16 / 26
勢揃い
しおりを挟む
あの後なぜか沈んだ顔で黙ってしまった田嶋さんを放って事務所をあとにした。なんだか知らない人になってしまったような気がして、あれからも自分からは接触しないようにしている。
久々の幹部が全員集まる会合。当然のごとく俺は組長の横に席が設けられ、幹部6人とそれぞれのボディーガード、そして俺という13人が顔を突き合わせた。
最初は畏まって今後の組の動向について話し合っていたが、夜もふけると酒も用意され場の空気も緩んでくる。酔いが回ってくると、足を崩し、顔も火照ってくる。
普段、組員の前では真面目で堅物な姿しか見せない組長も、今日はかなり機嫌がよろしいようで、御園の腰を抱き、側に引き寄せたまま酒を飲む。
御園は組長のお酌をし、組長はそのおちょこで御園に酒を飲ませる。そのいちゃつきように、他の幹部たちは顔を歪めていた。
山手たち4人は、組長を羨ましそうに見つめる。いつかは俺が組長になって御園を俺の手に…!いや、その前に駆け落ちを…。など頭の中はいろいろな思惑が駆け巡るが、たまにちらっとそちらを見た御園と目が合うと、顔を赤くし、今はこれだけでも十分か…。と幸せに浸る。
まあ結局、しばらく2人のベタつきを見続けるとまた連れ去りたい思いに駆られるのだが。
向野は、2人のガードをしながら、組長に僅かなりとも嫉妬を覚える。普段は尊敬し敬愛している相手であるが、こうも間近で想い人を好き勝手されては、やはり忠実な部下といえども雑念が混じる。
だが、向野さんもどうぞ、と御園におちょこを渡され酒をつがれると、心があたたまり嫉妬心も薄れる。
だが、一際鋭い視線をこちらに向ける田嶋は、一度たりとも顔が緩むことはなかった。その空気は憎悪にも近い殺気を含んだものだったが、周りの人間には御園しか視界には入っていなかった。
いや、それでも組長はそんな視線に感づいていただろうが、そんなものは気にも止めてはいなかった。もう、御園を田嶋に返すつもりはさらさらなかった。
御園は田嶋にだけはフォローをしなかった。田嶋には関わるつもりもなかった。目も合わせないし、会話をすることもない。今までは当たり前のことだったが、それが今の田嶋にはどうしようもなく腹立たしかった。
組長の隣に当たり前のように寄り添い、屈託のない笑顔を晒す御園が憎らしかった。
久々の幹部が全員集まる会合。当然のごとく俺は組長の横に席が設けられ、幹部6人とそれぞれのボディーガード、そして俺という13人が顔を突き合わせた。
最初は畏まって今後の組の動向について話し合っていたが、夜もふけると酒も用意され場の空気も緩んでくる。酔いが回ってくると、足を崩し、顔も火照ってくる。
普段、組員の前では真面目で堅物な姿しか見せない組長も、今日はかなり機嫌がよろしいようで、御園の腰を抱き、側に引き寄せたまま酒を飲む。
御園は組長のお酌をし、組長はそのおちょこで御園に酒を飲ませる。そのいちゃつきように、他の幹部たちは顔を歪めていた。
山手たち4人は、組長を羨ましそうに見つめる。いつかは俺が組長になって御園を俺の手に…!いや、その前に駆け落ちを…。など頭の中はいろいろな思惑が駆け巡るが、たまにちらっとそちらを見た御園と目が合うと、顔を赤くし、今はこれだけでも十分か…。と幸せに浸る。
まあ結局、しばらく2人のベタつきを見続けるとまた連れ去りたい思いに駆られるのだが。
向野は、2人のガードをしながら、組長に僅かなりとも嫉妬を覚える。普段は尊敬し敬愛している相手であるが、こうも間近で想い人を好き勝手されては、やはり忠実な部下といえども雑念が混じる。
だが、向野さんもどうぞ、と御園におちょこを渡され酒をつがれると、心があたたまり嫉妬心も薄れる。
だが、一際鋭い視線をこちらに向ける田嶋は、一度たりとも顔が緩むことはなかった。その空気は憎悪にも近い殺気を含んだものだったが、周りの人間には御園しか視界には入っていなかった。
いや、それでも組長はそんな視線に感づいていただろうが、そんなものは気にも止めてはいなかった。もう、御園を田嶋に返すつもりはさらさらなかった。
御園は田嶋にだけはフォローをしなかった。田嶋には関わるつもりもなかった。目も合わせないし、会話をすることもない。今までは当たり前のことだったが、それが今の田嶋にはどうしようもなく腹立たしかった。
組長の隣に当たり前のように寄り添い、屈託のない笑顔を晒す御園が憎らしかった。
11
お気に入りに追加
412
あなたにおすすめの小説
ヤクザと捨て子
幕間ささめ
BL
執着溺愛ヤクザ幹部×箱入り義理息子
ヤクザの事務所前に捨てられた子どもを自分好みに育てるヤクザ幹部とそんな保護者に育てられてる箱入り男子のお話。
ヤクザは頭の切れる爽やかな風貌の腹黒紳士。息子は細身の美男子の空回り全力少年。
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
総受け体質
田原摩耶
BL
二人の兄に毎晩犯されて可愛がられてきた一人称僕・敬語な少年が初めて兄離れをして全寮制学園に通うことになるけどモブおじさんにセクハラされたり色々されながらも友達をつくろうと肉体的に頑張るお話。
※近親相姦、セクハラ、世間知らず、挿入なしで全編エロ、乳首責め多め。なんでも許せる方向け。
嫌われものの僕について…
相沢京
BL
平穏な学校生活を送っていたはずなのに、ある日突然全てが壊れていった。何が原因なのかわからなくて気がつけば存在しない扱いになっていた。
だか、ある日事態は急変する
主人公が暗いです
不良高校に転校したら溺愛されて思ってたのと違う
らる
BL
幸せな家庭ですくすくと育ち普通の高校に通い楽しく毎日を過ごしている七瀬透。
唯一普通じゃない所は人たらしなふわふわ天然男子である。
そんな透は本で見た不良に憧れ、勢いで日本一と言われる不良学園に転校。
いったいどうなる!?
[強くて怖い生徒会長]×[天然ふわふわボーイ]固定です。
※更新頻度遅め。一日一話を目標にしてます。
※誤字脱字は見つけ次第時間のある時修正します。それまではご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる