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No.29
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「うわぁ~!見て見て、サーシャ!人がこんなにいるわ!」
馬車の窓から見える王都グランの街並みに、ティミアは興奮しながらサーシャに話しかける。だが、それも仕方ないだろう。
王都内に屋敷を構えるトールディン公爵家。
しかし、屋敷があるのは城に近い高級住宅地だ。そこに住むのは、富や権力を持つ貴族ばかり。それに、貴族は買い物をする時には専属の商人を自身の屋敷に呼び寄せる。
その為、貴族が平民と関わる事など、領地を経営する当主でも無い、ましてや貴族女性なら殆ど無いと言ってもいい。
「人が大勢いるって…。前世では、普通に見る様な光景でしょう?」
「そんな事ないよ!そんなこと言うって事は、サーシャは都会に住んでたんだね。私の住んでた場所って、結構田舎だったから」
「そうなの?」
ティミアは、前世都会に住んでいる高校生だとばかり思っていた。
「うん。見渡す限り、田んぼ、田んぼ、田んぼ!やっと人を見つけたと思ったら、お年寄りだもん!過疎化が進んでたんだよね。土地は無駄にあるのに、遊ぶ場所なんて殆ど無い場所だったよ。だから、若い人はみ~んな都会に行っちゃって、残るのはお年寄りばかり…」
「日本全体の問題よね」
確かに、過疎化は深刻な問題だった。
目に見える勢いのあるモノではなかったが、じわじわとゆっくり、でも確実に日本を蝕む脅威だった。
「うん。だから、あの有名な交差点なんてテレビで初めて見た時は本当にびっくりしたよ!あんなに大勢の人が一斉に歩いて、誰もぶつからないんだもん!」
「ふふふっ!」
身振り手振りで驚きを表現しながら話すティミアに、サーシャは笑いを堪え切れなかった。確かに、あんな大勢の人々が一斉に歩き出して、誰もぶつかったり転んだりしないのは、凄い事かもしれない。
(前世では、そんな事気にした事も無かったなぁ…)
「第三者からの視点って、とても面白いわね」
「わかる!自分では気付かなかった事がわかるもんね」
そうして、ティミアと二人で前世での話をしているうちに、馬車はようやく目的地に着いた様だ。
「サーシャお嬢様、到着いたしました」
「ありがとう。ティミア、着いたわ」
「うん!サーシャ、早く行こうよ!」
「そうね」
御者の手を借りて馬車から降りた二人は、目の前の建物を見上げる。
「ティミア、準備はいい?」
「いつでもいいよ」
互いに頷き合った二人は、手を繋ぎながら建物の扉を開ける。
ーーチリリ~ン。
「いらっしゃいませ!此処は、ケーキ専門店『白兎』です!お客様、本日のご注文は?」
白いエプロンを付けた女性の店員に向かって、サーシャ達は声を揃えて注文を告げる。
「「勿論、ケーキ食べ放題チャレンジです!!」」
「ケーキ食べ放題チャレンジ、入りました~!」
そう…本日最初の目的は、この店名物のケーキ食べ放題チャレンジだ。
馬車の窓から見える王都グランの街並みに、ティミアは興奮しながらサーシャに話しかける。だが、それも仕方ないだろう。
王都内に屋敷を構えるトールディン公爵家。
しかし、屋敷があるのは城に近い高級住宅地だ。そこに住むのは、富や権力を持つ貴族ばかり。それに、貴族は買い物をする時には専属の商人を自身の屋敷に呼び寄せる。
その為、貴族が平民と関わる事など、領地を経営する当主でも無い、ましてや貴族女性なら殆ど無いと言ってもいい。
「人が大勢いるって…。前世では、普通に見る様な光景でしょう?」
「そんな事ないよ!そんなこと言うって事は、サーシャは都会に住んでたんだね。私の住んでた場所って、結構田舎だったから」
「そうなの?」
ティミアは、前世都会に住んでいる高校生だとばかり思っていた。
「うん。見渡す限り、田んぼ、田んぼ、田んぼ!やっと人を見つけたと思ったら、お年寄りだもん!過疎化が進んでたんだよね。土地は無駄にあるのに、遊ぶ場所なんて殆ど無い場所だったよ。だから、若い人はみ~んな都会に行っちゃって、残るのはお年寄りばかり…」
「日本全体の問題よね」
確かに、過疎化は深刻な問題だった。
目に見える勢いのあるモノではなかったが、じわじわとゆっくり、でも確実に日本を蝕む脅威だった。
「うん。だから、あの有名な交差点なんてテレビで初めて見た時は本当にびっくりしたよ!あんなに大勢の人が一斉に歩いて、誰もぶつからないんだもん!」
「ふふふっ!」
身振り手振りで驚きを表現しながら話すティミアに、サーシャは笑いを堪え切れなかった。確かに、あんな大勢の人々が一斉に歩き出して、誰もぶつかったり転んだりしないのは、凄い事かもしれない。
(前世では、そんな事気にした事も無かったなぁ…)
「第三者からの視点って、とても面白いわね」
「わかる!自分では気付かなかった事がわかるもんね」
そうして、ティミアと二人で前世での話をしているうちに、馬車はようやく目的地に着いた様だ。
「サーシャお嬢様、到着いたしました」
「ありがとう。ティミア、着いたわ」
「うん!サーシャ、早く行こうよ!」
「そうね」
御者の手を借りて馬車から降りた二人は、目の前の建物を見上げる。
「ティミア、準備はいい?」
「いつでもいいよ」
互いに頷き合った二人は、手を繋ぎながら建物の扉を開ける。
ーーチリリ~ン。
「いらっしゃいませ!此処は、ケーキ専門店『白兎』です!お客様、本日のご注文は?」
白いエプロンを付けた女性の店員に向かって、サーシャ達は声を揃えて注文を告げる。
「「勿論、ケーキ食べ放題チャレンジです!!」」
「ケーキ食べ放題チャレンジ、入りました~!」
そう…本日最初の目的は、この店名物のケーキ食べ放題チャレンジだ。
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