2 / 74
Move on2
しおりを挟む
いつもの時間にお店に行き、店の掃除を始める。そして今日のブレンドコーヒーを決める。今日はコロンビアとブラジルをベースとした苦みのあるブレンドにした。
『カフェ・ルーシェ』は2年前にオープンしたばかりのコーヒー専門店だ。中学時代にコーヒーにハマり、大学を卒業してから将来店をオープンできる知識を得るために専門学校に週3回・1年間通い、オーナーとなるための知識とバリスタの資格を取った。そして専門学校へ通う傍ら市内にある『カフェ・サンク』でバイトとして働いた。
専門学校を卒業した後は『カフェ・サンク』でフルタイムで働き、オーナーの正門さんに徹底的にコーヒーのことを仕込まれた。正門さんはコーヒーに関しては煩い人なので、専門学校の講師よりも正門さんの方が怖かった。でも、その分しっかり実力はついたと思う。だからこそ25歳でカフェをオープンすることが出来たんだと思っている。
お店をオープンしてから2年間、こんな若造のお店だけど、ありがたいことに常連さんもボチボチ出来ている。そして正門さんは『カフェ・サンク』の定休日にたまにぶらりとやってきてはダメ出しをしてくる。だから味に関しては自信を持っている。
掃除を終えた後は10時に札をOPENにする。1日の始まりだ。
「湊斗くんおはよう」
オープンして5分後に吉澤優馬さんが花束を抱えてやってきた。優馬さんはファッションデザイナーをしていて、常連さんの1人だ。
「おはようございます。今日は早いですね」
「湊斗くんの誕生日だからね。それに話したいこともあって。とりあえず、はい。誕生月花の赤い薔薇27本」
「うわ、ありがとうございます。生けなきゃ」
優馬さんから薔薇の花束を貰い、さっそく花瓶に生けてカウンターの隅に置く。花があると店が明るく感じる。
「やっぱり花があるといいですね。優馬さん、今日は何にしますか?」
「今日のブレンドは何?」
「今日はコロンビアとブラジルベースの苦みのあるものですよ」
「じゃあ、それにしようかな」
「はい」
ハンドルにネルフィルターをセットし、挽いた粉をセットしてゆっくりと淹れていく。うちの店は正門さんから教わったネルフィルターでコーヒーを淹れている。手間を考えると紙の方がいいのだけれど、ネルドリップの方が味がまろやかになるのでペーパーフィルターに移行することができない。せっかくコーヒーを飲むなら美味しい方がいい。
「湊斗くん。他のお客さんが来たら困るから単刀直入に言うけど湊斗くんのことが好きなんだ」
「はい……えっ?」
コーヒーを淹れながらなのでついうっかりと「はい」なんて言ってしまったけれど、言った後に意味がわかった。
「好きって……」
コーヒーが好き、とかそういう意味じゃないよな?
「恋愛の意味でだよ」
「そんな……」
「今付き合っている人はいないんだよね?」
「いえ、なんというか……」
「返事は今じゃなくていいから。ゆっくり考えて」
「いや、でも……」
ずっと好きな人がいる、そう言いかけたところで常連の舞さんが入って来たので話はそこで中断されてしまった。
「湊斗くん。誕生日おめでとう」
舞さんはそう言って店に入ってくる。舞さんは大手不動産会社に勤めるOLさんだ。不動産会社なので水曜日がお休みなので水曜日の朝は美味しいコーヒーで目を覚ましたいからと言って朝1で来ることが多い。
「ありがとうございます。今日は何にしますか?」
「今日はグァテマラをお願い」
「はい」
さっきの優馬さんとの話の続きをしたいけれど、この後はランチの後の一杯にくるお客さんが来るだろうから話は出来そうにない。それでも気になって優馬さんを見るけれど、優馬さんは優雅にコーヒーを飲んでいた。どこかでお客さんが途切れれば……。そんな風にそわそわしながらグァテマラを淹れた。
『カフェ・ルーシェ』は2年前にオープンしたばかりのコーヒー専門店だ。中学時代にコーヒーにハマり、大学を卒業してから将来店をオープンできる知識を得るために専門学校に週3回・1年間通い、オーナーとなるための知識とバリスタの資格を取った。そして専門学校へ通う傍ら市内にある『カフェ・サンク』でバイトとして働いた。
専門学校を卒業した後は『カフェ・サンク』でフルタイムで働き、オーナーの正門さんに徹底的にコーヒーのことを仕込まれた。正門さんはコーヒーに関しては煩い人なので、専門学校の講師よりも正門さんの方が怖かった。でも、その分しっかり実力はついたと思う。だからこそ25歳でカフェをオープンすることが出来たんだと思っている。
お店をオープンしてから2年間、こんな若造のお店だけど、ありがたいことに常連さんもボチボチ出来ている。そして正門さんは『カフェ・サンク』の定休日にたまにぶらりとやってきてはダメ出しをしてくる。だから味に関しては自信を持っている。
掃除を終えた後は10時に札をOPENにする。1日の始まりだ。
「湊斗くんおはよう」
オープンして5分後に吉澤優馬さんが花束を抱えてやってきた。優馬さんはファッションデザイナーをしていて、常連さんの1人だ。
「おはようございます。今日は早いですね」
「湊斗くんの誕生日だからね。それに話したいこともあって。とりあえず、はい。誕生月花の赤い薔薇27本」
「うわ、ありがとうございます。生けなきゃ」
優馬さんから薔薇の花束を貰い、さっそく花瓶に生けてカウンターの隅に置く。花があると店が明るく感じる。
「やっぱり花があるといいですね。優馬さん、今日は何にしますか?」
「今日のブレンドは何?」
「今日はコロンビアとブラジルベースの苦みのあるものですよ」
「じゃあ、それにしようかな」
「はい」
ハンドルにネルフィルターをセットし、挽いた粉をセットしてゆっくりと淹れていく。うちの店は正門さんから教わったネルフィルターでコーヒーを淹れている。手間を考えると紙の方がいいのだけれど、ネルドリップの方が味がまろやかになるのでペーパーフィルターに移行することができない。せっかくコーヒーを飲むなら美味しい方がいい。
「湊斗くん。他のお客さんが来たら困るから単刀直入に言うけど湊斗くんのことが好きなんだ」
「はい……えっ?」
コーヒーを淹れながらなのでついうっかりと「はい」なんて言ってしまったけれど、言った後に意味がわかった。
「好きって……」
コーヒーが好き、とかそういう意味じゃないよな?
「恋愛の意味でだよ」
「そんな……」
「今付き合っている人はいないんだよね?」
「いえ、なんというか……」
「返事は今じゃなくていいから。ゆっくり考えて」
「いや、でも……」
ずっと好きな人がいる、そう言いかけたところで常連の舞さんが入って来たので話はそこで中断されてしまった。
「湊斗くん。誕生日おめでとう」
舞さんはそう言って店に入ってくる。舞さんは大手不動産会社に勤めるOLさんだ。不動産会社なので水曜日がお休みなので水曜日の朝は美味しいコーヒーで目を覚ましたいからと言って朝1で来ることが多い。
「ありがとうございます。今日は何にしますか?」
「今日はグァテマラをお願い」
「はい」
さっきの優馬さんとの話の続きをしたいけれど、この後はランチの後の一杯にくるお客さんが来るだろうから話は出来そうにない。それでも気になって優馬さんを見るけれど、優馬さんは優雅にコーヒーを飲んでいた。どこかでお客さんが途切れれば……。そんな風にそわそわしながらグァテマラを淹れた。
33
あなたにおすすめの小説
君に不幸あれ。
ぽぽ
BL
家族にも見捨てられ、学校で孤独を感じていた静。
毎日が辛くて生きる意味を失いかけた彼の前に現れたのは、眩しい太陽のような青年天輝玲。
玲の存在は、静の壊れかけていた心の唯一の救いだった。
しかしある日、玲の口から聞いたある言葉で、信頼から憎悪へと変わった。
それから十年。
玲と再会を果たした静は復讐を果たそうとする。
サラリーマン二人、酔いどれ同伴
風
BL
久しぶりの飲み会!
楽しむ佐万里(さまり)は後輩の迅蛇(じんだ)と翌朝ベッドの上で出会う。
「……え、やった?」
「やりましたね」
「あれ、俺は受け?攻め?」
「受けでしたね」
絶望する佐万里!
しかし今週末も仕事終わりには飲み会だ!
こうして佐万里は同じ過ちを繰り返すのだった……。
【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】
彩華
BL
俺の名前は水野圭。年は25。
自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで)
だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。
凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!
凄い! 店員もイケメン!
と、実は穴場? な店を見つけたわけで。
(今度からこの店で弁当を買おう)
浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……?
「胃袋掴みたいなぁ」
その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。
******
そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています
お気軽にコメント頂けると嬉しいです
■表紙お借りしました
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
【第二部完結】恋するホストと溺れる人魚と、多分、愛の話
凍星
BL
両片想いのじれったい関係から、ようやく恋人同士になったホストの川嶋蓮と、カフェの店長代理を務める高槻泉水。
付き合いは順調に見えたが、お互いの仕事のせいで一緒に過ごせる時間が極端に少なく、蓮は不満を募らせていた。
そして、そんな問題を解消するために店を辞めようとする蓮には、先輩ホストの高城皇という大きな壁が立ちはだかる。
恩人からの圧力に煮え切らない蓮を見て、背中を押してくれたのは…「マイペース」を絵に描いたようなのんびりした性格の後輩ユキだった。
「蓮夜先輩に幸せになって欲しい」と願い、蓮のサポートに奮闘するユキだが、別れが近付くにつれ、その気持ちも少しずつ変化していってーー?
「自分の本当の想い」に気付いた時、ユキが取るのは人魚姫のような犠牲的な行為か、それとも……
「恋とか愛とか、よく分からない!」という、恋愛に不器用な男子3人の視点をメインに「誰かを好きになる気持ち」を考察する、もだもだラブストーリーです♪
『カフェと雪の女王と、多分、恋の話』の続編となります。
タイトルに「*」付きの回は、性的表現ありです。苦手な方はご注意を。
かわいい美形の後輩が、俺にだけメロい
日向汐
BL
過保護なかわいい系美形の後輩。
たまに見せる甘い言動が受けの心を揺する♡
そんなお話。
【攻め】
雨宮千冬(あめみや・ちふゆ)
大学1年。法学部。
淡いピンク髪、甘い顔立ちの砂糖系イケメン。
甘く切ないラブソングが人気の、歌い手「フユ」として匿名活動中。
【受け】
睦月伊織(むつき・いおり)
大学2年。工学部。
黒髪黒目の平凡大学生。ぶっきらぼうな口調と態度で、ちょっとずぼら。恋愛は初心。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる