たっくんとゆうちゃん

kromin

文字の大きさ
65 / 72
第五章

番外編 倒錯したファッションモデルのお仕事をするたっくん

しおりを挟む
俺が倒錯したファッションモデルの仕事を始めて3か月程が経った。
デビューした号から自分で言うのもなんだがかなりの反響があり、あっという間に人気者になった。

初めは若干怖かったり複雑だったが、知らない世界を知れたり、俺とほぼ同じような子達と知り合えたのは嬉しかったのですぐに馴染んだ。


すぐに他のアングラ系サイトでも特集が組まれたりして、かなり安定した副収入が入るようになり生活も大いに助かった。


そんな訳で今日も俺は某アングラファッション誌の撮影のためちょっと分かりにくい場所にあるスタジオに来ていた。

「はーいたっくん、今日も可愛いね。じゃあまずはこれ着てね~」

「はーい。あー、アイドルみたいな奴ですねー」

俺は最近流行りの男性アイドル的な衣装を着込み撮影に挑んだ。

倒錯したカメラマンさんの指示を受け色々なポーズをとったりウインクしたりした。


「良いよ良いよー。じゃあ次はこれ着てねー」
「あー、少女漫画のギムナジウムみたいなお耽美系ですねー。いいですね」

「うん、で、君とほぼ同じような子とお揃いの服で撮影してもらうから」
「はーい」

「あーたっくん先月ぶり。よろしくね」
「うん、よろしく」


彼もまた俺と同い年くらいのふわふわした栗毛色の髪のかわいい子で、全部では無いが一部義肢に片目義眼の子だった。
まあ何があったのかは聞けないが、おそらく俺同様相当な事があったのだろう。
でも、とても前向きで明るい良い子だった。

「はーいお揃いで可愛いね。じゃあ撮るよー」
「はい、じゃあ次は手つないで向き合ってねー」

「はい、お疲れ様。すごく良かったよー」

「うん、お疲れ様たっくん」
「君もお疲れー」


「うん、じゃあ次はね。倒錯した読者さんから手足無いたっくんも見たいってリクエストが多数あったので着替えて外してもらえるかな」
「ほ、ほんとに倒錯してますね。良いですけど自分じゃ外せませんが」

「あー、うち倒錯したドクターが常駐してるからすぐ麻酔かけて外してもらえるよ」
「ま、まじで倒錯してますねこの業界。じゃあまあ行って来ます」

そうして本当に倒錯したいかにもな銀髪眼鏡のドクターに手足をすぐに外して貰い、着替えさせてもらい車椅子でスタジオに戻って来た。

「う、うわー。ちょっとえっちな奴ですねこれ」
「うん、良いでしょ。まあでも下品なえっちじゃ無いから」
「ええまあ。この程度なら許容範囲です」


「うん、じゃあ君同様手足全部ない子と組んで撮らせてもらうからね。はい、あの子連れてきてー」

「はーい。あ、たっくんですよね。よろしくー」

彼は俺より少し年下っぽい、長めの黒髪に浅黒い肌の、まあたぶん海外の子だろうなーという感じの子だった。

生まれつきか否かは分からないが、海外の子だからまあ要するにそんな事情なのだろう。
国籍は違うが、年下で長い黒髪という事で、少しだけあの子を思い出してしまった。

「…あ、うん。よろしくね」
「あーそんなしんどい顔しないで良いよー。僕今超幸せだから」
「うん、そっか。なら良かった」


そして再び、同様にちょっとえっちな服を着た彼と合同で撮影は始まった。

「うんうん、二人とも可愛いよー」
「あー、じゃあキスしなくていいから顔近づけてー」
「はいはい、良いよ良いよー」

「はい終わり。二人ともお疲れ様ー」
「じゃあまたドクターに手足戻してもらうからね。ありがとねたっくん」
「はーい、お疲れ様でした」

また倒錯ドクターにすぐ処置をしてもらい、俺はスタジオに戻った。


「あーたっくん。この後暇だったらファミレスで打ち上げしない?」
一緒に撮影したモデルの子達に声をかけられた。

「うん、今日オフだし良いよ」
「うん、じゃあ君入れて3人くらい一緒だから。行こ行こ」

そうして、手足無い子はお世話してくれている人と共に、そういうお客さんに慣れている系のファミレスに行った。

「じゃ、かんぱーい!」
「かんぱーい!」

手足無い子はお世話の人が乾杯してくれた。


「やー、たっくん初回からかなりの物だったけど、すっかり売れっ子だよねー」
「うん、ありがとー」
「その手足、お人形みたいで本当に可愛いもんね」
「ありがとね。君はお世話の人の意向で手足付いてなくて大変だよね」

「んー。でもご主人が全部やってくれるし、ご主人すごく優しいし僕全然幸せだから良いよ」
「そっか、それなら良かったよ。ご主人と仲良しで良いね」
「うん、ご主人僕を買ってくれて超可愛がってくれたし、僕ご主人大好き!」
「ふふふ。よしよし」

彼とご主人はとても幸せそうだった。
幸せと言うのは人それぞれなのだなあと、彼を見て改めて思った。


もう一人同行している子は、俺達より少し年上そうな綺麗な顔立ちの少年で、火事か薬剤かは分からないが、体の半身近くがひどく焼けただれていた。髪はきちんと生えそろっていた。

「…君も君で大変だよね」
「うん、まあこうなってからしばらくは毎日痛くて熱かったけどね。もう今は殆ど痛みも無いよ」

「この国、結構凄いお医者さんとかいるけど完全に消してもらう訳にはいかないの?」

「うん、僕も最初悩んだんだけどね。僕こう見えて結構中二病な所があるから、まあかっこいいし良いかと思って、もうこのままにしてる。この体のお陰で職得られた訳だしね」

「良かった。君がそう思えてるなら、それで良いんだと思う」
「うん、僕は今の体満足してるよ」


彼らと出会って交流することで、各々事情や体に問題はあれど、それぞれ納得して受け入れる事が出来るのだなあと視野が広まった。

やっぱり今はこの倒錯した仕事を受けて良かったと思う。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

先輩、可愛がってください

ゆもたに
BL
棒アイスを頬張ってる先輩を見て、「あー……ち◯ぽぶち込みてぇ」とつい言ってしまった天然な後輩の話

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

男の娘と暮らす

守 秀斗
BL
ある日、会社から帰ると男の娘がアパートの前に寝てた。そして、そのまま、一緒に暮らすことになってしまう。でも、俺はその趣味はないし、あっても関係ないんだよなあ。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

ふたなり治験棟 企画12月31公開

ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。 男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!

寝てる間に××されてる!?

しづ未
BL
どこでも寝てしまう男子高校生が寝てる間に色々な被害に遭う話です。

処理中です...