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沈む心
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ククル一家にヨナを預け帰宅した縁に、待ってましたと子どもたちと共に出迎える。
おかえりなさいと笑顔の子どもたちに縁も嬉しそうに笑っていた。
久しぶりに明日はみんなで出かけるかと話し合っていれば、マーガレットから連絡きたらしく席を外す縁に、しかしいくら待てども戻ってこないため様子を見にいけば………
「縁?どうした?」
誰かと話す様子もなく呆然と廊下に佇む縁に先にセインが近付いて行き、ジークも声をかけながらその後に続く。
「…………ジーク」
「あ?どうした?」
あまりに悪い顔色に何かあったらしいと察した。
「お婆さんが……亡くなったそうです」
「「…………」」
予期していたことだ。時間の問題だと。
何より縁も本人にそう言われたと辛そうな表情で以前話してくれた。
だがいくら覚悟していたと言っても実際にその知らせを聞き動揺しているのだろう、見れば手が震えていた。
それきり黙り込んでしまった縁に、そうかとだけ返すと抱き寄せ腕に抱え上げる。
俯きジークの肩に額を乗せたまま動かない縁に、セインも心配そうに隣りに腰かけた。
エルたちに子どもたちを任せたのか、アレンも合流してくると何も話さない縁に何かを察したのかセインとは反対隣りに静かに腰を下ろした。
「………ジーク」
「どうした?」
ふとかけられた声に返事をする。
「セイン……アレン……」
「ここにいる」
「ん?どうした?」
2人も名を呼ばれ、存在を知らせるように頭と背を撫でる手に肩が震えたのが分かった。
必死に深呼吸を繰り返し気持ちを落ち着かせると頭を上げる。
「行かないと。きっと子どもたちが泣いてます。だからーー」
「分かってる。帰ってきたらいくらでも付き合う」
「縁がもういらないって言うまで甘やかしてやるから」
悲しくとも縁が森にいる子どもたちを優先するだろうことはジークたちも分かっていた。
行かなくていいと言いたいだろうアレンたちに、しかし必死に気持ちを抑える縁の表情にそれを言うことなく行ってこいと背中を押した。
「世話になったからな、俺も一緒に行くぞ。手伝えることがあれば何でも言え」
「ありがとうございます」
子どもたちが住みつくようになってからは疎遠になっていたが、以前は何度か会いに行き話したこともあった。
ならば最期に一言ぐらい挨拶したいと言えば、縁も反対することなく頷いてくれる。
「頑張るから……頑張ってくるから、帰ってきたらいっぱい甘やかして下さい」
本当は泣きたくてたまらないのだろう、普段とは違い固い表情に自分たちは側にいるからと抱きしめてやるのだった。
縁がこうして甘えるのは自分たち番だけだから。
甘やかしてくれと頼んでくるのは自分たちにだけだから。
町で面倒見ていたらしいヨナという少女のこともそうだが、こう短期間に人の死を2度も目にするのは精神的にもかなり辛いだろう。
その1人が知り合いともなれば辛さは増すばかりだ。
アレンたちもそうだがジークとて、縁に我慢などさせたくはない。
もう十分尽くしてやったじゃないかと、さらに面倒を見させるのかと、縁への普段が大き過ぎるじゃないかと言いたい。
泣きたいなら気が済むまで泣けばいいと言いたい。
無責任と言われようと縁さえ幸せであればジークたちはそれで構わないのだ。
死は誰しも逃れられないが、それも家族でもない他人の死まで縁が看取る必要があるのか?
悲しいと泣きたいのをなぜ縁ばかりが我慢しなければいけないのかと考えながらも、それを声に出し彼の意志を遮ることはしない。
それをすれば縁の中で何かが壊れる気がした。
誰にでも心を許す縁ではないが、誰より人との繋がりを彼は求めている。
その繋がりを否定すれば、縁はきっと自分を見失うだろう。
「縁のために俺たちがいんだよ。いくらでも頼れ。いくらでも甘えろ。悪いなんて思うな。躊躇うな。何があっても俺たちは縁を嫌ったりしねぇから。お前から離れてくことなんて絶対にしねぇ」
「当たり前だ」
「約束だろ?」
自分たちには何も遠慮することはないと伝えれば、漸く少し肩の力が抜けたように笑うのだった。
それから子どもたちには申し訳ないが再び留守にすることを伝え謝れば、意外にもアズが一緒に行きたいと言ったため共に連れて行くことにするのだった。
おかえりなさいと笑顔の子どもたちに縁も嬉しそうに笑っていた。
久しぶりに明日はみんなで出かけるかと話し合っていれば、マーガレットから連絡きたらしく席を外す縁に、しかしいくら待てども戻ってこないため様子を見にいけば………
「縁?どうした?」
誰かと話す様子もなく呆然と廊下に佇む縁に先にセインが近付いて行き、ジークも声をかけながらその後に続く。
「…………ジーク」
「あ?どうした?」
あまりに悪い顔色に何かあったらしいと察した。
「お婆さんが……亡くなったそうです」
「「…………」」
予期していたことだ。時間の問題だと。
何より縁も本人にそう言われたと辛そうな表情で以前話してくれた。
だがいくら覚悟していたと言っても実際にその知らせを聞き動揺しているのだろう、見れば手が震えていた。
それきり黙り込んでしまった縁に、そうかとだけ返すと抱き寄せ腕に抱え上げる。
俯きジークの肩に額を乗せたまま動かない縁に、セインも心配そうに隣りに腰かけた。
エルたちに子どもたちを任せたのか、アレンも合流してくると何も話さない縁に何かを察したのかセインとは反対隣りに静かに腰を下ろした。
「………ジーク」
「どうした?」
ふとかけられた声に返事をする。
「セイン……アレン……」
「ここにいる」
「ん?どうした?」
2人も名を呼ばれ、存在を知らせるように頭と背を撫でる手に肩が震えたのが分かった。
必死に深呼吸を繰り返し気持ちを落ち着かせると頭を上げる。
「行かないと。きっと子どもたちが泣いてます。だからーー」
「分かってる。帰ってきたらいくらでも付き合う」
「縁がもういらないって言うまで甘やかしてやるから」
悲しくとも縁が森にいる子どもたちを優先するだろうことはジークたちも分かっていた。
行かなくていいと言いたいだろうアレンたちに、しかし必死に気持ちを抑える縁の表情にそれを言うことなく行ってこいと背中を押した。
「世話になったからな、俺も一緒に行くぞ。手伝えることがあれば何でも言え」
「ありがとうございます」
子どもたちが住みつくようになってからは疎遠になっていたが、以前は何度か会いに行き話したこともあった。
ならば最期に一言ぐらい挨拶したいと言えば、縁も反対することなく頷いてくれる。
「頑張るから……頑張ってくるから、帰ってきたらいっぱい甘やかして下さい」
本当は泣きたくてたまらないのだろう、普段とは違い固い表情に自分たちは側にいるからと抱きしめてやるのだった。
縁がこうして甘えるのは自分たち番だけだから。
甘やかしてくれと頼んでくるのは自分たちにだけだから。
町で面倒見ていたらしいヨナという少女のこともそうだが、こう短期間に人の死を2度も目にするのは精神的にもかなり辛いだろう。
その1人が知り合いともなれば辛さは増すばかりだ。
アレンたちもそうだがジークとて、縁に我慢などさせたくはない。
もう十分尽くしてやったじゃないかと、さらに面倒を見させるのかと、縁への普段が大き過ぎるじゃないかと言いたい。
泣きたいなら気が済むまで泣けばいいと言いたい。
無責任と言われようと縁さえ幸せであればジークたちはそれで構わないのだ。
死は誰しも逃れられないが、それも家族でもない他人の死まで縁が看取る必要があるのか?
悲しいと泣きたいのをなぜ縁ばかりが我慢しなければいけないのかと考えながらも、それを声に出し彼の意志を遮ることはしない。
それをすれば縁の中で何かが壊れる気がした。
誰にでも心を許す縁ではないが、誰より人との繋がりを彼は求めている。
その繋がりを否定すれば、縁はきっと自分を見失うだろう。
「縁のために俺たちがいんだよ。いくらでも頼れ。いくらでも甘えろ。悪いなんて思うな。躊躇うな。何があっても俺たちは縁を嫌ったりしねぇから。お前から離れてくことなんて絶対にしねぇ」
「当たり前だ」
「約束だろ?」
自分たちには何も遠慮することはないと伝えれば、漸く少し肩の力が抜けたように笑うのだった。
それから子どもたちには申し訳ないが再び留守にすることを伝え謝れば、意外にもアズが一緒に行きたいと言ったため共に連れて行くことにするのだった。
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