二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

文字の大きさ
上 下
150 / 475

いい子

しおりを挟む
 やはりというか何というか…
 気絶するように眠った縁が目を覚ましたのは翌日の昼頃だった。
 力が入らない下半身に、とりあえず原因であるアレンに文句を言いつつ部屋まで運んでもらう。

 「繋の世話はアレンに任せましたからね」

 「分かった。ごめん」

 本当は怒ってないのだが、動けない自身に代わり繋の世話を頼んだ。

 「ママ、えほんよんで」

 「アズ、今縁は動けなーー」

 「いいですよ。おいで」

 腰が辛いだけなので、壁にもたれながらならば問題ない。
 ベッドに登ってきたアズを膝に乗せてやり、絵本を開く。

 「アズはアリスが好きですね」

 「おなじなの」

 縁的にはあまり魅力を感じる物語りではないが、アズにしても話しより白いウサギが好きなだけなのでそれならいいかと読んでやる。
 実の母親には嫌われた白髪ではあるが、これで少しでも好きになってくれるならいくらでも読んであげようと思う。
 
 「迷ったアリスはーー」

 「縁!繋が泣き止まない!」

 先程から泣いているなぁとは思っていたが、アレンの頑張りに期待したのだがダメだったようだ。
 大声で泣く繋を抱えて駆けてくるアレンに苦笑いしつつ受け取ろうとするがーー

 「だめ!ママ、アズとえほんよんでるの!」

 「「アズ?」」

 普段我儘らしい我儘を言わないアズに珍しく、ダメだと抱きついてくる姿にアレンと2人驚く。
 
 「アズ?絵本なら繋が泣き止んだら読んであげーー」

 「やー!アズのママなの!」

 離れる様子のないアズに戸惑いながらも、最近はあまり構ってあげられてなかったなと思い出す。
 困り果てるアレンに隣に腰掛けるよう促すと、片手を繋に伸ばし、片手はアズを抱える。
 
 「そうですね。今はアズとの時間なので、一緒に絵本を読みましょう。ただ私はアズを抱っこしていたので絵本はアズがめくってくれますか?」

 「うん!」

 片手で泣く繋を撫でつつあやし、片手は本を支えてページはアズにめくってもらう。
 ここで待っててくれというのは簡単だが、それではアズが可哀想であり自分が後回しにされたと思ってほしくもない。
 自身がお腹を痛めて産んだ…わけではないが、血が繋がっておらずともアズも大切な我が子なのだ。
 心配顔のアレンに笑いつつ、アズと約束通り絵本を読んでいれば繋も落ち着いたのか縁の指を握りながら再びスヤスヤと眠りについた。

 「アズは繋が好きですか?」

 「………うん」

 返事が遅れたのは気になるが、それでも嫌いとは言わなかったことに安心した。

 「何が嫌なことがありましたか?」

 「……ママ…けいばっかりなんだもん。アズもママといたい」

 やはり不安にさせていたらしい。

 「ママ、アズいらない?」

 「いいえ。私はアズがいてくれてとても嬉しいですよ。繋も大切ですが、アズも私の大切な家族です。それともアズはこんなママは嫌になりましたか?」

 「ならない!アズ、ママすきだもん!」

 「私もアズが大切で大好きです。だからずっと一緒にいて下さいね」

 「うん!」

 ギュっと抱きしめればアズも笑って抱きしめ返してくれる。

 「繋も私の子ですからね。きっとアズのことも好きですよ。お兄ちゃん大好きって言って私と遊んでくれなかったらどうしましょう」

 「アズ、アズいるよ!」

 冗談で言っただけなのだが、焦って自分がいるから大丈夫と言ってくれるアズが可愛くて仕方ない。

 「そうですね。アズがいればーー」

 「パパもいるからな!」

 「………」

 何だろう。何と言うか……え?今入ってくるの?という感じ。

 「そう、ですね。とりあえずパパはその大声で目を覚ました繋に謝って下さい」

 泣いてはいないが、驚いたように目をパチクリさせている繋に謝ってほしい。
 せっかく大人しく寝てくれていたのに。

 「繋、ご、ごめんな」

 「ダメなパパですねぇ」

 「いいこ、いいこよ」

 呆れつつ必死にあやすアレンを見ていれば、アズが手を伸ばし繋の頭を撫でていた。
 安心したかのように再び眠りにつく姿に驚く。

 「……分かるのか?」

 何がとは分からないが、何かを感じたのだろう。

 「そういえばお腹にいる時も分かってましたからね。何か通じるものがあるのかもしれません。さすがお兄ちゃんですね」

 「俺は?」

 「……パパですよ」

 「その間は!?」

 「パパ、めっ、よ」

 「はい。ごめんなさい」

 可愛い。とても可愛い。
 シュンと耳が垂れ下がるアレンも可愛いく、まだ幼いのにお兄ちゃんとして妹を守ろうとするアズも可愛い。
 真剣な2人には悪いが、縁はとても幸せだなぁと感じるのだった。

 「アズがいてくれて助かりましたね」

 「……だな」

 先程までの不安そうな顔はどこへやら、いい子いい子と繋を撫でるアズの姿は頼もしいお兄ちゃんだった。

 「これなら私も楽できそうですね」

 「いや、それは違うだろ」

 ですよね。
 半分は冗談だ。半分は。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】白い塔の、小さな世界。〜監禁から自由になったら、溺愛されるなんて聞いてません〜

N2O
BL
溺愛が止まらない騎士団長(虎獣人)×浄化ができる黒髪少年(人間) ハーレム要素あります。 苦手な方はご注意ください。 ※タイトルの ◎ は視点が変わります ※ヒト→獣人、人→人間、で表記してます ※ご都合主義です、あしからず

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

雪狐 氷の王子は番の黒豹騎士に溺愛される

Noah
BL
【祝・書籍化!!!】令和3年5月11日(木) 読者の皆様のおかげです。ありがとうございます!! 黒猫を庇って派手に死んだら、白いふわもこに転生していた。 死を望むほど過酷な奴隷からスタートの異世界生活。 闇オークションで競り落とされてから獣人の国の王族の養子に。 そこから都合良く幸せになれるはずも無く、様々な問題がショタ(のちに美青年)に降り注ぐ。 BLよりもファンタジー色の方が濃くなってしまいましたが、最後に何とかBLできました(?)… 連載は令和2年12月13日(日)に完結致しました。 拙い部分の目立つ作品ですが、楽しんで頂けたなら幸いです。 Noah

偽物の番は溺愛に怯える

にわとりこ
BL
『ごめんね、君は偽物だったんだ』 最悪な記憶を最後に自らの命を絶ったはずのシェリクスは、全く同じ姿かたち境遇で生まれ変わりを遂げる。 まだ自分を《本物》だと思っている愛する人を前にシェリクスは───?

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

【完結済】(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。

キノア9g
BL
完結済。騎士エリオット視点を含め全10話(エリオット視点2話と主人公視点8話構成) エロなし。騎士×妖精 ※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。 気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。 木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。 色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。 ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。 捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。 彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。 少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──? いいねありがとうございます!励みになります。

迷子の僕の異世界生活

クローナ
BL
高校を卒業と同時に長年暮らした養護施設を出て働き始めて半年。18歳の桜木冬夜は休日に買い物に出たはずなのに突然異世界へ迷い込んでしまった。 通りかかった子供に助けられついていった先は人手不足の宿屋で、衣食住を求め臨時で働く事になった。 その宿屋で出逢ったのは冒険者のクラウス。 冒険者を辞めて騎士に復帰すると言うクラウスに誘われ仕事を求め一緒に王都へ向かい今度は馴染み深い孤児院で働く事に。 神様からの啓示もなく、なぜ自分が迷い込んだのか理由もわからないまま周りの人に助けられながら異世界で幸せになるお話です。 2022,04,02 第二部を始めることに加え読みやすくなればと第一部に章を追加しました。

王太子殿下は悪役令息のいいなり

白兪
BL
「王太子殿下は公爵令息に誑かされている」 そんな噂が立ち出したのはいつからだろう。 しかし、当の王太子は噂など気にせず公爵令息を溺愛していて…!? スパダリ王太子とまったり令息が周囲の勘違いを自然と解いていきながら、甘々な日々を送る話です。 ハッピーエンドが大好きな私が気ままに書きます。最後まで応援していただけると嬉しいです。 書き終わっているので完結保証です。

処理中です...