二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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え?

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 残すは魚のみ!いや出来れば昆布なんかも……
 町で大豆と麹を手に入れた縁は早速味噌作りを始めたが、味噌は出来てもすぐ完成というわけではなく一年程寝かせなければいけないため樽に出来た味噌を詰めると、なるべく部屋の隅の暗く冷える場所に置いといてもらった。
 ではその間に魚を!と思ったのだ。
 もちろん町にも魚は売ってはいるのだが、所謂川魚というものばかりで海で獲れるような大きめの魚がなかったのである。
 希望は鮭。
 やはり白飯に焼き魚と言えば鮭だろう。

 「ここら辺で海ってありますか?」

 「……帰っきてまた何か作ってると思えば、次は魚かよ」

 帰っきてすぐ調理場に向かった縁は、普段のトロさがどこへやらパッパッと味噌作りを済ませるとジークの部屋へ突撃していた。
 セインも未だ縁の側を離れず、部屋へ訪れる途中アレンにも抱きつかれてしまい現在ソファーの両隣を2人に挟まれて座っている。

 「俺も魚は好きだな」

 「俺は肉!」

 「2人の好みはさておき私は海で魚を捕獲したいです」

 「……そうか」

 もうどこからツッコンでいいのやらとジークが溜息をつく。

 「お前の話しは分かった。分かったが、良い機会だからお前たちに言っておきたいことがある。アズの前でするのもなんだからな」

 「……魚」

 魚を諦めきれない縁にジークは後でなと言うと、この前言えなかったという番の話を始めた。

 「俺も縁の番になったわけだが、先に言っておくが俺にはもう発情期はない」

 「え?」
 「は?」
 「あ?」

 発情期がない?
 それは……どういうことだろう?

 「前に…エリーが死んだ辺りから、まぁ、その、来なくなってな。普通に溜まるし、勃つには勃つんだが獣人にとっての発情期はなくなっちまった」

 「「「………」」」

 これは縁としては負担が減って喜ぶところなのか、獣人として発情期がなくなってしまったジークを心配したほうがいいのか分からない。

 「別に病気じゃねぇからな。ただお前らみたいに発情期はねぇからその分縁に負担はかけねぇし、お前らが発情期の時のアズの面倒は俺が見てるから心配すんなって言いたかったんだよ」

 心配するなとジークは笑っているが本当に大丈夫なのだろうか?
 
 「どこか身体に不具合はないんですよね?」

 病気ではないと言っていたが精神的なものだろうか。

 「ねぇよ。この前十分分からせてやっただろ」

 この前の外での行為を思い出してしまい、ボンと縁の顔が真っ赤になる。

 「そんな反応しても可愛いだけだぞ。そうだな……心配してくれるなら発情期とは言わないが偶にでいいから数日縁を独り占めさせてくれ」

 まぁヤルことは同じなのだか、発情期ではないためジークには意思があるのでまだ負担は少ない……はず!

 「アンタは…それでいいのか?」

 やはりアレンも心配なようだ。

 「いいんだ。俺ももう歳だしな。そりゃ縁に関しては我慢が出来ん時もあるが、俺は縁と一緒にいられることがなにより嬉しい。だから、まぁ、偶にでもいいから縁を俺にくれ。その期間はお前たちに任せる」

 「……わかった」
 「……おう」

 さすがにこうまで言ってくれると思ってなかったのか、アレンたちも申し訳なさそうだ。

 「ちなみにジークは何歳なんですか?」

 「あ?49だな」

 もうすぐ50歳になろうとあの性欲!
 獣人とは死ぬまで現役なのだろうか?
 そんな恐ろしい仮説を縁が立てているとは知る由もなく、アレンたちは話を進めていく。

 「セインがもうすぐなんだろ?アズは俺が面倒みるがアレンは大丈夫なのか?」

 「大丈夫……じゃないけど我慢する。セインが終われば次は俺の番だからな」

 私…死にませんよね?
 セインの発情期が終われば、今度はアレンの発情期が待っているなど絶望感がすごい。

 「俺は長いならな。ギリギリまで我慢するけど縁は動けなくなる覚悟はしておいてくれ」

 どうやって?
 そんな覚悟したことないです。
 毎回致した後動けなくなってますがそれ以上?
 それもはや死体では?

 「だな。まぁその為にも魚を探しに行くか」

 ジークがそう言ってくれたが、先程までの勢いはどこへやら海に行くことさえ絶望への始まりだと感じてしまう。

 「縁?どうした?行きたかったんだろ?」

 セインが優しく語りかけてくるが、まるで悪魔の囁きのようだ。

 「……イキタイデス」

 思わずカタコトになってしまったのは仕方がない。

 「だな。アズも連れてみんなで行こうぜ」

 町からは遠いようだが、この人里離れた山奥からはそんなに離れてはいないらしい。
 とは言え、距離はそれなりにあるのでそこは獣人の脚力に頼るしかないのだが。

 「なら明日の早朝だな。今から準備しておけよ」

 そこで解散になり、呆然としたまま食堂へ向かう。

 「ママ!」

 縁を待ってくれていたのか見つけた途端走り寄ってきたアズを受け止めるとギュッと抱きしめる。
 もはやアズだけが縁の癒しだった。

 「…待たせてしまいましたね。ご飯の準備は出来ているみたいなので約束のジュースだけ作りましょうか」

 「つくる!」

 量がいるので木で出来たピッチャーに水をなみなみと注ぐと朝作ったシロップを足していく。
 混ぜるのはアズに任せれば楽しそうに菜箸なようなもので混ぜていた。

 「できた?」

 「えぇ完成です」

 出来上がったものを食堂へ運べば各々のコップへ注いでいく。
 数があったため途中サッズに代わってもらい、ジークたちにも配れば美味いなとゴクゴク飲んでいた。

 「アズが手伝ってくれましたからね。とても美味しいです」

 ありがとうと頭を撫でてやれば、また作りたいと言ったので次もお願いすることにした。
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