漆黒の夜は極彩色の夢を 〜夢日記ショート·ショート~

羽瀬川璃紗

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不老婦人

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 私は何処かの部屋で、手芸を楽しんでいた。 

 カルチャーセンターの教室だろうか。他にも3,4人のご婦人方と、他愛もない雑談をしながら編み細工をしていた。 

 婦人の1人が言った。 

「本当、都子さんてお若く見えますよね」 

 そりゃあ、50代くらいの彼女からすれば、私は若いけれども。 

「ですよね。20代にしか見えませんよ」 

 別の婦人も賛同する。いやいや。 

「え? だって私、20代ですよ?」 

 私の返答に、婦人達は一瞬呆気に取られた顔をしたが、すぐに笑った。 

「またまたぁ、都子さんたら!」 

「悪ノリしちゃって!」 

 本当なんだけど、誰も信じようとしない。 

(悪ノリはどっちだよ。ドッキリかよ) 

 笑って誤魔化しつつ、中座した私はポーチを持ってトイレへ向かった。 

(まさか、な) 

 トイレの鏡には、昨日と寸分も変わらぬ自分が映っていた。ポーチに入れてあった運転免許証の写真と、鏡の自分も比べてみたが、やはり変わらない。 

(ほら!!おばちゃん達、皆で私の事からかってるだけじゃん。自分の知らない間に自分が齢を取っちゃったかと、一瞬だけ疑っちゃったよ。もう!!) 


 ホッとするのもつかの間、私はある物を見てギョッとした。 

 免許の更新期限が、見たことない元号『○○6年 誕生日1ヵ月後まで』となっていたのだ。 

(いま平成でしょ?この元号は何?しかも一応ゴールド免許で更新は5年毎だから、今はこの○○って元号真っただ中だよね?) 

 私は浦島太郎になったかのような、焦りに襲われた。 

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