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No.28

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やって来たティミアと手を取り合って話していると、背後から声がかかる。

「あら?サーシャ、そちらのお嬢さんは?」

清々しい朝に似合わない、妖艶な雰囲気を纏うミランダだ。

「お母様。此方は、この間のお茶会でお友達になったティミアよ」
「まぁ、貴女がティミア嬢なのね。サーシャから話は聞いているわ。初めまして、私はサーシャの母親のミランダです」

美しい笑みを浮かべながらティミアに挨拶をするミランダに、ティミアはボーッと見惚れる。

「ティミア?」

心配になって声をかけると、ようやくティミアはハッと我に返る。そうして、慌ててミランダに挨拶をする。

「は、初めまして!ティミア・トールディンと申します!サーシャとは、仲良くしてもらってます!」
「ふふふっ。とても可愛らしいお嬢さんね。アメリアとそっくりだわ」

その言葉に、ティミアが反応した。

「ミランダ様は、お母様と知り合いなんですか?」
「えぇ、そうよ。前までは、よくトールディン家へ遊びに行ってたのよ。………でも、ここ数年アメリアの体調が優れないでしょ?だから、今は遊びに行ってないのよ」

そう言って、ミランダはティミアの頭を優しく撫でる。

「えっと…?」
「私、貴女の赤ちゃんの頃を知ってるのよ?サーシャが生まれた時と同時期にアメリアも貴女を産んだの。二人は知らないだろうけど、赤ちゃんの頃に何度も会ってるのよ」
「そうなの?」

(ティミアと、そんな繋がりがあったなんて…。知らなかった)

前世の記憶を思い出したのは、サーシャが2歳の頃だ。その為、それ以前の事は記憶に無い。だから、ティミアと初対面では無い事にサーシャは物凄く驚いた。チラリとティミアを見ると、彼女も酷く驚いた表情で此方を見ていた。

「それを知らなかったのに、二人は友達になったなんて…。まるで、カールティアに導かれたみたいね」

カールティアとは、この世界の運命の女神の名だ。カールティアの導きで得たモノは、生涯の宝とも言われている。結婚の誓いをする時も、この女神に誓うのだ。この世界の代表的な女神と言っても良い存在だ。

(確かに、同じく前世の記憶のあるティミアと出会ったのは"運命"かも…)

流石に、偶然では片付けられない出来事ばかりだ。もしかしたら、この世界には本当に神が存在するのかもしれない。

「今日は、二人でお買い物に行くんでしょう?それなのに、引き止めてごめんなさいね」
「大丈夫。それじゃあ、行ってきます!行こう、ティミア!」
「うん!ミランダ様、失礼します」
「気を付けてね」

手を振るミランダに手を振り返しながら、二人はアベルシュタイン家の馬車に乗り込んだ。そうして、馬車は街に向かってゆっくりと動き出したのだった。


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