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チキン・ヒーロー
芒種-3
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発砲音と共に紙吹雪。戸惑う真姫をよそに宴が始まった。
候補おめでとう会。
ふもとの街にあるバイキングレストランで、真姫と雪島剛貴を含む友人知人18名という、大所帯となった。
未琴が笑う。
「本当は決まってからやるんだけどね」
光花子も言った。
「決まってからだと、夏祭りとかで忙しくなるから」
真姫の誕生日が近かったので、店員からクラッカーのサービスを受けた。柄にもなく、少し嬉しかった。
剛貴の親友である紺田が言った。
「真姫は予想ついてたけど、ゴウも候補に上がるとは思わなかった」
真姫の親友で従姉妹でもある、青井美鈴も頷いた。
「だよね。2人とも選ばれたら嬉しいな」
「俺は真姫をライバルと思って手加減しねえからな。お互い頑張ろうぜ!」
剛貴は親指を立てて笑った。
皆、自分の事を認めていて、応援してくれている。真姫の胸中が温かくなった。
輝暁が言った。
「ゴウはいいけど、真姫気をつけろよ」
「何に?」
「メイメイ。真姫の事、皆に聞いて回ってる」
美鈴もそれに反応した。
「そうなの。あたしも赤城さんとの事訊かれてさ。スキャンダル探してるっぽい」
逆にその方が自らの心証を落としそうな気がするが。
望と皇介が、笑顔で2つの包みをそれぞれ持ち、真姫と剛貴へ差し出した。剛貴は目を丸くする。
「え、何? プレゼント?」
「我ら同級生からの餞別!! 開けてみ?」
皇介に促され開けると、中身は『バーニングソウル』と書かれたゲームソフトだった。
ジャケットには【本格的戦闘】【最恐のサバイバル】などと宣伝文句が並んでいる。望が説明する。
「準七の紅川さんが言うには、選抜で使われる兵法や応用戦術、このゲームに似たのが使われてるんだって。遊びながら覚えれるらしいよ」
「マジで⁈ 助かるわ! 親父が将棋で覚えろとか無茶言ってたからさ」
剛貴は大喜び。皇介が真姫に尋ねる。
「真姫ってゲーム機持ってる?」
「いいえ。…気持ちだけ、受け取っておくわ。ありがとう」
真姫がそう言うと、美鈴が提案した。
「じゃあさ、うちの貸すよ! お婆がうるさいってなら、うち来てやればいいし」
「そうそう、試せるものは全部試して頑張ろ?」
「メイメイみたいな奴に負けんな!」
「何かあったら相談してね。うちらなりに力になるから」
「うん。ありがとう。…みんな」
きっと私はこの日の事を忘れない。
候補おめでとう会。
ふもとの街にあるバイキングレストランで、真姫と雪島剛貴を含む友人知人18名という、大所帯となった。
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真姫の誕生日が近かったので、店員からクラッカーのサービスを受けた。柄にもなく、少し嬉しかった。
剛貴の親友である紺田が言った。
「真姫は予想ついてたけど、ゴウも候補に上がるとは思わなかった」
真姫の親友で従姉妹でもある、青井美鈴も頷いた。
「だよね。2人とも選ばれたら嬉しいな」
「俺は真姫をライバルと思って手加減しねえからな。お互い頑張ろうぜ!」
剛貴は親指を立てて笑った。
皆、自分の事を認めていて、応援してくれている。真姫の胸中が温かくなった。
輝暁が言った。
「ゴウはいいけど、真姫気をつけろよ」
「何に?」
「メイメイ。真姫の事、皆に聞いて回ってる」
美鈴もそれに反応した。
「そうなの。あたしも赤城さんとの事訊かれてさ。スキャンダル探してるっぽい」
逆にその方が自らの心証を落としそうな気がするが。
望と皇介が、笑顔で2つの包みをそれぞれ持ち、真姫と剛貴へ差し出した。剛貴は目を丸くする。
「え、何? プレゼント?」
「我ら同級生からの餞別!! 開けてみ?」
皇介に促され開けると、中身は『バーニングソウル』と書かれたゲームソフトだった。
ジャケットには【本格的戦闘】【最恐のサバイバル】などと宣伝文句が並んでいる。望が説明する。
「準七の紅川さんが言うには、選抜で使われる兵法や応用戦術、このゲームに似たのが使われてるんだって。遊びながら覚えれるらしいよ」
「マジで⁈ 助かるわ! 親父が将棋で覚えろとか無茶言ってたからさ」
剛貴は大喜び。皇介が真姫に尋ねる。
「真姫ってゲーム機持ってる?」
「いいえ。…気持ちだけ、受け取っておくわ。ありがとう」
真姫がそう言うと、美鈴が提案した。
「じゃあさ、うちの貸すよ! お婆がうるさいってなら、うち来てやればいいし」
「そうそう、試せるものは全部試して頑張ろ?」
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きっと私はこの日の事を忘れない。
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