二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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なぁに?

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 好きな色と聞かれて思いつくのは黄色。
 正しくは金色なのだろうが、小さい頃はそれを知らずずっと黄色だと言っていた。

 「ママこれも」

 「ありがとう。アズの好きな黄色ですね。きっと喜んでくれます」

 今日はママであるエニシの両親のお墓に行く予定だったのだが、何もないのは寂しいだろうと周りに飾る花を摘みに来ていた。
 弟たちはお墓と言われてもピンと来てないのか花を摘むことより楽しそうに駆け回って遊んでいる。

 「ケイはこれがいい」

 「そうですね。繋の好きな赤いお花も一緒に並べましょう」

 「うん!」

 自分の隣に並んで座り一緒に花を摘んでいた妹は兄弟の中でも特に自分に懐いてくれている。
 きれいねと言いながらママに似た顔で笑う妹がアズも大好きだった。
 もちろん一番はママだが。

 「これでさみしくない?」

 「ええ。きっと喜んでくれます。ママのママはお花が大好きでしたからね」

 アズもお墓というものがいまいち分かってはいなかったが、ママのママが眠っていると言われ手伝いたいと思ったのだ。
 
 「そうだ。久しぶりに花冠も作りましょうか」

 飾るならばちょうど良いと花冠を作ることにしたのだが、ケイも作りたいと言うので教えながら作っていく。

 「ん~~~わかんない」

 むずかしくてできないと泣きそうになる妹に、ならばと自分がそうして習ったように膝に乗せてやると手を伸ばしゆっくりと作っていく。
 出来なくてもママは怒らないだろうがしたいと言うならば手伝ってやりたい。

 「ここをこうして……」

 「こう?」

 「そう」

 自分も最初は上手く出来なかった。
 何度も失敗したが、怒ることも呆れることもなく教えてくれたママにより今では特技と言えるほど上手くなっている。
 時間がかかりながらも完成した花冠にできたと喜びママに見せていた。

 「上手に出来ましたね。それにアズは繋に教えてくれてありがとう」

 「ア……ボクもママがおしえてくれたから」

 「そうですね。覚えていてくれて嬉しいです」

 おいでと広げられた腕に飛び込めばギュッと抱きしめられた。
 妹も弟も出来、兄として頑張らなければと思っているがこうして温かい腕に抱きしめられるのはやはり嬉しく心地良い。
 
 「ずるーい!ケイも!」

 「アイもー!」

 「シンも」

 次々と抱きついてきた妹弟たちに耐えきれず倒れ込めば笑い出したママに皆もつられて笑い出す。
 昔が嘘かのような幸せな毎日。
 冷たい檻の中入れられていたのが夢だったかのように温かい家で、たくさんの家族に囲まれ過ごす日々が嬉しく幸せだ。
 時々これは本当に夢で自分はまだあの檻の中にいるのでは思うこともあるが、こうして抱きしめられる度に現実なのだとほっとする。
 毎日のように笑い、大好きだと言ってくれるママにもう捨てられるのではという不安はない。
 弟たちが出来ても変わらず大切な家族だと言ってくれた。

 「こらお前ら。ママを潰す気か?」

 「「「「パパ!」」」」

 抱きつき寝転ぶアズたちにジークとセインが笑って抱き抱えてくる。
 倒れていたママにはアレンが助け起こしていた。
 
 「花は集められたか?」

 「ええ、たくさん。子どもたちが頑張ってくれました」

 ね?と言われ頷けばよくやったと頭を撫でられた。
 彼らも自分たちの子と変わらず自分に接してくれる。
 
 「なので先にご飯にしましょうか。お腹を空かせたままじゃ出来るものも出来なくなりますからね」

 「「「やった~!」」」

 他をあまり知らないがママのご飯にマズいものはない。
 刷り込まれた味覚は今日も元気だった。
 それから皆で食事を済ませると墓に向かい摘んできた花を飾る。

 「墓って何の意味があんの?」

 そんな兄であるエルの問いに怒るでもなく説明してくれる。
 自分もいまいち分かっていなかったため聞き耳を立てていた。

 「一般的には亡くなった方を供養するためですね。けど私の場合は…………そうですね、安心したかった、して欲しかったというのが本音です」

 「安心?」

 何を不安になる必要があるのかと思っていれば……

 「きちんと挨拶出来ませんでしたから私を愛してくれた2人に。全てじゃなくてもいいから分かって欲かったんです。もう会えないのは寂しいけど私は元気でやってますよって。自己満足ですけど分かってもらえたら嬉しいなって」

 本当にそう出来ているかは分からない。
 けれど何もしないよりは自分も、もしかしたら近くで見守ってくれているかもしれない両親も安心出来るのではないかと。
 
 「そっか。エニシの両親ならオレも会って見たかったな」

 「私も会わせてあげたかったですね。きっと喜んでくれましたよ。自慢の家族を見せられなくて残念ですが、だからこそこうしてここで見守って欲しくて作ったんです」

 その自慢の家族という中に自分も入っているというならとても嬉しい。
 顔を上げればそうだと言うように微笑まれ泣きそうになった。
 当たり前に家族だと言ってくれるママにアズも笑って頷き返すのだった。





 

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