切なくて、恋しくて〜zielstrebige Liebe〜

水無瀬 蒼

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同じ空の下2

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 入国審査を終え、スーツケースをピックアップするとタクシーの列に並ぶ。
 このままホテルに直行だ。もう夕方なのでチェックインも可能なので、まずは荷物を部屋に入れてから夕食に行くことになっている。落ち合うのはホテルで。同じホテルなのでその辺は楽だ。でもとりあえず空港に着いたことは知らせておこうとメッセージを送る。

『空港に着きました。これからタクシーでホテルに向かいます』

 そうしているうちにタクシーは俺の番になり、ホテルの住所を告げる。
 タクシーに乗って背をあずけると疲れが出た。疲れたっていっても機内では寝てただけではあるけれど、あの狭い空間で疲れてしまうのだろう。席を立つことも少ないし。
 小さく息を吐いたところでスマホが着信を告げる。見ると優馬さんからのメッセージだった。

『気をつけて来てね。ホテルの前で待ってるよ』

 日本を遠く離れたところで普段から会っている人と会うって不思議な感じだな。ここは日本じゃないのに。涼にパリで優馬さんに会うと告げたとき、涼は驚いていた。最近俺が優馬さんと食事に行ったりカフェに行ったりしているのを知っている。そして今度は海外でも会うと言うのだから。でも海外で会うと言っても一緒に行くわけじゃないし、日中も一緒に過ごすわけじゃない。夕食とお茶をするだけだ。優馬さんはパリコレがあるし、服を見てまわるというし、俺は俺でカフェ巡りだ。それでも涼は、もう付き合っちゃってる感じじゃんと言っている。そんなことないのに。俺はまだ大輝をまっているし。それなのに涼は俺と優馬さんをくっつけようとしている。俺は大輝を待っているというのに。
 そんなことをぼんやりと考えながら車窓を眺める。古くからある建物を見てヨーロッパに来たんだなと思う。俺はこの街並みが好きだ。日本の街並みとは全然違うけれど古くからの建物を見るとなんだか安心するんだ。フランスとイタリアは比較的似た街並みだけど、写真で見た感じだとドイツはそれとは違うようだ。それが少し楽しみだ。俺は建築には詳しくないけれど、ヨーロッパの古い建物を見るのが好きだ。だからドイツの街並みも楽しみなのだ。
 タクシーに揺られるところ約1時間。ホテルに着いた。空港から市内まで結構時間がかかるのだ。
 料金を払って車を降りると優馬さんが待ってくれていた。

「お疲れ様」
「待っててくれてありがとうございます」
「この辺、似た建物が続いてるからね。それよりチェックインしよう」
「はい」
 
 建物に入るとマダムが愛想良く迎えてくれた。無表情なマダムが多い中で珍しい。

 チェックインを済ませ、部屋に案内して貰う。優馬さんと同じフロアらしい。

「偶然だね」
「そうですね」

 マダムにチップを払い部屋に入る。なんだか部屋に着いたら余計に疲れが出た。

「疲れたでしょう。日本から遠いもんね」
「そうですね。飛行機の中では寝てきたんですけど」
「エコノミーでしょう? それは疲れて当然だよ。座席狭いんだから」
「ビジネスは高いから無理ですよ。ましてやヨーロッパ路線で」
「もう少し距離が近ければいいけど、ヨーロッパは遠いからね。少し休んでから出かけようか。それとも夕食まで休む?」
「少し休めば大丈夫です。喉乾いてるからカフェに行きたいです」

 日本と違い空気が乾燥しているからか喉が乾いた。機内で飲み物をセーブしたのもあるだろうけれど。

「じゃあそうしようか。近くにいいカフェがあるんだ。観光客がほとんどいないから落ち着くよ」
「楽しみです」

 それまで明日着る服と洗面用具をスーツケースから出し、少し休んでからカフェへと出かけた。
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