二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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挨拶

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 「さぁ、行きましょう!」

 そんな縁の言葉に部屋に入ろうとしていたジークは手を止めた。

 「いやいや、どこにだよ」

 「え?おばあさんに会いにですけど……あれ?言ってませんでしたっけ?」

 聞いてない。
 準備万端とばかりに繋とアズ、スノーを連れた縁に、しかしそんなこと聞いてないぞと文句を言う。

 「あれ?昨日言ーーあ、言ったのはセインでした。すいません」

 言ったは言ったようだが、相手が違ったらしい。

 「えーと、ならエルにでも頼みーー」

 「今準備すっから待ってろ」

 1人で行こうとしないのはまだいいが、エルは場所を知らない上、ならば自分がと縁が道案内すれば迷うことは確実である。
 どうせ休みなのだ、予定があるわけでもないので問題ない。
 素早く準備すると、縁たちを抱え隠れ家を後にした。

 「アズたちは何色が好きですか?」

 「うーん、うーんとね…し…きいろ!」

 「白じゃないんですか?」

 「しろ、もすき。でもママのいろだから」

 なるほど。
 縁の金色の瞳をどうやら黄色と言ったようだ。

 「ありがとう。あ、スノーは白ですね。ではこれも入れて……完成!」

 「アズもできた!」

 スノーが咥えてきた白い花も入れ、花束と花冠を作る。
 以前喜ばれたため、また作って持っていこうということなったのだ。
 眠る繋にも小さな花冠を作って被せてやっていた。

 「ジークも欲しいですか?」

 「いらねぇ」

 繋を見つめていれば、何を思ったのか欲しいのかと聞かれた。
 可愛いなと思っていただけで羨ましいなど思ってなんかいないと言えば、笑って冗談ですと言われる。
 仕返しに軽く小突いておいた。

 「こんにちは」

 「あらあら、可愛いお客さんね。それにたくさん。嬉しいわ」

 迷うことなく着いた女性の家に、さすがジークですと謎の感心をされつつ中に入る。

 「今日はご挨拶とご報告にきました」

 「……こんにちは」

 縁の後ろに隠れながらもアズが挨拶すれば、スノーも驚かせないようにか小さく頭を出しながら頭を下げている。

 「あらあらあら、こんにちは。また来てくれて嬉しいわ。そっちの子は初めてね。大丈夫よ、怖くないわ」

 それなりに大きく育ってきたスノーにも怖がることなく笑顔で挨拶してくれた。

 「あと、最近産まれた子で繋と言います。私の子です」

 「あら?エニシさんの子?」

 やはり男が産むという考えがないため混乱しているようだ。

 「少々特殊な状況なんですが、ちゃんと私がお腹を痛めて産んだ子です」

 「……そうなの、頑張ったのね。とても可愛い子だわ。女の子かしら?」

 「はい」

 やはりというか彼女は何も言うことなく、縁が産んだというのを受け入れたようだ。

 「こんなに可愛いなら将来大変ね。お父さんも今から心配なんじゃない?」

 「……まぁ」

 こちらに話しかけてくるとは思っておらず、反応が遅れたがジークのことを繋の父親と思っているようだ。

 「そうなんですよ。これでこの子が一生1人だったらどうするんだと言い聞かせてます」

 縁も否定することはなく、ジークが親バカになりつつあることを注意してきた。
 
 「俺は、変な虫がつかないようにだなーー」

 「はいはい。そんなこと言って…もしかしたらいい虫…じゃない、いい人かもしれないでしょ?それに気が早すぎます」

 「………」

 過保護であることは自覚しているため言い返せない。
 そんなジークたちを彼女は笑っていた。
 人様の前でする話しではないと思い、戸惑い縁に張り付いているアズを見ると預かっていた花冠を渡してやる。

 「お前が作ったんだから自分で渡せよ」

 「………あげる」

 まだ慣れていないようだが、アズは嫌がることなく歩いていくとちゃんと作った花冠を渡していた。

 「まぁ、私に?ありがとう。エニシさんが言っていた通りね、とても上手だわ」

 「ママがおしえてくれたの」

 「そうなの、すてきね。ちゃんと飾るわね」

 褒められて嬉しいのか緊張しながらも嬉しそうに頷いていた。
 それからみんなでお茶を飲み、たわいない話をしながら普段1人では出来ないだろう力仕事などを手伝った。
 主にジークが。

 「本当に助かったわ。ありがとう。良かったらまた遊びに来てちょうだい、もちろんみんなでね」

 「ありがとうございます」

 「ありがとう」

 お土産にとたくさんの採れたて野菜をもらい帰ろうとしたのだが、またもや縁が突拍子も無いことを言い出した。

 「狩りに行きましょう」

 「……理由は?」

 「筋肉作りのために」

 「………」

 狩り=筋肉という発想が理解できない。

 「ジンさんが筋肉作りにはお肉を食べればいいと言っていました」

 余計なことを言ってくれたものだ。
 そんなことしなくていいと言いたかったが、縁の張り切りようと、よく考えればそんなに量が食べれない縁には無理だろうと開き直り付いて行くのだった。

 「というか、アイツ狩りなんてしたことあったか?」

 ズンズンと進んでいく縁に、そんな探し方で見つかるわけないだろと思ったが言わないでおく。
 見つかっても問題ないのだが、どうせなら見つからないことを祈るのだった。
 

 

 
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