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五章
11、計画が頓挫しそうです
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「や、やめてぇ。後生ですから堪忍してください」
膝立ちになった絲さんは、切なげに眉根を寄せている。
いや、普段とはちょっと違て眉間にしわが寄っている。
うんうん、気持ち悪いよなぁ。俺かて、そんなとこに指突っ込まれたら、さすがにきついわ。
俺の右手は、柔らかくて小さい絲さんの尻を左右に開く。
見慣れた自分の手やから、普段はでかいとも思わへんのやけど。絲さんの尻が小さすぎる所為やろか。やたらと手がごつくて大きく思える。
左の指に泡をたっぷりとつけ、そのままゆっくりと絲さんの尻の奥へと挿れていく。
当然の如く、絲さんは体に力を入れる。
「あかんで。ちゃんと中を洗わな」
「ど、どうして、そんなところ、を」
すでに絲さんの声は切れ切れや。天井から湯面に落ちる水音の方が大きいくらいに、彼女の声は微かで震えている。
この震えは、期待やのうて怖さからやな。
大丈夫やで、絲さん。痛いことも怖いこともせぇへん。ちゃんと馴らしてあげるから、安心し。
俺は優しい男やからな。
「絲さんの全部は俺のもんやからな。知らんとこがあったら、あかんやろ」
「そ、それなら……ひっ」
喋りかけた絲さんの、さらに奥へと指を入れていく。抵抗がきつい。まぁ、当然やろけど。
「どんな感じや? 絲さん」
「き、きもちわるい、です」
「力抜いた方がええで」
彼女の中でぐるりと指先をまわす。指先が拾う感触は、いつもの慣れた場所とは違う。
「く……ぅ、うう……ぅ」
絲さんは後ろ手に縛られたまま、首を逸らした。湿った髪が彼女の背にかかり、水滴が俺の腕に落ちて泡を流していく。
「そろそろ夕飯やなぁ。さきに食べてからにしよか」
「な、なにを、ですか?」
「そんなん決まっとうやん。絲さんを抱く以外に何があるん」
今日は絲さんがお出かけするのに、波多野が付き添っとったから、寂しかったんや。
◇◇◇
わたしは混乱した頭を抱えたくなりましたが。両手を封じられているので、それもできません。
おかしいわ。今日は波多野さんに付き合ってもらってお誕生日のお酒を買って。日付が変わったら、それを蒼一郎さんの枕元にそっと置こうかと思ったの。
翌朝、目が覚めたら蒼一郎さんが驚くのよ。
わたし、まるで師走にある生誕祭のさんたくろうのようではなくて?
なのに……何故早々に計画が頓挫しているの?
湯から上がってしばらく経つので、体が冷えたのでしょうか。わたしは小さく身震いしました。
「ああ、寒かったな。ごめんな、絲さん。もう一回温まろな」
ようやく蒼一郎さんが指を抜いて、わたしはまともに息をすることが出来ました。そして腕の腰紐を解いてくださったの。
でも、その思いやりを別な所に使ってください。お願いですから。
ああ、後ろが気持ち悪いです。まだ蒼一郎さんの指が入っているような心地がして。
お湯の中で体をもぞもぞと動かしていると、蒼一郎さんがにやりと笑いました。
「絲さん。これは大人の階段やで」
「階段、ですか?」
「せや。我慢しぃな。人はこうやって大人の階段を上っていくんやで」
大きな手がわたしの頭を撫でてくださいます。
そうなのですか?
わたし、艶事には疎くって。女學院に通っていても、町さんやお友達とはこんな情事についてのお話はしませんもの。
そうなのね、知らなかったわ。普通のことだったのね。
膝立ちになった絲さんは、切なげに眉根を寄せている。
いや、普段とはちょっと違て眉間にしわが寄っている。
うんうん、気持ち悪いよなぁ。俺かて、そんなとこに指突っ込まれたら、さすがにきついわ。
俺の右手は、柔らかくて小さい絲さんの尻を左右に開く。
見慣れた自分の手やから、普段はでかいとも思わへんのやけど。絲さんの尻が小さすぎる所為やろか。やたらと手がごつくて大きく思える。
左の指に泡をたっぷりとつけ、そのままゆっくりと絲さんの尻の奥へと挿れていく。
当然の如く、絲さんは体に力を入れる。
「あかんで。ちゃんと中を洗わな」
「ど、どうして、そんなところ、を」
すでに絲さんの声は切れ切れや。天井から湯面に落ちる水音の方が大きいくらいに、彼女の声は微かで震えている。
この震えは、期待やのうて怖さからやな。
大丈夫やで、絲さん。痛いことも怖いこともせぇへん。ちゃんと馴らしてあげるから、安心し。
俺は優しい男やからな。
「絲さんの全部は俺のもんやからな。知らんとこがあったら、あかんやろ」
「そ、それなら……ひっ」
喋りかけた絲さんの、さらに奥へと指を入れていく。抵抗がきつい。まぁ、当然やろけど。
「どんな感じや? 絲さん」
「き、きもちわるい、です」
「力抜いた方がええで」
彼女の中でぐるりと指先をまわす。指先が拾う感触は、いつもの慣れた場所とは違う。
「く……ぅ、うう……ぅ」
絲さんは後ろ手に縛られたまま、首を逸らした。湿った髪が彼女の背にかかり、水滴が俺の腕に落ちて泡を流していく。
「そろそろ夕飯やなぁ。さきに食べてからにしよか」
「な、なにを、ですか?」
「そんなん決まっとうやん。絲さんを抱く以外に何があるん」
今日は絲さんがお出かけするのに、波多野が付き添っとったから、寂しかったんや。
◇◇◇
わたしは混乱した頭を抱えたくなりましたが。両手を封じられているので、それもできません。
おかしいわ。今日は波多野さんに付き合ってもらってお誕生日のお酒を買って。日付が変わったら、それを蒼一郎さんの枕元にそっと置こうかと思ったの。
翌朝、目が覚めたら蒼一郎さんが驚くのよ。
わたし、まるで師走にある生誕祭のさんたくろうのようではなくて?
なのに……何故早々に計画が頓挫しているの?
湯から上がってしばらく経つので、体が冷えたのでしょうか。わたしは小さく身震いしました。
「ああ、寒かったな。ごめんな、絲さん。もう一回温まろな」
ようやく蒼一郎さんが指を抜いて、わたしはまともに息をすることが出来ました。そして腕の腰紐を解いてくださったの。
でも、その思いやりを別な所に使ってください。お願いですから。
ああ、後ろが気持ち悪いです。まだ蒼一郎さんの指が入っているような心地がして。
お湯の中で体をもぞもぞと動かしていると、蒼一郎さんがにやりと笑いました。
「絲さん。これは大人の階段やで」
「階段、ですか?」
「せや。我慢しぃな。人はこうやって大人の階段を上っていくんやで」
大きな手がわたしの頭を撫でてくださいます。
そうなのですか?
わたし、艶事には疎くって。女學院に通っていても、町さんやお友達とはこんな情事についてのお話はしませんもの。
そうなのね、知らなかったわ。普通のことだったのね。
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