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白銀ハルと鋼の蝗虫
5-1 取引は夜の闇の中で
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「確かに、頼んでいた情報だ」
「当たり前でしょ、情報を売ってるんだもの、適当な事やってたら誰も依頼してくれないわ」
深夜、山奥にあるゴミの埋め立て地。そこに数人の黒服の男たち。そしてその向かいには女性らしい花柄のコートとロングスカートを身に着けた女性が一人、その顔は目元が隠れるマスクで分からない。
彼女は情報屋、白銀ハル。
「貴方達のシマで好き勝手やってる外国人集団、その人数とメインのアジト、その情報、しっかりお届けよ」
「ああ、オイ! 渡してやれ」
黒服集団のリーダーと思わしき男が顎で後ろの男に指示をだす。へいっと返事をした男が分厚い封筒を持ってハルに近付いて手渡す。
「ん、確かに」
ハルは指で軽く封筒の口を開き中を確認した。
「それじゃあお仕事完了と言う事で、私達お互いの事は忘れて、さようなら」
淡々と告げてハルは男達を背にして歩き出す。
「おい! お嬢ちゃん、本当に一人で来てんのかい? ちょっとは考えねぇのか? 今お嬢ちゃんを黙らせてその辺にゴミと一緒に埋めちまったら、その分厚い封筒は俺の懐に帰ってきてくれ訳だ・・・」
リーダーらしき男は強い口調で言った。ハルは立ち止まる。
「・・・・・・・・やるなら、いいけど?」
首だけで振り返ったハルの目は怪しく、そして少し楽しそうに男を見つめる。見つめられた男は全身を触手で絡めとられている様な悪寒を感じ、服の下を冷や汗が伝う。
「へ、へへ、冗談だ・・・・伊達に裏で情報屋やってねえってか・・・」
悪寒を振り払い振り絞る様に男は言った。
「あら、残念」
ハルは気にしていないようにまた歩きだそうとする。しかしまた後ろから男の声で呼び止められた。
「お嬢ちゃん! すまねえな! 舐めてかかった詫びに一つおまけだ!」
「?」
「最近"情報屋octo"|《オクト》、あんたの事を嗅ぎまわってる奴がいる、もちろん俺達はあんたの事をゲロっちゃいねえ、だが中々物騒な手を使ってこの辺の輩を調べて回ってるみたいだ、気をつけな!」
「ふーん・・ 最近敵を作るようなトラブルのある仕事は無かったと思うけど・・・・ま、いいわ、忠告ありがとう」
男達に手を振りながら、今度こそハルは帰っていった。
「なあ・・・・おまえら・・・・」
リーダーの男は後ろの男達に呟いた。
「へ、へい?」
何事かと少し緊張する男達。
「めちゃくちゃナイスバディだったな・・・」
「・・・・はい」
暫く男達は夜の闇の中鼻の下を伸ばしていた。
「当たり前でしょ、情報を売ってるんだもの、適当な事やってたら誰も依頼してくれないわ」
深夜、山奥にあるゴミの埋め立て地。そこに数人の黒服の男たち。そしてその向かいには女性らしい花柄のコートとロングスカートを身に着けた女性が一人、その顔は目元が隠れるマスクで分からない。
彼女は情報屋、白銀ハル。
「貴方達のシマで好き勝手やってる外国人集団、その人数とメインのアジト、その情報、しっかりお届けよ」
「ああ、オイ! 渡してやれ」
黒服集団のリーダーと思わしき男が顎で後ろの男に指示をだす。へいっと返事をした男が分厚い封筒を持ってハルに近付いて手渡す。
「ん、確かに」
ハルは指で軽く封筒の口を開き中を確認した。
「それじゃあお仕事完了と言う事で、私達お互いの事は忘れて、さようなら」
淡々と告げてハルは男達を背にして歩き出す。
「おい! お嬢ちゃん、本当に一人で来てんのかい? ちょっとは考えねぇのか? 今お嬢ちゃんを黙らせてその辺にゴミと一緒に埋めちまったら、その分厚い封筒は俺の懐に帰ってきてくれ訳だ・・・」
リーダーらしき男は強い口調で言った。ハルは立ち止まる。
「・・・・・・・・やるなら、いいけど?」
首だけで振り返ったハルの目は怪しく、そして少し楽しそうに男を見つめる。見つめられた男は全身を触手で絡めとられている様な悪寒を感じ、服の下を冷や汗が伝う。
「へ、へへ、冗談だ・・・・伊達に裏で情報屋やってねえってか・・・」
悪寒を振り払い振り絞る様に男は言った。
「あら、残念」
ハルは気にしていないようにまた歩きだそうとする。しかしまた後ろから男の声で呼び止められた。
「お嬢ちゃん! すまねえな! 舐めてかかった詫びに一つおまけだ!」
「?」
「最近"情報屋octo"|《オクト》、あんたの事を嗅ぎまわってる奴がいる、もちろん俺達はあんたの事をゲロっちゃいねえ、だが中々物騒な手を使ってこの辺の輩を調べて回ってるみたいだ、気をつけな!」
「ふーん・・ 最近敵を作るようなトラブルのある仕事は無かったと思うけど・・・・ま、いいわ、忠告ありがとう」
男達に手を振りながら、今度こそハルは帰っていった。
「なあ・・・・おまえら・・・・」
リーダーの男は後ろの男達に呟いた。
「へ、へい?」
何事かと少し緊張する男達。
「めちゃくちゃナイスバディだったな・・・」
「・・・・はい」
暫く男達は夜の闇の中鼻の下を伸ばしていた。
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