今のリュウジ様が居るんですわ。わたくしたちが誰もいなかったとき、一人であの方をサポートされてたんですもの」とセレーネ。
「そだね~っ。リュウジは初めて会った時から凄かったけど、その凄い人を『お友達~』と言って紹介して来たのニーナだし」とミルル。
「まぁ、あの時は既に恋人だったんだけどね~っ」
「うん、ばあちゃんは見抜いてた」
「その人が選んだ女が、今ここにいるんですのね」とセレーネ。
「そう言うと、なんかビビっちゃうんだけど」とニーナ。
「そうは見えないのぉ」とリリー。
「なんだかんだ言って、ニーナが一番肝が据わってるかも~っ」とミルル。
「そうかな?」ニーナは、やはり自信が持てないようだ。
「リュウジ、驚いてたよ。最初に魔力使ったとき、魔力切れの心配があるのに空飛びたいって言ったって」ミルルは思い出しながら言った。
「まぁ」セレーネ。
「素敵」とアルテミス。
「ほほぉ」とリリー。
「凄い」セシル。
「だって、リュウジがいたし」
「それだけ、信頼してるってことですわ」とセレーネ。
「そうね。これからも驚くようなことは起こるだろうけど、信頼はしてるわね」ニーナは頷きながら言った。
「うん、そだね~っ」とミルル。
「はい」とセシル。
「そうです。わたくし達妻の使命は、夫を信頼して、わたくし達の成すべきことを成すということですわ」
「はい、姉さま」とアルテミス。
「うむ。きっとカスタムモデルを作ってくれるのじゃ。希望を絵に描いておくのじゃ」
リリー、よしよし。期待通り。
* * *
そんな後宮のある日の談話室に、神力フォンの呼び出し音が響いた。
「あ、イリス様からだっ!」ニーナの神力フォンだった。
「ごきげんよう、ニーナ」
「はい、ごきげんよう。イリス様」
「その後、どうかしら? 時々は見てるんだけど、気になることとかないかしら?」とイリス様が気遣ってくれる。
「あ、はい。ありがとうございます。今のところ、医師もおりますので大丈夫です」
「そう、それは良かったわ。でも、ちょっとしたことでは、わたくしに電話できないでしょうから、わたくしの使徒をそちらに向かわせますね。気になることがあったら何でも聞いてちょうだい」
「え、そんなことして頂いていいのでしょうか?」
「あら、あなた達は使徒なんだから、もうわたくし達の仲間よ。仲間を気遣うなんて当たり前でしょ?」
「あ、ありがとうございます」
「うふふ。わたくし、とっても楽しみなの。わたくしたちの仲間が子供を産むなんて普通ない事ですもの。もう、これだけでも大騒ぎで、誰がそちらに行くかで大変だったのよ。ちょっとでも気になったらすぐ交代するからね!」とイリス様。
どうも、神界で人選に盛り上がっていたらしい。
「えっ?」
「あなた達、リュウジだけが特別と思ってるでしょ? でも、あなた達も特別なのよ。そこは自覚してね。それじゃ、またね」
この神力フォン、スピーカーモードで普通に話してても聞くことができる。
当然、スピーカーオンで聞いてたので、周りの妻一同はちょっと言葉を失ってしまった。身重の妻たちを驚かさなくてもいいでしょうに、イリス様?
「私たちのために、使徒を派遣って……」とニーナ。
「わたくしたちも特別……」とセレーネ。
「なんで~っ?」ミルルも分かっていないようだ。
「ああ、確かに、使徒さんたちって子供作らないのかも」とセシルが気が付いた。
「ああっ。それはそうよね」とニーナ。
「なるほど~っ」とミルル。
「そういえば」とセシール。
「そうですわね」とアルテミス。
「なのじゃ」おいっ。
その直ぐ後、豊穣の女神イリス様から派遣された使徒テイアが降臨した。
「えっ? ……お、お母さま?」とテイアを見たセレーネ。
「セレーネ。ごきげんよう。また会えてうれしいわ」とテイア。
「まさか、ああ、お母さま」と言って、セレーネは抱き付いた。
一同、何が起こっているのか分からない。
「お、お母さま!」とアルテミスも抱き付く。
「は、母上~っ」リリーは、飛びついた。
「あなた達も、立派になりましたね」
使徒テイアは、今は亡きセレーネ姉妹の母親だった。イリス様、さらに仕込んでた。
普通、人が亡くなって霊界へ行くと記憶は次第に失われていくらしい。だが、特に強い魂の場合は意識を保っている場合があるそうだ。そんなとき神様に乞われて使徒になるという。
テイア・アリステリアスの場合も女神イリスに見出されて使徒になった。使徒になってからは、自分の国のことはよく見ていたとのこと。でも、手出しが出来ないので辛かったようだ。
* * *
知らせを受けた王様と俺登場。
「テイアっ!」と王様
「あなた」
「おおお、本当にお前なのか」
「はい、あなた。お久しゅうございます」
「おおお、なんと、なんと」
こんな時、言葉は出てこないものだ。
「リュウジ様、夫と娘たちを救って下さり、ありがとうございました。わたくしも救われましたわ」
「いえ。女神アリス様に従っただけですので、礼には及びません」
「はい、アリス様にも感謝しています。これからも、どうぞ、よろしく」
「もちろんです」
その日は夜遅くまで5人で話していたようだ。
* * *
翌日の談話コーナー。
「やっぱり、私たち。もう普通の生活を期待しちゃだめね」とニーナ。
「ああ、普通の女の子に戻りたい」とアリス。
「いや、アリスが言うとただのネタだから」お約束なので、一応突っ込む。
「わたくし、もう驚かないと言うの止めに致しますわ」とセレーネ。
「ごめんなさいね」と使徒テイア。
「お母様はいいのです」とセレーネ。
「いや、俺知らないってば。イリス様に言って。あ、もしかしてウリス様か?」
「我は、知らんのである」と何故かいるウリス様。
「って、なぜここに?」
「いや、呼ばれた気がしたのでな」
「もう、最近、神界とここの区別がつかなくて」そんなことを言いながら通り過ぎるエリス様素敵です。
「なにが驚きって、産休ってこんなに楽しいんだね?」とミルル。
「ミルル、それここだけだから」
ミルルも期待通り?
* * *
旧領主館の王城への改修はかなり進んでいる。改修と言うより新築だが。
王城の規模としては小さいが、俺が調達した建材が好評だった。あまり評判がいいので、ふんだんに使うことにした。南のリゾート島の綺麗な砂を焼き固めた真っ白い岩で作っているのだ。旧領主館の前庭に新しい王城を新設し、後ろの領主館を順次入れ替えていった。
建材の材質は白というか半透明なのでキラキラ輝いていた。
そんな資材を作っては転移、作っては転移するだけなので早いし騒音もない。途中で神化リングも付けたので作業も楽々だ。ま、作業員が王自身ってのが問題と言えば問題だが、他の人間には作れないので仕方ない。
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