緒詩莉ちゃん

パカこい

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Episode3~はじめてのペンペン~

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 私、『緒詩莉』が初めて母に『お尻』をたたかれた日。それは5歳の年長のときでした。

 その日、母が1週間くらい前に受診していた健康診断の結果を聞きに、母と姉、そして私の3人で病院へ行ったときのことです。電車やバスを乗り継いで病院へ行くのですが、普段の近所のお買い物と同じようなテンションで、お出かけできるのがとても楽しく、つい姉と一緒に人目を憚らずはしゃいでしまいました。バスに乗っても病院の待合室にいてもキャッキャとしていたので、


「こら!おとなしくしていなさい!」
「病院では大きな声を出さないの!」


 当然、母に注意されます。しかし、それよりも楽しい方が勝ってしまい、何分か後には姉と私の声がその場にこだましていました。すると、


「ちょっと来なさい!」

 待合室の椅子から腰を上げた母に外の誰もいないところへ連れて行かれると、

 ぱんっ! ぱんっ!

 とズボンの上から私と姉のお尻を1回ずつ叩いたのです。そして、

「帰ったら、二人ともペンペンね。」


 そう宣告されました。ここで、以前のことを思い出したのです。
 ペンペンって、お尻ペンペンのことだよね?。あの、お姉ちゃんが涙を流していた『おしり』へのおしおきだよね?。
 私は急に不安になってしまい、母が先生と話しているときに、少しうつむいてる姉にたずねました。


「私たち、お尻ペンペンされちゃうの?」
「・・・うん。」


 姉はお仕置きを経験済みなので『おしり』がこのあとどうなるのか予想できていたみたいですが、私にはまだそれが分かりませんでした。


「もう、『緒詩莉』が騒ぐようにするから、こうなっちゃったんだよ」
「だって~~」

 会計を済ませて外へ出たところで母の機嫌をうかがいました。

「ママ・・・」
「帰ったら、『緒詩莉』の『おしり』を見てみましょう」


 母は明らかに怒っていました。普段は「緒詩莉ちゃん」って言うのに、今回は「緒詩莉」。病院からの帰り道は、行きとは正反対の重い空気が漂っていました。

 家に着き、手洗いうがいを済ませたあと、母と姉は当たり前のように和室へ向かいます。私も二人のあとを追いました。和室の無音で張りつめた空気が私たちを包みます。


「分かってるわね。二人ともお尻出してみなさい!」
「・・・」
「緒詩莉は初めてだったわね。お姉ちゃんの真似をしなさい!」


 姉はモゾモゾと穿いていたズボンとパンツを脱いで、母に渡しました。怖くなった私ですが、それに抵抗するような雰囲気ではないので、姉と同じようにして下はすっぽんぽんになります。


「緒詩莉、お尻をママに見せてみなさい。」


 母にお尻を向けるとピチピチと手を当てて、


「緒詩莉のお尻は悪い子のお尻だわね。ペンペンして良い子にしないと!」
「ごめんなさい…」
「ダメよ!さあ、四つん這い!」


 よつんばいが分からない私ですが、隣で姉は両手と両膝を畳につきました。おしりを母に突き出す格好です。すかさず、私も真似をしました。そして、

 ペチーン!

 と大きな音がします。あれ、痛くない…。叩かれたのは、姉のおしりでした。しかし、次の瞬間、

 ペチーン!

「うぁ!」

 私のおしりにもお見舞いされました。思わず、右手でおしりをかばいます。

「緒詩莉!手は床!」

 おしおき中は、おしりをさすることは許されないようです。

 ペチーン! ペチーン!
 ペチーン! ペチーン!

 母は交互に叩いていき、音がする度にどちらかの顔が歪みました。

 ペチーン! ペチーン!
 ペチーン! ペチーン!

 10回ぐらい叩かれたでしょうか。おしりがジンジンと痛んできたところで、

「もういいわよ」

 と母の許しがおり、おしおきが終わりました。四つん這いを直りおしりに手をやると、痛みでヒリヒリと熱をもっていました。隣の姉のお尻を見てみると、色漬けされていることが分かります。

「あ、お姉ちゃんのおしり、あかーい」
「緒詩莉だって同じでしょ!」

 すっかり、いつもの雰囲気に戻りました。
 母から服を返してもらうと、すかさず着替えをすませて元通りになる私たち。その日の夕食、いすに座ったときのおしりの痛みは忘れられないものとなりました。

(続)
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