極妻、乙女ゲームの世界に悪役令嬢として転生しちゃいました!

ハルン

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No.67 ティミアside

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「サーシャ、ガダル様。今日は、来てくれて本当にありがとうございました」

そろそろ帰る二人に向かって、ティミアはベッドの上からお礼を言う。

「何言ってるの?友達なんだから、お見舞いくらい当たり前よ。何より、私がティミアに会いたかっただけだから」
「オ、オ、オ、オレも!ティ、ティミアが心配だったからな!」
「………二人共、ありがとう」

(まさか、今世でこんなに素敵な友達が出来るなんて思わなかったなぁ…)

人見知りをする性格で周りの貴族達から「子豚ちゃん」と呼ばれる自分。家族は気にしなくてもいいと言ってくれる。しかし、どんなに気にせず耳を抑えようと聞こえて来る自身を蔑む声。

『見て?アレがトールディン公爵家のご令嬢よ』
『なんてだらしの無い姿なの』
『あんなのが、名誉あるトールディン家の娘など…』

ーーやめて!

『見て!あの子、凄く太ってる!』
『本当だ!』
『子豚みたい!』

ーーお願い、やめて!

『先程、挨拶をしたのにろくな返事が返って来なかったわ』
『見た目がアレだと、性格も悪くなるのね』
『あんな娘を持つなど、本当に宰相閣下が哀れでならない』
『本当に閣下の子供なのか?』
『まさか、夫人が不貞を?』
『しっ!滅多な事を言うんじゃ無い』

ーー家族まで馬鹿にしないで!

悪意ある周りの言葉しか聞こえて来ない世界。
そんな世界に差し込んだ力強い光。

『私、ティミアに出会えてよかったわ。きっと、私達は出会うべくして出会ったのよ』
『ティミアと出会って、他者の気持ちを考え寄り添う事をオレは学んだ。ティミアは、オレにとってた、大切な人だ!』

彼等と出会ってから、世界は途端に色付きキラキラと輝いて見える様になった。手紙を交わし、一緒に出かけ、家族にその日の出来事を伝える。
そんな当たり前の事が、ティミアにとってどれほど尊い事か、いつも人に囲まれている彼等はきっと分からないだろう。

(今のまま二人に甘えているだけじゃ駄目だ。例えどんなに遅くなったとしても、いつか二人の隣に自信を持って並べる様にならないと)

このままでは、いつか二人の足で纏いになってしまうだろう。二人と一緒に居たいなら、ティミア自身が二人に見合う人物に成らなければいけない。

「じゃあね、また来るわ」
「はやく元気になれよ!」
「うん、またね」

(待っててね。いつか、必ず二人の側に自信を持って立ってみせるから)





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