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それは何の熱か
三、
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そうして、退勤時間の数分前。
蝶は天藍の自室に早足で向かっていた。
「っ、ふぅ……ん…っ」
通常の人間ならとっくに失禁しているであろう尿意に耐え、蝶は静かに足を進めた。
本当は、退勤時間まで書類の整理をするべきだ。
しかしそのあと数分が、蝶はもう我慢ができなかった。今すぐおしっこがしたくてたまらず、仕事をしているどころではなくなっていた。
着物の下では、太ももに我慢のできなかった雫が何滴も伝っている。何度ハンカチで拭いても、また溢れてしまう。ハンカチはこれまで蝶が拭った液体で、すでにじっとりと濡れていた。
天藍の今の状況の把握に、どうせ数分を要するだろう。書類整理は早めに切り上げてもいい。
そう自分の中で言い訳をして、天藍の自室に入った。
広い寝台で、天藍は規則正しい寝息を立てている。枕元には、先ほど来た医者が置いていったであろう薬が置いてあった。
「寝てる……」
蝶は驚く。しかし、自分がなぜ驚いているのか、一瞬わからなかった。
そうして時間差で、天藍が眠りに落ちているところを初めて見た、と言うことに気づく。
病人を起こすのは憚られる。けれど、蝶は一刻も早くトイレに行きたい。早くこの貞操帯の鍵を外してもらいたかった。
「旦那様、起きてください」
蝶はモジモジと落ち着きなく腰を揺らしながら、彼を起こす。
すると、彼は数秒後に目を開けた。
「……ん?」
「旦那様。もう退勤時間に……?!」
蝶がそう話す途中、天藍はその手を掴んだ。
蝶は寝台の上に身を倒すような形になる。そのまま、彼に腰を引き寄せられた。
「え? まっ、まってください、旦那様、ちょっと!!
しゅうう
確実に液体が尿道を通った感覚に、ぬるく濡れた衣服の感覚に、蝶は声を荒げた。
しかし天藍は微笑んで蝶の腰を撫でながら、艶っぽく話しかける。
「どうしたの? 僕の寝室にきて」
「ね、寝惚けるのはやめてください!退勤時間を知らせに来ただけです」
「それが何か……あ、そうか」
不自然に身を捩る蝶に、天藍は寝る前の約束を思い出す。
天藍は起き上がり、蝶を自分の代わりに寝台に寝かせる。そして、彼の着物をたくしあげた。
「太ももも服もびしょびしょじゃないか。水仕事でもしたの?」
「ッ~~、そんなの聞かなくていいですから、早く外してください……!!」
我慢ができず、何度も繰り返したおちびりの跡を見られ、蝶は真っ赤になる。理由は察しているくせにわざと聞いてくる上司が憎い。
天藍は枕元の時計を確認して、そして蝶に顔を近づけた。
「けれど、まだ退勤時間まで五分あるよ。ダメじゃないか、ちゃんと仕事しないと」
「……っ、それは……」
「それとも、あと五分も我慢できなくて早めに来てしまったの?」
天藍はそう言いながら、不自然に膨らんだ彼のお腹を触ろうと、指を伸ばす。
蝶は慌ててその手を押さえた。
「や、だ、ダメですって……!!」
今そんなところを直接触られたら、確実に失禁する。
それをわかっていて天藍もそこを触ろうとしているはずだ。しかし彼はわざと首を傾げた。
「どうして触ったらダメなの?」
「だ…だから、今そこ触ったら……」
「漏らしちゃう? 場所ならいいよ、ここ僕の部屋だし」
「っ…いいわけないでしょう……!!」
そう否定するが、蝶はもう我慢の限界で、自分が場所を構わず排尿しかねないことをわかっていた。
「じゃあ、このままあと四分、君を眺めさせてもらおうかな」
天藍はそう言って、蝶の両手に右手を押さえられた、そのままの体勢で静止する。
「っ……」
ただ見られているだけも、それはそれで地獄だ。
蝶はじっとしていられず、まるで小さな子供のように、腰を揺らしたり足を擦り合わせて、尿意に耐える。
「そんなに我慢してるんだ? 可愛い」
「っ~~~…」
誰のせいでこんなこと。蝶は天藍を恨めしく思うが、動いてないと漏らしてしまうのは本当だった。
「っは……ふ……っ」
「もう時間になったね」
その地獄のような無言の数分が過ぎ、時刻は七時になった。
その四分の間に、我慢のできなかった何滴もの液体は静かに着物に染み込んでいる。
天藍が貞操帯の鍵を外す瞬間を、蝶は呼吸を浅くして見守る。
そうして、貞操帯が外され、蝶の恥ずかしい部分が露わになった。
「っ、し、失礼します…!」
この場で排尿してしまいそうになり、蝶は起きあがろうとする。
しかし天藍は、蝶の立てた膝が動かないように押さえ込んだ。
「……え…?! だ、旦那様、離してください…っ!!」
蝶はそう叫ぶ。
しかしその間に、晒されたその出口から、ぷくり、ぷくりと、少しずつ液体が溢れ出していた。
慌てる蝶を見て、天藍は楽しそうに微笑む。
「どうして?」
「も、もう、漏れちゃう、ので……っ本当に、私、ダメです…ッ!!」
「だから、ここでしていいよって」
「い、いいわけ……っ、あ、あ、も、ダメ…ッ~~~!!」
ついに、蝶は決壊した。
しょろろろ、と綺麗な弧を描き、シーツの上に水が落ちる。
「あ、あ、も、バカ……っ」
蝶は恥ずかしさで真っ赤になりながら、慌てて着物で前を押さえ込む。
しかし、十時間ぶりの放尿はもうこれ以上止めることはできず、布とシーツがあっという間に濡れていく。
天藍は、楽しそうに蝶を見つめて言った。
「熱があがっちゃうなあ」
「っは…何言ってるんですか、もう、すっかり元気じゃないですか!」
蝶は天藍の自室に早足で向かっていた。
「っ、ふぅ……ん…っ」
通常の人間ならとっくに失禁しているであろう尿意に耐え、蝶は静かに足を進めた。
本当は、退勤時間まで書類の整理をするべきだ。
しかしそのあと数分が、蝶はもう我慢ができなかった。今すぐおしっこがしたくてたまらず、仕事をしているどころではなくなっていた。
着物の下では、太ももに我慢のできなかった雫が何滴も伝っている。何度ハンカチで拭いても、また溢れてしまう。ハンカチはこれまで蝶が拭った液体で、すでにじっとりと濡れていた。
天藍の今の状況の把握に、どうせ数分を要するだろう。書類整理は早めに切り上げてもいい。
そう自分の中で言い訳をして、天藍の自室に入った。
広い寝台で、天藍は規則正しい寝息を立てている。枕元には、先ほど来た医者が置いていったであろう薬が置いてあった。
「寝てる……」
蝶は驚く。しかし、自分がなぜ驚いているのか、一瞬わからなかった。
そうして時間差で、天藍が眠りに落ちているところを初めて見た、と言うことに気づく。
病人を起こすのは憚られる。けれど、蝶は一刻も早くトイレに行きたい。早くこの貞操帯の鍵を外してもらいたかった。
「旦那様、起きてください」
蝶はモジモジと落ち着きなく腰を揺らしながら、彼を起こす。
すると、彼は数秒後に目を開けた。
「……ん?」
「旦那様。もう退勤時間に……?!」
蝶がそう話す途中、天藍はその手を掴んだ。
蝶は寝台の上に身を倒すような形になる。そのまま、彼に腰を引き寄せられた。
「え? まっ、まってください、旦那様、ちょっと!!
しゅうう
確実に液体が尿道を通った感覚に、ぬるく濡れた衣服の感覚に、蝶は声を荒げた。
しかし天藍は微笑んで蝶の腰を撫でながら、艶っぽく話しかける。
「どうしたの? 僕の寝室にきて」
「ね、寝惚けるのはやめてください!退勤時間を知らせに来ただけです」
「それが何か……あ、そうか」
不自然に身を捩る蝶に、天藍は寝る前の約束を思い出す。
天藍は起き上がり、蝶を自分の代わりに寝台に寝かせる。そして、彼の着物をたくしあげた。
「太ももも服もびしょびしょじゃないか。水仕事でもしたの?」
「ッ~~、そんなの聞かなくていいですから、早く外してください……!!」
我慢ができず、何度も繰り返したおちびりの跡を見られ、蝶は真っ赤になる。理由は察しているくせにわざと聞いてくる上司が憎い。
天藍は枕元の時計を確認して、そして蝶に顔を近づけた。
「けれど、まだ退勤時間まで五分あるよ。ダメじゃないか、ちゃんと仕事しないと」
「……っ、それは……」
「それとも、あと五分も我慢できなくて早めに来てしまったの?」
天藍はそう言いながら、不自然に膨らんだ彼のお腹を触ろうと、指を伸ばす。
蝶は慌ててその手を押さえた。
「や、だ、ダメですって……!!」
今そんなところを直接触られたら、確実に失禁する。
それをわかっていて天藍もそこを触ろうとしているはずだ。しかし彼はわざと首を傾げた。
「どうして触ったらダメなの?」
「だ…だから、今そこ触ったら……」
「漏らしちゃう? 場所ならいいよ、ここ僕の部屋だし」
「っ…いいわけないでしょう……!!」
そう否定するが、蝶はもう我慢の限界で、自分が場所を構わず排尿しかねないことをわかっていた。
「じゃあ、このままあと四分、君を眺めさせてもらおうかな」
天藍はそう言って、蝶の両手に右手を押さえられた、そのままの体勢で静止する。
「っ……」
ただ見られているだけも、それはそれで地獄だ。
蝶はじっとしていられず、まるで小さな子供のように、腰を揺らしたり足を擦り合わせて、尿意に耐える。
「そんなに我慢してるんだ? 可愛い」
「っ~~~…」
誰のせいでこんなこと。蝶は天藍を恨めしく思うが、動いてないと漏らしてしまうのは本当だった。
「っは……ふ……っ」
「もう時間になったね」
その地獄のような無言の数分が過ぎ、時刻は七時になった。
その四分の間に、我慢のできなかった何滴もの液体は静かに着物に染み込んでいる。
天藍が貞操帯の鍵を外す瞬間を、蝶は呼吸を浅くして見守る。
そうして、貞操帯が外され、蝶の恥ずかしい部分が露わになった。
「っ、し、失礼します…!」
この場で排尿してしまいそうになり、蝶は起きあがろうとする。
しかし天藍は、蝶の立てた膝が動かないように押さえ込んだ。
「……え…?! だ、旦那様、離してください…っ!!」
蝶はそう叫ぶ。
しかしその間に、晒されたその出口から、ぷくり、ぷくりと、少しずつ液体が溢れ出していた。
慌てる蝶を見て、天藍は楽しそうに微笑む。
「どうして?」
「も、もう、漏れちゃう、ので……っ本当に、私、ダメです…ッ!!」
「だから、ここでしていいよって」
「い、いいわけ……っ、あ、あ、も、ダメ…ッ~~~!!」
ついに、蝶は決壊した。
しょろろろ、と綺麗な弧を描き、シーツの上に水が落ちる。
「あ、あ、も、バカ……っ」
蝶は恥ずかしさで真っ赤になりながら、慌てて着物で前を押さえ込む。
しかし、十時間ぶりの放尿はもうこれ以上止めることはできず、布とシーツがあっという間に濡れていく。
天藍は、楽しそうに蝶を見つめて言った。
「熱があがっちゃうなあ」
「っは…何言ってるんですか、もう、すっかり元気じゃないですか!」
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