忘却の檻 〜あなたは誰〜

ぐう

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「それからお嬢様は自ら公爵家に行かれる事は無くなりました。旦那様に無理矢理連れていかれる時だけ渋々従ってらっしゃいました」

「無理矢理連れて行かれて、レオンハルトとは対面したの?」

「私はお側で控えてるだけなので、お言葉全て聞こえるわけでは無いのですが、レオンハルト様はお嬢様にお言葉をおかけすることもなく、お二人で旦那様が帰るとお戻りになられるまで無言でした」

 おや レオンハルトが言ってたことと違う。レオンハルトは後悔したとか言ってなかった?そのまま無視を続けたわけだ。

「それからお嬢様を旦那様が無理矢理連れていくと、レオンハルト様はおいでにならないことが多かったのです。その内旦那様も諦めて、お嬢様を連れて行かれなくなりました」

 なぜ、レオンハルトがユリアを避けていると分かったのに婚約解消してくれなかったのだろうか。娘への愛より恩人で親友の方が大事だったのだろうか。一度父親という人にも会って聞いてみたい。私はユリアと違って我慢しない。ユリアの人生を真っ暗にした人をはっきり非難してやりたい。

「ノンナは今日帰らないといけない?」

「いいえ クラウス様からお嬢様がすぐ帰って来れないなら、そのままお嬢様付きの侍女に復帰してもいいと言われましたので荷物は持ってきました」

 レオンハルトは嫌がってたけれど、ほとんど過去は暴露されたも同然だし、過去を知ってるノンナがいた方が楽だ。レオンハルトが帰ってきたら懇願してみよう。

「今夜はレオンハルトは戻らないけれど、戻ったらレオンハルトにノンナの復帰を頼むわ」

 机の上の卓上ベルを鳴らしてリリーを呼ぶ。

「実家から子供の頃から使えてくれた侍女が来てくれたの。今日から彼女が私の身の回りの世話をするので、リリーはそれ以外の仕事に戻って、ノンナと言うのだけど彼女の部屋を用意して」

 リリーはちょっとびっくりしたようだが、女主人の言いつけは絶対だ。

「かしこまりました。それではそちらの方に邸内の案内と他の使用人にお引き合わせいたします。使用人部屋にも案内させていただきます」

「よろしくお願いします」

「こちらへどうぞ」

 二人が客間から出て行った。
 それにしても、ユリアの父親のことは大体分かったが、母親の話が不自然な程出てこない。どんな人なのだろう。よくいる夫に逆らえない大人しい夫人なのだろうか。
 これもノンナに聞いてみたい。
 そんなことを考えていたら、ノンナがメイド服に着替えて戻って来た。

「荷物の片付けはいいの?」

「すぐ使うものだけ出して、あとはゆっくりでも。それにお嬢様はすぐエーレンフェスト家にお戻りでしょうから」

「ノンナは自信があるのね」

「はい 私の話を聞いてくださればお戻りいただけるはずです」
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