異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう

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神聖アリス教国建国編

45 神化リング誕生

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 温水プールで話した後、聖アリステリアス王国の別荘に戻って女神様や使徒とお茶することにした。
 発見した『神力と魔力でエネルギーが生まれる』という現象、つまり『神魔力融合現象』の神界への影響について話し合うためだ。ちょっと慎重に動く必要がありそうだからだ。

 聖アリステリアス王国の別荘は、街や海岸が一望できる高台にあった。
 庭も綺麗に手入れされていて、南国らしい花々が咲いていた。そんな庭の東屋に女神様と使徒が集まっていた。のどかなお茶風景だが、考えてみるとG7サミットどころではないメンバーである。

「でも、こうなると、これは単に地上の大事件というだけでは無くなって来たわね」

 アリスがいつになく神妙な顔で言った。

「そうね。神界でも、そのエネルギー革命を起こせるわね」

 イリス様も真剣な表情。こういう、たまにしか見せない表情もいい。

「はい。むしろ神界こそエネルギー革命の恩恵を受けます。少しの魔石があれば神力が使い放題になりますから」
「ええ、そうね。神力の源として信仰を集めている以上、無駄には出来ませんから」とイリス様。

 その貴重な力を、何十倍にも増すのだから影響は計り知れない。他の女神様や使徒も大きく頷いている。

「担当神の地上界への原則不干渉主義も、エネルギー不足が元という話があるくらいです。これは神界を大きく揺るがす事になるでしょう」とイリス様。

 なるほど、地上界への不干渉は担当神だけの制約なのか。それ以外の神様は、それなりに地上界へ干渉するということか。

「あ、そうそう。それと、もう一つ」

 そういうと、女神様たち全員の視線が集中した。ちょっと痛いくらい。

「実質この世界が、神界への膨大なエネルギーの供給源になりそうってこともありますね」

 俺は、さらに重要なポイントを指摘した。神石の供給もそうだが、神魔力融合現象を使えるのは現時点でこの世界しかないからだ。

「「「「「「「あ~~~っ!!!」」」」」」」

 集まった神様たちと、その使徒たちは呆然自失。

「アリス!!! お主の使徒、とんでもないのである」とウリス様。
「わ、わたし知らないわよ」と焦るアリス。
「おいっ」それは無いだろ。

「た、確かに。これは、神界始まって以来の大事件でしょうね」とイリス様。
「もしかして、欲しかったあれが手に入るのか?」とポセリナ。
「ああ、私のマイホームが……」とポーリン。

 どうも、使徒の二人は神界独特のギャグを言ったらしい。期待して俺を見るが、笑うポイントが分からない。ごめん。

 そういえば、これって俺を召喚したアリスの手柄なんじゃないかな? ふとそう思った。

「そうだわっ! そうよ。私の手柄よね! 私、上級神になっちゃうかも」

 俺の考えを読んだアリスが言った。

「気の早い奴がいるのである」とウリス様。
「うん。リュウジの手柄だし、それほどでもない」とエリス様。
「でも、確かにアリスも偉いわね」とイリス様。
「お姉さま~っ。ありがと~っ」いや、それ俺が先に気付いたんだけど? いいけど。

 とりあえず、ここに来ている使徒や神様は、神界の上位神様に報告したようだ。

  *  *  *

 その後、俺は一人王城の工作室へ戻った。
 魔石で神格化を抑えられると分かったので、魔石を埋め込んだ指輪を作るためだ。これがあれば神格化を遅らせることが出来るし、より安全な出産になる筈だ。
 使徒化していなかったセレーネ達も神力が太くなり始めていたので必要だろう。

 この指輪は、普通の装飾用とは逆に指輪の内側に石が埋め込んである。つまり魔石が体に密着する。特殊な回路も組み込んであり、外見上は金の指輪だが常に魔石の効果が期待できる訳だ。

 で、この指輪を作ってから気付いたけど、この指輪の効果は神格化を抑えるだけじゃない。この現象の二面性のもう一つ、エネルギー革命も同時に実現出来てしまうのだった。
 つまりこれがあれば、神格化を恐れる必要がないことを意味する。ガンガン能力を使っても、神力は殆ど消費しなくなるからだ。
 また、最大パワーも増大する。要するに、スーパー使徒になる。もう、神様レベルまでに。
 さらにこの指輪、使徒だけじゃなくて神様にも使えるハズだ。そうすると、恐らくスーパー神様になる。これは、ちょっと予定外だった。

「うちの嫁達用に作った魔石入りのリングですが、神界のエネルギー革命を体験出来るので渡しときましょうか? これを使うと、女神様がスーパー女神様になっちゃうと思います」

 俺は、このリゾート島に来ている女神様の前で披露してみた。もちろん、指輪は嫁だけでなく俺も付けている。

「な、なんですって! 今すぐ、使えるの? スーパー女神様に? それって、上級神と変わんないじゃない?」

 アリスが思いっきり食いついて来た。

「はい、これが、変身ペンダント……じゃなくて、変身リング。衣装は自分で変えてくださいね」

「きゃ~っ、私、メイクアップ出来ちゃうの~っ?」アリス興奮し過ぎ。
「いや、既に女神様なので変身済み、みたいなもんですけど。さらにスーパー女神様2みたいになっちゃうと思う」

「ちょ、ちょっと、つけてみて!」

 アリスが手を出してきたので、指にはめてあげた。
 すると、健美パラメータを変えた時みたいに後光マックスへ。ありゃ、後光が十倍くらい広がってるんだけど、ヤバくないかこれ? ついでに、翼のように広がって浮き上がり始めた。

「お~いっ、アリス~っ。戻って来~いっ」
「あ、いっけな~い。てへぺろっ」
「おいっ」
「こ、これ、凄いわよっ。上級神レベルのパワー出してもあまり神力を使わない!」

「まぁ。わたくしも、ひとつ貰おうかしら」とイリス様。
「はい、イリス様なら何個でも」と言って、俺はイリス様の指にはめた。

「だめよ、リュウジ。とりあえず女神に1個よ。下手すると没収されちゃうから。あくまで試験と言えないと」試験と言い張るつもりなんだ。

「どのくらいもつのかしら?」イリス様は指にはまった指輪に触れながら言った。
「それは、埋め込んだ魔石の魔力が尽きるまでなので使い方次第ですね。リング表面に表示されてる数値が百から下がりますので残量は分かります。とはいっても、神力の補助なので、あまり消費しないハズです」

「今、結構神力を使ったけど、確かに百から減ってないわね」アリスが指輪を見て言った。

「お~。とりあえず、使ってみるのだ」と言って、手を差し出すウリス様。
「いたずらに使うのは止めてくださいね」と言いながら、指にはめてあげる。
「分かっているのだ」
「ほんとかなぁ?」
「約束するのだ」
「約束しないとだめなんだ」
「パレてるし」

「あ、これ、終わりそうになったら言ってください。魔力をチャージします」
「そこがまた、凄いわね」とイリス様。
「リュウジ、やっぱりとんでもない子」とか言いつつ、手を差し出すエリス様。

 女神様にリングを渡すとき、手を出されたので指にはめてあげたんだけど、これって気分的にヤバイ。神界の嫁っぽい。

 さすがに「変身リング」はないので「神化リング」と言うことにした。
 神化リングパ〇ー・メークアップ! 変身は自前です。

  *  *  *

 神界はともかく、地上界では神魔フォン開発プロジェクトに加え、魔石製造プロジェクトを立ち上げることになった。
 神魔フォンに必須なバッテリーの域を越えて、膨大なエネルギーの製造プロジェクトが、この国最大の産業として動き出すことになったのである。
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