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デコピン

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「よしっ!アップ。」

「「終わった~。」」

「今回は緊張したよ~。」

新しい曲の投稿を終え四人は解放感を味わっていた。

「前回よりも再生回数が増えたら嬉しいな。」

あまり期待はせずに笑い合った四人は昼の屋上でまったり過ごした。

一週間後、コメント確認の為に自室でサイトにアクセスした皐月は動画の再生回数をみて目を見開いた。
思わずスクショして四人のグループチャットに送り付けるとすぐに二つの既読がついた。

皐<まさかの再生回数1万!!>
拓<スゲェェェ。マジで信じられんwww>
皐<私も二度見したわ>
雪<こんないくと思わなかったよ>
皐<話てたら落ち着いてきたわ。寝る!>
拓<自由か!>
雪<おやす~>

すっかり興奮の冷めた皐月は眠さに負けコメントの確認は明日にし熟睡した。
そんな皐月とは対象的に拓海は興奮して眠れぬ夜を過ごし、大きなクマをつくり登校するはめとなった。

「おはよ~。拓海顔が酷くない。」

「皐月…それ悪意の塊だろ。」

「バレた。」

「拓海おはよ~。昨日寝てたから今朝スマホ見たんだよね。一万とかすごいよね~。」

「ああ。凄いよな!俺寝れなくて徹夜で曲作ってたよ!!」

「それも凄いね~。」

HRが終わると爆睡しはじめた拓海を皐月は呆れた顔で見ていた。
そして夢の中へ旅立ち半日経っても戻ってこない拓海を昼休みになった時点で皐月が起こした。

「痛ってぇ…。女なら優しく起こしてくれよ。」

「起こしてあげたんだから文句言わないでよ。」

拓海は赤く腫れた額を擦りながら歩いた。
皐月が強烈なデコピンを拓海にお見舞する姿を見ていた要はその威力に少し引いていた。
屋上に着くとすでに雪斗が来てご飯を食べていた。

「雪斗!聞いてくれよ。皐月のやつ俺の安眠をめっちゃ強力なデコピンで台無しにしたんたぜ!」

「だ~か~ら~。親切心でしょ?それに男からしたら大した事ないわよ。ねぇ?要もそう思うでしょ?」

「ノーコメント。」

「女の子のデコピンくらいでたっくんは大袈裟だな~。」

「そうだよね?雪斗もそう思うよね!」

「じゃあ雪斗受けてみろよ!!」

雪斗はなんのことも無く皐月に頭を近づけた。
皐月は拓海の時と同じように指を弾いた。
するとドスッと鈍い音と共に雪斗が倒れ額を抑えながら悶絶し始めた。

「イ゛ッテェー!!!んだコレ!!!」

「だから言っただろ!」

「動画の件よりこっちの方が強烈な件。」

「俺も一瞬綺麗な花畑が見えたぜ。」

「大袈裟ね~。」

「「ちげーからっ!」」

おデコを腫らした二人に要はそっと冷えピタを渡した。
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